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日本航空機長組合 – Japan Airlines Captain Association日本航空機長組合 – Japan Airlines Captain Association


「1002便に関する「航空重大インシデント調査報告書」について」

   
 2009年5月30 日本航空機長組合

日本航空機長組合は、同種事故再発防止の観点から、本件「航空重大インシデント調査報告書」において、「原因」として認定されている事項に誤認がある可能性、及び、一部の原因が抽出されていない可能性、関連する要因が十分に検討されていない可能性について指摘し、再発防止の観点から分析・周知されるべき事項について言及する。

インシデントの原因・要因について
本調査報告書は、前脚が破壊に至った原因として、「最初の接地時にバウンドし、再び主脚に機体の重量が完全にかかる前に前脚が接地して、前脚に過大な荷重がかかった」とし、また、主脚に機体の重量が完全にかかる前に前脚が接地した要因を、「操縦桿の前方への大きな操作によるもの」と推定している。

前脚が滑走路面に接地する速度は、機体全体の降下速度と、機体重心回りの前脚の角速度の合成となる。報告書6頁に示されたパラメータによれば、Nose Gear破壊直前のCCP値として、-3.16、-3.87、-1.41が記録されており、操縦桿は前方へ操作されている。この操作は上昇傾向のピッチをそれ以上増加させない為の操縦である。ピッチが最も高くなった時の値は4.9°であるが、その後ピッチが減少に転じたわずか0.5秒後にはCCP値-1.41が記録されている通り、操縦桿は後方に動かされ、機首を支える方向に操作されている。(なお、05:59:15後半のCCP値-7.03は、前脚接地後に記録されたものであり、前輪破壊の要因ではない。)報告書によれば前脚破壊は操縦桿の前方への大きな操作が原因としているが、この操舵量が前脚破壊に至る程の機体の降下、及び機首下げ方向の角速度を引き起こす量かどうかについては検証がなされていない。

本件発生には操縦者の操作以外の要因も、複合的に影響を及ぼしていると考えられる事から、影響を与えたと思われる要因について以下に述べる。
・操縦桿の前方への操作について
767の特性として、接地後のSpoiler Extendの影響で機首が上がる傾向がある。機首が高い状態で接地した場合、その傾向は大きくなり、操縦桿を一旦前に押す必要もでてくる。このことは当時の「PILOT FLIGHT TRAINING GUIDE(PFTG)」にも記載されている。
09:59:13にAIR/GRDセンサーがGRDとなる直前からのピッチ変化をみると、3.9、4.2、4.6、4.9となり、ピッチアップしている。当該乗員はこのピッチアップ傾向を止めるために操縦桿を前方に操作している。この操作は主脚接地後の操作としては適切であり、その操舵量も過大とは言えない。
次に、ピッチアップ傾向を止めるための操作により機体のピッチが下がれば主翼の迎え角は減少するから、これに伴って揚力も減少する。この操作(機首下げ)の必要性が接地後に発生すれば、操作の結果は主脚の接地点を中心とした機首下げ回りのモーメントの増加として顕われる。これを補正するには機首下げ操作量を調整することになる。これは着陸時に通常発生している動きであり、操縦士は十分対応できる訓練を積んでいる。しかし、ピッチアップ傾向を止めるための操作(機首下げ)の必要性が、機体が未だ浮揚していた段階で発生した場合、機首下げによる揚力の減少は、機体を降下させる要因に直接結びつき、前者と異なった操縦が必要となる場合もある。
従って、09:59:14~15秒迄の1秒間に行われた操縦桿の操作の影響は、主脚が機体の荷重を支えていたかどうかにより異なり、機体の動きや操縦士の感覚に大きな差を生じることがある。

・推力減少の影響
付図5-2 DFDR記録2 Thrust Lever Angle-L/Rには、1秒ごとにLeft及びRightのThrust Lever Angleが交互に記録されている。進入中のThrustはL/Rとも約25degであり、Rightについては09:59:12、Leftについては09:59:13まで維持されている。その後Rightは09:59:14に約18deg、Leftは09:59:15に約12degに減じられている。左右のThrust Leverは同時に操作していることから、両方のThrustをIdleに絞ったのは09:59:13~09:59:14の間である。GE製Engineの場合、実際の推力はThrust Leverの変化から約2秒程度遅れて減少する。
767型機のように、主翼下部にエンジンが設置された航空機は、飛行中に推力が減じられた場合、空力中心回りのモーメントにより機首下げ効果が発生する。このため、本件では推力減少に伴い発生した機首下げの効果も、考慮される必要がある。

