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特集 : 宇宙線を考えるシリーズー宇宙線被ばく防護対策を実現させ放射線障害から身を守ろう
日乗連ニュースより抜粋

機長組合より・・・・・

日乗連発行のニュースで表現は、日本のエアライン乗員向けのものとなっていますが、乗客の皆様にも大変興味ある内容かと思います。

宇宙線を考えるシリーズ1

日乗連はかねてから乗務員の宇宙線被ばく問題について取り組んでおり、この2月には客室乗務員連絡会と合同で文部科学省など関係3省に対して「宇宙線被ばく防護に関する再度の要請」を行ないました。この要請を受けて関係当局は現在、対策の実施に向けて検討を行なっています。このような状況のなか、一日も早く私達の要請に沿った被ばく防護の対策を実現させるためには、皆さんがこの問題に強い関心を持ち、そして要求についての確信を深める事が重要になってきます。そこで、日乗連HUPER 委員会はこの機会に、この問題に関するニュースをシリーズで発行し、改めて、宇宙線被ばくの実態や問題点、取り組みの経緯、国際機関や諸外国の動き、行政当局の対応などを皆さんに紹介します。一回目の今回は、まずは「宇宙線」について簡単に解説します。

宇宙線は放射線。そして、その量は高度が高いほど、緯度が高いほど多い!

宇宙線とは宇宙空間を飛び交っている放射線のことで、一次宇宙線と二次宇宙線とに分けられます。一次宇宙線は宇宙空間を直接飛び交っている放射線のことで、超新星の爆発や太陽フレアーに由来すると言われています。そして、二次宇宙線は、一次宇宙線が地球に降り注ぎ大気を構成する元素の原子核と衝突して発生する放射線のことで、私達がレントゲンを取るときに浴びるガンマ線の類や東海村のウラン加工会社JCO臨界事故で事故を起こした作業員が浴びた中性子線といったものが含まれます。

宇宙から飛来する一次宇宙線は、大気上層の窒素や酸素などの原子核と衝突する事によって消滅し、直接地上に降り注ぐことはありませんし、私達が飛行する高度12~3km 程度の上空にもほとんど存在しません。一方、大気上層で発生した二次宇宙線は、大気による吸収が少ない分、上空ほどその量は多く、地表に近づくにつれて減少しますが、一部は地表にまで達します。つまり、二次宇宙線は私達が暮らす地上にも存在し、そして、高度が上がれば上がるほどその量が増えるということになります。また、宇宙から地球に降り注ぐ一次宇宙線が地磁気の影響で両磁極に集中することから、二次宇宙線の量は、例えば高度が同じ場合、緯度が高くなる(磁極に近づく)ほど多くなることになります。

結局、私達が飛行中に浴びる「宇宙線」とは、「宇宙から飛来する一次宇宙線が大気と衝突することによって発生する二次宇宙線という放射線であり、その量は高度が高いほど、また、緯度が高いほど多い」ということになります。

さて、そこで問題なのはその量、そして、それらが人体に与える影響です。それらについては、次回以降で説明します。

宇宙線を考えるシリーズ その2

被ばくすればするほど癌の確率が増える!

宇宙線が放射線であるということは前回ご紹介しました。そこで、今回は放射線が人体に与える影響についてお話します。放射線を浴びる事を「被曝(ひばく)」と言います。「被爆」ではありません(漢字が違います)。一般的に「曝」という字があまり使われないので、日乗連では「被ばく」と表記します。被ばくを分類する形式はいくつかあります。例えば、「急性」と「慢性」、「全身」と「局所」などです。航空機乗務員の宇宙線による被ばくは「慢性被ばく」でかつ「全身被ばく」となります。

放射線が人体に有害であることは周知の事実です。放射線によって生じる人体への影響で治療の対象となる影響を「放射線障害」と言います。良く知られているものに「癌」や「子孫に現れる障害」などがあります。放射線によって細胞内の遺伝子が傷つくことがその原因と考えられています。

放射線障害はいくつかの形式によって分類されます。例えば医学的な観点から「身体的影響」と「遺伝的影響」とに分けられます。身体的影響とは被ばくした本人の身体に現れる障害で、遺伝的影響とは子孫に現れる障害です。また、障害の現れ方で「早期障害」と「晩発性障害」とに分けられます。早期障害は被ばく後数週間以内に症状が現れるもので、皮膚や粘膜の障害、脱毛、白血球の減少などです。一方、「晩発性障害」には癌や胎児への影響、寿命短縮などがあります。

「確率的影響」これが問題! 宇宙線被ばくは賞品が「癌」の宝くじ?

放射線を防護する立場からの分類として「確定的影響」と「確率的影響」があります。「確定的影響」は、ある限界値(しきい値:それ以下なら障害が発生しない値)以上の放射線を浴びると誰にでも必ず現れる障害で、脱毛、白血球の減少などがあります。ただし、このしきい値はかなり高い値なので、放射線関連の事故でもない限り通常問題になりません。一方「確率的影響」は、しきい値が存在しないと考えられ、どんなに低い被ばく量でもそれなりの発生確率で障害が現れ、被ばく量が増えるにつれて障害の発生確率が大きくなるタイプの障害です。この確率的影響には癌と遺伝的影響があります。

確率的影響を説明するのに「宝くじ」がよく使われます。宝くじはたくさん購入するほど当選の確率が高くなります。これと同じように、放射線をたくさん被ばくするほど障害の発生する確率が高くなるのが確率的影響です。しかし、「宝くじ」と「被ばくの確率的影響」には決定的な違いがあります。宝くじの場合、抽選が終わり落選すると、その「くじ」はその後絶対に当選することはありません。ところが、確率的影響の場合、購入した「くじ」(放射線の被ばく)は、その人にとって永遠に当選の可能性のある「くじ」であり、また、やっかいなことに、生涯のあいだ何回も抽選が行なわれるのです。

つまり、ひとたび放射線被ばくすると、将来癌になったり、子孫に遺伝的影響が発生したりしないとは絶対に言い切れないのです。そして、その確率は被ばくの量に比例して確実に高くなるのです。

宇宙線を考えるシリーズ その3

乗務員の被ばくは原発労働者の4倍!?

今回は私達航空機乗務員がどの位の宇宙線を浴びているかについて説明します。

まず、単位について簡単に説明します。放射線被ばく量を表す尺度として最初に考えられたのが「吸収線量」です。これは体重1キログラム当たりに吸収された放射線のエネルギーによって決まる尺度で、単位は「グレイ」です。しかし、同じ吸収線量でも放射線の種類(例えば中性子、ガンマ線等々)によって人体が受けるダメージが違う事が分かりました。そこで、人体が受ける放射線の影響に着目し、それを表す尺度として「線量当量」が考え出されました。単位は「シーベルト(Sv)」で表します。従って、放射線障害や被ばく防護を考える場合は、このシーベルトという単位を使います。1/.1000 がミリシーベルト(mSv)で、その1/1000 がマイクロシーベルト(μSv)です。皆さん覚えてください。

原発労働者は法律で保護されているのに私達は全くなし

宇宙線の被ばく量を知るためには実測が必要です。私達日乗連も独自に宇宙線を測定しましたが、その後、いくつかの機関(主に海外)でも測定が行なわれ、そのデータが明らかにされています。

2004 年6 月23 日に開催された専門家などによる放射線安全規制検討会(事務局は文科省放射線規制室)で、海外の測定結果などを基に、「飛行900 時間で6mSv の被ばく」あるいは「同200 時間で1mSv」というデータが示されました。国の検討会で示された、この「200 時間で1mSv」を基準に乗務員の年間の被ばく量を試算すると、年間800 時間のフライト(便乗を含む)の場合、4mSv となります。私達の調査でもニューヨーク、シカゴ、ロンドン、パリ、アムステルダムなどの路線を年間800 時間フライトすると、3.5 mSv 前後の値が実測されています。

「4mSv」がどの程度の被ばくか、私達素人には良く分かりません。そこで、職業に起因して放射線を浴びる他の職業と比較してみます。専門家によると、職業に起因した被ばく量の平均が最も多い職業は原子力発電所の労働者で、平均被ばく量は年間約1mSv です。ということは、上記試算による乗務員の宇宙線被ばく量「4mSv」は、原発労働者の平均の4倍ということになります。放射線技師など他の職業の場合、被ばく量は原発労働者よりも少ないと言われています。