・Ground Spoilerの影響
767型機の主翼上面には、左右6枚ずつ、計12枚のSpoiler(抗力版)が設置されている。Spoilerは地上においてはGround Spoilerとして用いられるが、その目的は主翼の揚力を減少させることによって主脚の荷重を増加させ、車輪ブレーキの制動力を高めることにある。Ground Spoilerとして作動する場合には、全てのSpoilerが最大角度で展開される。一方、飛行中、SpoilerがSpeed Brakeとして作動する場合には、空力性能や操縦性を確保する為、展開するSpoilerの枚数、及びその角度は制限されている。Ground Spoilerは、Speed Brake LeverがArm(着陸前はArmとするよう定められている)されており、かつ、Thrust Idle、Ground Modeの3つの条件がそろった時に展開される。
一方、報告書3.5.2(3)に「バウンドはしたものの、その高さは主脚のチルト角が17°となりエアと記録されるほど、すなわちタイヤが滑走路面から完全に離れるほどではかった」と記されているように、当機は1回目の接地の後、主脚前輪が僅かに地面に接地する状況で飛行していた。すなわち、主脚に荷重は懸かっていない飛行状態であったが、主脚前輪が僅かに接地していた為、システム上はGround Modeと認識される状態であったと考えられる。このため、6頁のパラメータに示されたとおり、Ground Spoilerは最初の接地後に、主脚前輪が僅かに接地していた状況で飛行していた09:59:14後半から展開が始まり、09:59:15には全開となり、主翼揚力の大幅な減少を引き起こし、機体全体の降下率を増大させた可能性がある。

・主脚に機体の全重量がかかっていない状態の認識について
運航乗務員は、機体が接地した事を接地時の振動やショックで感じ取る事が出来る。しかし、大型機において非常にスムーズな接地となった場合には、コックピットが主脚から離れているため、乗員が振動等によって接地を認識することは困難である。そのような場合、航空機のシステムがGround Modeに変わった時に発せられる脚作動レバー・モジュール内のロック・ソレノイド(地上における脚上げ操作を防止する装置)の作動音は参考としうる。ちなみにこの作動音は、離陸時のLift Off直後、AIR/GRDセンサーがGroundからAir Modeに変わった場合にも聞こえる。
一方、本事例1回目の接地(09:59:14)後の垂直加速度は、1.478、1.359、1.607、1.465、1.375、1.121、1.048と滑らかな変化を見せている。このような変化はバウンドした場合に体感される加速度の変化ではなく、主脚が接地した状態が継続していることを乗員に体感させるものである。加えて、5頁(59分13秒)に示されたように「カチャカチャカチャ」が1度しか記録されていない事から、主脚に機体の全重量がかかっていない状態を直感させるコックピット内の現象は無かった。
実際、両乗員は運輸安全委員会への証言において「機体は再浮揚していない」と報告している。

NTSBの報告について
24頁では、NTSBのコメントとして数例の過去事例と類似した特徴を有していると述べられている。「それらの過去事例は、概ね着陸時にバウンドした後に急激な機首下げ操作が行われている」とあるが、本件は主脚の一部が接地した状態であり、一般的に言うバウンドとは状況が異なる。(本見解のこれまでの記述においても「バウンド」という表現は使用していない)また、急激かつ継続的な機首下げ操作も実施されていないことから(CCP値の推移は、-3.16、-3.87、-1.41であり、途中で機首下げが緩和されたことが記録されている)、過去事例から前脚の破壊に至ったと類推することは適切な手法とは言い難い。本件の原因を究明するには、操舵角による定量的な空力計算を前提に、推力減少の影響、空中におけるGround Spoilerの展開の影響が精査される必要がある。

接地後に機首を下げる操作について
主脚接地後に機首を下げる操縦について、日本航空、及びBoeingがそれぞれ規定する操縦方法には差異がある。以下にそれぞれの教材に示された操縦に関する表記を示す。

・インシデント発生当時(2005年)の日本航空における表記

以下の通り、日本航空では「Main GearがTouchdownしたら、Noseを押さえて、Nose Gearを低い位置に保つ」よう指導されていた。

(PILOT FLIGHT TRAINING GUIDEより抜粋)

Landing Roll

Nose Gearの接地操作はB767 の操作の中でも特に難しい操作のひとつである。

Touch Downの際、Nose GearからRunway Surfaceまでの高さが判定しにくい事からNose GearをHardにTouch Downさせる可能性がある。

Low Speedになって高い位置からNose GearをSmoothに接地させるのは難しいので、Main GearがTouchdownしたら、Noseを押さえて、Nose Gearを低い位置に保つ事である。

Touch Down

 Touch Downと同時に、Control ColumnにかけていたBack Pressureを緩め、すばやく右手でReverse Leverを引く。Back Pressureを緩めながら、Noseをゆっくり下げて行く。訓練初期の段階では、Noseの高さが分かりにくく非常に難しい。