「4mSv」はあくまでも推定値であり、実測値ではありません。しかし、いずれにせよ、今までの調査や研究などから、私達乗務員は原発労働者にとって代わり「現存する職業の中で最も多く放射線を浴びる職業」であり、そして、その被ばく量は原発労働者より遥かに多いだろうと専門家も認めています。

ところが、このように私達航空機乗務員が職業に起因して最も多く放射線を浴びているにもかかわらず、原発労働者などが法律で「職業被ばく」と位置付けられ、個人の被ばく量の測定や被ばく防護策健康管理などが義務付けられているのとは対照的に、なんら対策が取られずに放置されているのです。

宇宙線を考えるシリーズ その4

5500名中30名の乗員が癌で死亡!?

国の検討会で明らかにされたデータなどを基に推測すれば、「乗員の多くは宇宙線を年間数ミリシーベルト(mSv)浴び、その被ばく量は原発労働者の年平均被ばく量を遥かに上回る」と前回説明しました。今回は、これがどの程度の被ばくなのかについてお話します。

私達は、普段の地上の生活でも、宇宙線や地中の放射性物質などから少量の放射線を浴びています。このような放射線を「バックグラウンド放射線」と呼びます。バックグラウンド放射線の量は場所などによって異なりますが、放射線医学総合研究所(放医研)によれば、日本では年間約2.2mSvです。国連のデータなどを基に乗員の宇宙線の年間被ばく量を約「4mSv」と仮定すると、私達乗員は、バックグラウンド放射線と合わせて年間6mSv以上の自然放射線を浴びることになります。この量は、バックグラウンド放射線(2.2mSv)そのものの約3倍となります。

医療被ばくと比較してみます。放医研によると、胸のレントゲン写真(集団検診の場合)1枚の被ばく量は約0.06mSvだそうです。従って、「4mSv」の被ばくとは、その約67枚分に相当します。

会社は科学的根拠も無視し「問題ない」と主張

被ばくが人体に与える影響(放射線障害)については、広島・長崎の被爆者のデータなどを基に、長年にわたり調査や研究が行なわれ、「急性被ばく」や「大量被ばく」のリスク(癌の発生など)についてはかなり解明されています。しかし、乗員の宇宙線被ばくなどで問題になる「低線量被ばく」については未解明な部分が多く、癌の発生など放射線障害との因果関係は証明されていません。

このような中、現在の放射線障害防止法など放射線に関する各国の規制や防護は、「LNT仮説」がその前提になっています。LNT仮説とは、「低線量放射線による生体影響の線量効果関係は直線的であり、しきい値はない」というものです。これは、大雑把に言えば「被ばく量と放射線障害の発生率は正比例で、例え低線量でもそれなりのリスク(癌の発生率の増加など)がある」ということです。この説と国際放射線防護委員会のデータを基に、私達の宇宙線被ばくに伴う癌の発生リスクを推測すると(年間4mSvを35年間被ばくし続けたと想定)、日乗連会員5500名のうち30名以上が宇宙線の影響で将来致死的な癌になるということになります。

このリスクについての評価は、立場や考え方によって異なるかもしれません。また、LNT仮説には異論もあるようです。しかし、世界の被ばく防護の前提がこのLNT仮説である現状を踏まえれば、「宇宙線被ばくは健康上問題ない。対策は必要ない」とする企業の姿勢は、現状を無視した一方的な考えであり、また、人命を軽んじる無責任な姿勢と言えるのではないでしょうか。

宇宙線を考えるシリーズ その5

「宇宙線嵐」対策は不可欠

太陽の活動は、極大期から極小期を経てまた極大期へと、おおよそ11年周期で変化しています。活動が盛んな時期は黒点の数が増え、その周りで「太陽フレア」と呼ばれる一種の巨大爆発現象が発生し、多量の放射線が放出され、それによって地球周辺にある太陽由来の宇宙線量も増加します。しかし、一方で、活動の活発化によって生じる太陽磁場の増強は、太陽系に対する銀河(太陽系外)由来の宇宙線の遮蔽効果を高め、太陽系外から降り注ぐ銀河由来の宇宙線量を減少させます。

この相反する二つの影響の結果、一般的には、太陽活動が盛んになると、太陽の磁場の増強による遮蔽効果の影響が大きく現れ、地球大気に降り注ぐ宇宙線の量は減少すると言われています。逆に、太陽の活動が減衰すると、地球に降り注ぐ宇宙線量は増加します。もし、私達が浴びる宇宙線に対する太陽活動の影響がこの範囲に留まっているならば、「太陽活動の影響」は大きな問題にはなりません。

一回のフライトで原発労働者数年分の放射線を一挙に浴びる!

問題は「巨大太陽フレア」です。これは活動が活発な時期などに稀に発生する巨大な太陽フレアのことで、このとき太陽は極めて多量の宇宙線を放出し、地球大気中の宇宙線量も飛躍的に増加します。このような現象は「宇宙線嵐」と呼ばれ、時には人工衛星に大きなダメージを与えるとも言われています。

宇宙線嵐の持続時間は数十分から数時間程度と言われています。米国のNOAA(海洋大気局)は宇宙線嵐の観測と予報を行なっており、強度別にS1からS5の5段階に分類して公表しています。最強度である「S5」についてNOAAは、「高緯度を飛行する旅客機の乗員乗客は胸部レントゲン100回分の宇宙線を浴びる可能性がある」と指摘しています。また、一段階下の「S4」でもレントゲン10回分の宇宙線を浴びると指摘しています。NOAAは、S5およびS4の発生頻度をそれぞれ、11年に1回、11年に3回程度と予測しています。

胸部レントゲン1回の被ばく量は装置や撮影方法などによって大きく異なるそうですが、放射線医学総合研究所の資料によれば0.06mSv(集団検診)、日本医学放射線学会によれば0.4mSv(胸部一般X線)となっています。この値を基にすれば、100回分はそれぞれ「6mSv」「40mSv」となり、原発労働者の平均被ばく量の6年分または40年分に相当します。NOAAが示す「100回分」が絶対量としてどの位の被ばく量を意味するのかは定かではありません。しかし、いずれにせよ、一回のフライトでレントゲン100回や10回分の放射線を浴びてしまうような事態は、例え発生頻度が低いとしても、当然、避けるべきだと考えられます。

欧州で実施されつつある宇宙線に関する規制の中には、宇宙線嵐の対策を盛り込む動きが進んでいます。既に、アリタリア航空のOMには「S5の宇宙線嵐が予想される場合は運航を中止する」と規定されています。

文科省に設置された宇宙線に関するワーキンググループにおいても、「宇宙線嵐」は重要な問題と位置付けられて検討が行なわれています。

私達は、国に対して行なった要請で、この問題について実効性のある対策の実施を求めています。

宇宙線を考えるシリーズ 番外編

日乗連、国の会合で意見表明

9月14日、文部科学省で「航空機乗務員等の宇宙線被ばくに関する検討ワーキンググループ」の第2回会合が開催されました。私達が関係当局に対して実施した宇宙線被ばく防護についての要請(96年3月および本年2月)に答えて、文科省が設置したこのワーキンググループは、放射線物理や医学などの専門家によって構成されており、航空機乗務員等の宇宙線被ばく問題について検討し、1~2年を目途に見解をまとめることになっています。

W/G主査「乗務員の疑問にはきちんと対応したい」

私達日乗連と客乗連は文科省からの要請を受け、この第2回会合において、この問題についての私達の主張や要求などについて、約30分にわたって発表しました。私達の発表に対して、ワーキンググループの委員からは幾つかの質問がありました。また、ワーキンググループの小佐古敏荘主査(東京大学原子力研究総合センター助教授)は「乗務員の疑問等に対してはきちんと対応していきたい」と述べました。 ワーキンググループが設置され、国による宇宙線に関する具体的な検討が始まったこと、また、その会合において私達の主張や要求を発表する場が設けられたことは、この問題について私達が粘り強く取り組んできた成果です。

宇宙線問題で日本保健物理学会も委員会設置

放射線防護の専門家などによって構成されている日本保健物理学会においても、航空機乗務員等の宇宙線被ばく問題について検討する委員会が設置されることになりました。そして、この委員会の委員には、長年日乗連の宇宙線についての取り組みに専門家の立場としてご支援をいただいている日本大学歯学部の野口先生が選ばれています。

私達は今後も、このワーキンググループなどの検討状況を見守ると共に、様々な機会を捉えてこの問題について活動していきます。また、IFALPA HUPER委員会および他国の各協会などとも連携しながら、この問題についての取り組みを進めていきます。

以下にに文科省の「航空機乗務員等の宇宙線被ばくに関する検討ワーキンググループ」第二回会合での日乗連・客乗連のプレゼンテーションの骨子を掲載しています。ご覧下さい。

航空機乗務員等の宇宙線被ばくについて

2004年9月14日
日本乗員組合連絡会議
客室乗務員連絡会

私達は、ICRP1990年勧告に沿って航空機乗務員の宇宙線被ばくを「職業被ばく」と位置付け、その上で適切な被ばく防護策を実施するよう求めた要請を、1996年3月および2004年6月、文部科学省(96年当時は科学技術庁)など関係当局に行ないました。

宇宙線については、近年、様々な機関で調査や研究が行なわれ、実態が解明されつつあります。そして、それらを元に、既に対策が実施されている国もあります。一方、我が国では、このワーキンググループの開催によって、やっと本格的な検討が始まったばかりです。 このような状況を踏まえ、宇宙線についての私達の不安や考えについて、ここに説明します。

解明されつつある乗務員の宇宙線被ばくの実態は・・・

乗務員の多くが、原発労働者の平均より遥かに多くの放射線を浴びている可能性がある。 生涯の総被ばく量が百数十mSvとなる可能性もある。(原発労働者年平均の百年分) 一回のフライトでレントゲン百回分の放射線(30mSv?)を浴びる「太陽宇宙線嵐」がある。

宇宙線被ばくによる健康被害は・・・

幾つかの研究は、乗務員の宇宙線被ばくと癌の発症の関連性を示唆している。 胎児への影響が大きいと言われる妊娠初期に、多量の宇宙線を浴びる状況も懸念される。 運航乗務員(機長、副操縦士等)六千名中三十数名が宇宙線で致死的な癌になると推論できる。

宇宙線被ばくに対する防護策が必要な理由は・・・

専門家は「被ばく実態調査の結果が既にその必要性を証明している」と指摘している。 被ばく防護が実施されている職業(原発等)よりも多くの放射線を浴びていると考えられる。 (「乗務員は最も多く放射線を浴びる職業集団」とも指摘されている) 現在の被ばく防護の前提「LNT仮説」から推測すると、癌などの健康被害が考えられる。 宇宙線は放射線である。当然被ばく防護の原則「ALARA」に則って対処されるべきである。

私達が求めていることは・・・

宇宙線の実態解明と、適切な測定や算定方法などについての更なる調査研究。 宇宙線の実態、被ばくのリスクや防護策についての乗務員への適切な教育。 乗務員個々人の宇宙線被ばく量の把握とその記録。 宇宙線に関する被ばく低減策の実施。 (無用な被ばくの回避策、宇宙線嵐への対策、被ばくが特定個人に集中しない対策等々) 職業被ばくを意識した健康管理の実施。 乗務員の疫学データ等を踏まえ、宇宙線による長期低線量被ばくの影響についての調査研究。

宇宙線被ばくは、私達乗務員の命と健康の問題であると同時に、乗客にも関わる重要な問題であると私達は捉えています。 関係当局には、これらを踏まえ、慎重かつ十分なご検討をいただき、早急に対策を講じていただきますよう、要請いたします。

以上

日本航空機長組合 – Japan Airlines Captain Association日本航空機長組合 – Japan Airlines Captain Association

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武装警官搭乗武装警官搭乗

武装警官搭乗(スカイマーシャル)に関する機長組合見解 2004年12月10日 日本航空機長組合 本日政府は閣議決定により、本邦全ての民間航空会社を対象に、テロ・ハイジャック対策として『スカイマーシャル』と呼ばれる武装警官を搭乗(警乗)させることを決定した。 (機長組合ニュースNo.19-109参照) 機長組合のこの問題に関する見解は以下のとおりである。 1.日本航空機長組合は、テロ、ハイジャックへの抑止力と称して行われる民間航空機へのスカイマーシャルの警乗には反対する。 2.機長組合は諸般の情勢と力量の観点から、今回の警乗措置について組合として組合員に「拒否を指示する」方針は取り得ないものの、その一日も早い中止に向け、社会的な運動を構築する。また、経営にも中止に向けた最大限の取り組みを行うように要求する。 ・ 私たちは2002年のワールドカップの警乗に際しても「武器を機内に持ち込ませない水際対策の強化なくして、武器を携行した警備員・警察官の搭乗ではテロ・ハイジャックは完全に排除できない。また、機内に武器が存在することの危険性について疑念が拭いきれない。そして、警乗による対策が現場の乗員の理解のない中で一方的に実施されてはならない」と表明してきた。また日乗連と共にこの主張を、当時警乗を企業に要請した当局(国土交通省・警察庁)、それを認知した航空経営に対し強く訴えて来た。しかし当時の警乗問題に関して、特に考慮されなければならなかったのは、米国同時多発テロ後の「航空機を使ったテロに対する国の方針が強く、社会の関心が高い」という社会情勢であった。上記の取り組みを進めるためには、世論の支持が不可欠であり、その上で当時は「限定された期間での警乗であり、時間の限られた中で利用者・国民の支持を得て取り組みを進める事は非常に困難である」と認識せざるを得なかった。 ・ しかし今回の措置は、新たに恒久的な制度として設けるものであり、乗員に事前に十分協議する時間や周知する猶予も与えずに、閣議決定後速やかに実施というのは、あまりに性急過ぎ、現場に混乱を来たしかねない。米国ではUS-ALPAとの合意の下に制度が導入されてきたように、現場の乗員の意見の反映なしに制度を導入することは進め方としてボタンを掛け違えている。さらに言えば、航空法との整合性など法的な整備も全く行われておらず、今回の警乗が航空法の目的である「民間航空の安全」や「利用者・国民の生命・財産の安全」に結びつくとの確証もない。現時点で恒久的な警乗を強引に導入することは、大きな問題がある。 ・ 旅客にとってみれば武装警官が同乗していることを知らされずに搭乗することの問題や不安感は払拭されず、またスカイマーシャルが対応する事態も曖昧であり、会社の説明にも一貫性がない。さらに乗客乗員の避難誘導などのケースにおいて、機長とスカイマーシャルの指示に差異が生じた場合、混乱が引き起こされる恐れや、特に客室乗務員に対してのスカイマーシャルの指示と、機長の指示との関係が不明確であるために、機長の権限が侵害されるという恐れもある。 ・ テロ・ハイジャックに対しては操縦室に入れさせないよう扉の構造・運用を改善したが、これは「強引には破られないドア」をその対策の根幹とするものである。従って従来の経営の説明に則れば、更に対策を強化するために必要なのは、スカイマーシャルによる「強行犯の阻止」ではなく、密かな侵入の企てを不可能とするハード上の更なる改善、すなわちトイレの移設や二重扉の設置などである。そもそも航空機内での発砲による運航の安全性について、システムに重大な支障がないことの検証は全く不十分である。こうした指摘に対する対応を十分に行わず、機長の疑問にも答えず、今回の閣議決定に至らしめた経営の責任は重大である。 3.機長組合は、現場の機長の航空法上・安全上の判断は全面的に支持する。また機長が「警乗が具体的に運航の安全に影響する」と判断した場合、その判断を経営として十分尊重するように強く求めていく。 ・ どのような事態であれ、機長の判断を尊重することは航空経営の責務であり、この点は些かも譲れるものではない。ワールドカップの警乗の際にも、このことを経営に伝え、警乗が開始された中で、万が一機長の権限と警察権が拮抗し、現場で混乱が生ずる事態が発生する事のないよう、万全の対応を本部に対して強く求めた。 ・ 今回、組合の運動が警乗を中止させるまでに至らない間も、具体的な状況に即した、機長の航空法上・安全運航の観点での決定は、全面的に尊重されるべきである。機長権限と人権の擁護を組合の総力で実行していく。 ・ 経営も現時点では、航空法上の機長の権限はこれまで通りである、と発言しているが、行政からの圧力がないとは断言できない。そうした場合にも、いたずらに機長に説明を求めることなく、機長の判断を尊重するのが経営・運航本部の責任である。 4.今回の抑止効果を狙った制度とは別に、具体的な不安全要素、即ち不法妨害行為が発生する可能性がある状況においては、当該運航は経営の判断で中止しなければならない。今回の「抑止効果を狙った警乗制度の成立」が、こうした運航に拡大・悪用されることがあってはならない。機長組合は「始めに運航ありき」との方針は絶対に認められない。 ・ 昨年末、不審者と疑われる搭乗者を確認した旅客便は、スカイマーシャル等の警乗がない限り米国への乗り入れは認めないとの米国政府の方針が伝えられたが、機長組合の「そのような具体的な情報のある便は運航すべきでない」との主張に、経営は「運航の安全確保は航空会社独自の判断」として、米国に警乗つきの運航を回答するには至っていない。しかし一方で経営は「警乗制度がないことも判断要素」とも述べ、警乗制度が成立した場合の考え方には含みを残している。機長組合は警乗制度の成立にあたり、経営が従来の方針を変更することは断じて認められない。

電磁波干渉と航空機の運航電磁波干渉と航空機の運航

電磁波干渉と航空機の運航(電磁波干渉ってなに?) 1.電磁波干渉(Electro Magnetic Interference)とは 一般的な「電磁波干渉」というと、雷のような自然現象から、人間が製造した各種の電気電子機器が発生するノイズによって、他の電子機器に好ましくない障害が発生する事を指します。分かりやすい現象としては、雷による中波ラジオへの雑音、電気モーターによるTV受像の乱れなどの「意図しない電磁波」による障害や、違法無線によるFMラジオへの混信、電子制御装置の誤作動、などのような「意図的な電磁波」による障害があります。  これらすべてを、我々が包括的に理解する必要もありませんので、ここでは、最近の航空機の運航に障害となるもののみに、的を絞って考察したいと思います。 2.意図された電磁波?意図しない電磁波? 「意図された電磁波」とは直接的にはアマチュア無線機、携帯電話などがありますが、あまり知られていないものには、受信機(ラジオ)の内部で作られている「中間周波数」なるものもあります。これは「スーパーヘテロダイン」とか「局発」とか航空級無線通信士の試験でお目にかかった(事があるかもしれない??)理屈によるものですが、電子機器の設計段階から、わざわざ発生させているものですから、「意図的な電磁波」です。  これらの「意図された電磁波」は、発生する側の電子機器も、航空機側もほぼ対策を施しているので、ここではとりあげません。  「意図しない電磁波」がやっかいものです。これにもいくつかの種類があります。  ひとつには、「意図された電磁波」が副次的に発生させる電磁波です。これは「高調波」とか「ふく射(スプリアス)」とかいわれるもので、例えば50MHzのアマ無線機から100,150MHzといった、目的外の周波数の電磁波が発射されたり、FMラジオの中間周波数(10.7MHz)の倍数の電磁波が漏れたりするものがあります。 このような「目的外の電磁波ふく射」はある程度予測可能です。  他方では完全に「意図しない電磁波」として、大電流機器のON/OFFによるスパイクノイズや、話題のパソコン・CDプレイヤーなどの「マイクロエレクトロニクス機器」からの「電磁波」があり、これらが大きな問題となっています。 3.マイクロエレクトロニクス?? すぐにも陳腐化しそうな言葉ですが、他に適当な分類が確立していませんので、こう表現されています。  どんなものかというと、「小さくて、いろんな機能がついている、電気で作動するもの」と考えれば当たらずとも遠からず、と思ってください。パソコン、携帯電話、CDプレーヤー、電子ペット(ファービー)、ポケットゲーム機、、、、これらのものにはすべてマイクロエレクトロニクス≒「コンピューター」が組み込まれています。  「コンピューター」が作動するためには必ず「クロック」と呼ばれる数MHz以上の方形波(デジタルと考えてもよいでしょう)と、信号のやりとりとしての方形波、の2種類のパルスが発生します。 理科の教科書には、正弦交流波により発生する「電界」がよく描かれますが、「電磁波」は電流が変動する時に発生するものですから、これらの方形波の立ち上がりと立ち下がり時にも「電磁波」が発生するわけです。 つまりマイクロエレクトロニクス機器には、クロックに関わる周期的な「電磁波」と、信号(情報)による不規則な「電磁波」が必ず付随しているわけです。 4.不要電磁波のふく射と受信 参考で触れますが、航空機搭載機器からの不要電波のふく射については、論外というか対策済みのはずなのでここでは除外します。他には乗客による機内持ち込みの電子機器が問題となります。  機内持ち込みで、「意図された電磁波」を発射する装置は当然アンテナを備えています。「意図しない電磁波」をふく射する装置には通常「アンテナ」はありませんが、電気の流れるところはすべて発射アンテナになり得ます。この場合の電磁波は非常に弱いもので、[参考]に掲げる航空機の設計上問題となるような、強い電界強度の何万分の一(あるいは10-6乗)程度の測定すら困難な強さです。しかしながら、そのような微弱なパワーしか持ち得ないCDプレーヤーでさえEMIを発生させているのが現実です。 参照:IATA報告事例  では、これら不要電磁波を拾う機体側はどうでしょうか。後述するように、航空機は耐空性審査要領などによって、「外からの強い電波」には耐えられるように作られています。(機体が大きなシールド筐体ですから)しかしながら、その機体内部には、B747クラスでは数十km以上と言われるほど大量の電線が使用されており、基本的には、これらの全延長が受信アンテナとなりえます。但し、デジタル機器を結ぶARINC(エアリンク)と呼ばれる規格では、シールド線または、より安全性の高いツイステッドペア線(撚り線)を使用しています。教科書的に考えるならば、シールド線の真横にCDプレイヤーを持ってきても、何の障害も起こり得ない筈です。  しかしながら、機体内部には様々な金属があります。これもアンテナ代用品になりえます。例えば、ある座席とその座席の固定レールがちょうどその電磁波の共鳴(共振)関係になり、さらに壁の中のリブが伝導にちょうどいい距離関係にあるかもしれません。また、曲がりくねり撚りあわされた配線、種々のコネクターによるシールド不全など、複合条件は検証しきれないほどあります。これが、同じ装置を同じように使っても、ある座席では発生したのに、その隣ではもう発生せず、コックピット内でさえ再現しない原因と思われます。 5.なぜ障害となるのか 航空機においては、昔から知られている、雷や空電によるADF(中波自動方向探知機)の誤指示や、自らのHF(短波)送信時における油圧計の誤指示などがありますが、これらを仮に「アナログ系障害」としましょう。これらのアナログ系障害は、発生事象が割とダイナミック(はっきり分かる)で、因果関係も特定可能(再現性が高い)なケースが多いようです。  ところが、最近話題の、コンピューターの関係する機器への障害の場合、まったく逆で、想像できないような現象が、再現性に乏しく発生しています。これを「デジタル系障害」と呼んでおきましょう。  「アナログ系障害」は、予期されない電磁波が、本来の信号をオーバーライドしてしまったり、歪ませたりすることにより、誤作動を引き起こします。ところが、「デジタル系障害」は、「1」と「0」の組み合せである信号を書き換えてしまう事で、より重大な(あるいは極端な)誤作動となり得ます。  航空機のデジタル信号は、+の電圧(+5から+15V程度)の時に「1」と解釈し、0または負の電圧(-5から-15V程度)の時に「0」と判断されます。この「1」と「0」の組み合せで、それぞれの電子機器のIDから、データまですべてを判断しますから、ひとつ順番が入れ替わっただけでも大変な事が起こり得ます。  例えば、スラストレバーを動かして、N1を(ほぼアイドルの)33%にセットしようとした時、レバーを動かして、そのセンサーが「33」を出力するようにしたとします。センサーはオートスロットルコンピューターに対して「33」を意味する2進数「00100001」(仮に8ビットとします)を送るのですが、 これは10進法では「97」%です。 とするとエンジン制御コンピューター側では「97」%と受け取り、そのように大出力をセットするでしょう。(もちろん実際は、こんな単純な事は起こりません。概念の話です)     参考:ARINC規格、エラーチェック 6.公的機関による規制 航空機における規制としては、設計段階と運用段階があります。設計段階においては耐空性確保の為にいくつかのスペック(JIS,MIL,HIRFなど)があるようですが、電波暗室で航空機の機器を作動させて計測するなど、いずれもが「航空機自身に搭載の電子機器が、他の電子機器に影響を与えないか」の観点だけであり、「客室内に持ち込まれる電子機器がもたらす影響」については、何も触れられていません。      参考:安全水準