又、High PitchでTouch Downした場合は、Spoiler Extendの影響で、Nose UPの傾向が大きくなり、Control Columnを一旦前に押す必要もでてくる。

Nose Gear接地直前にBack Pressureを加え、スムーズにつける。Nose Gearが接地する辺りでReverse Idleとなり、Reverse Leverを引きつつ方向安定に努める。

・インシデント発生当時(2005年)のBoeingにおける表記

767を始め、777、737、747-400等の大型機では、一般的に主脚のTilt SensorがAIR/GROUND Sensorの1つとして利用されている。この方式が採用されている航空機においては、本事例で発生した「主脚に荷重がかかっていないが、システム的にはGround Mode」と認識される状態が発生しうる。そのような状態で機首下げを行った場合は本件と同様の事象が発生しうる。また、過去に同種の事故が発生している事から、767 Flight Crew Training Manualにおいて「機体構造にDamageを与える恐れがあるため、Nose Wheelを接地させる前にControl Columnを大きくNose Down方向に動かしてはならない。」ことが”CAUTION”として明示されていた。

(Boeing 767 Flight Crew Training Manualより抜粋)

Fly the nose wheel onto the runway smoothly by relaxing aft control column pressure. Control column movement forward of neutral should not be required. Do not attempt to hold the nose wheel off the runway. Holding the nose up after touchdown for aerodynamic braking is not an effective braking technique.

CAU’I’ION: Pitch rates sufficient to cause airplane structural damage can occur if large nose down control column movement is made prior to nose wheel touchdown

・現在の日本航空における表記
以下の通り、現行の教育資料においても「Main GearがTouchdownしたら、Noseを押さえて、Nose Gearを低い位置に保つ」ように表記されている。これはMain Gearが機体の荷重を支えていれば適切な操縦操作といえるが、本事例のようにGround Modeでありながら主脚に荷重がかかっていない場合を想定した操縦操作とはいえない。このため、リスクの内在した操縦操作が注釈のないまま推奨されている。

(現行Flight Training Guideより抜粋)

機体構造にDamageを与える恐れがあるため、Nose Wheelを接地させる前にControl Columnを大きくNose Down方向に動かしてはならない。

(FTG Supplementより抜粋)

Nose Gearの接地操作はB767 の操作の中でも特に難しい操作のひとつである。

Touch Downの際、Nose GearからRunway Surfaceまでの高さが判定しにくい事からNose GearをHardにTouch Downさせる可能性がある。

Low Speedになって高い位置からNose GearをSmoothに接地させるのは難しいので、Main GearがTouchdownしたら、Noseを押さえて、Nose Gearを低い位置に保つ事である。

まとめ
本件の「航空重大インシデント調査報告書」は、以下の項目の分析・検討がなく、再発防止の観点から不十分である。機長組合は運輸安全委員会に対して、以下の項目を含むあらゆる可能性から原因を再調査し、再発防止の観点から、適切な操縦方法についての周知を含めた対応を行うよう希望する。

主脚が機体の荷重を支えていない場合に、機体の動きや操縦士の感覚にどのような影響を与え、どのような操縦が推奨されるか。
 
Ground Spoilerの展開は、1.の状態にどのような影響を与えるか。
 
エンジン推力の減少は、1.の状態にどのような影響を与えるか。
 
接地後も主脚が機体の荷重を支えていないことを操縦士が認知し得ない状況は、本件のような事例にどのような影響を与えるか。
 
NTSBのコメント「数例の過去事例と類似した特徴を有している」についての詳細な比較検討。
 
主脚接地後に機首を下げる操縦についての規定が、日本航空、及びBoeingにおいて差異があることは、本件発生に影響を与えているか。
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航空事故調査委員会と警察航空事故調査委員会と警察

航空機事故調査に関しては、国際民間航空機構(ICAO)と呼ばれる国際条約機構により、細かく決められています。わが国の航空法はその第1条に『国際民間航空条約に準拠する』と謳われており、国は事故調査に当たってもICAOの規定どおりに行なう義務があります。 国際民間航空条約の第13付属書(ANNEX13)には、事故調査の目的として次のように記載されています。 「事故またはインシデント調査の唯一の目的は将来の事故またはインシデントの防止である。罪や責任を課するのが調査活動の目的ではない」 日本の航空事故調査委員会は、「航空事故調査委員会設置法」「同、施行令」「事務局組織規則」などの法令により、設置・運営されており、国土交通省の付属機関となっています。 日本で航空事故が発生すると、通常は警察が最初に事情聴取をしようとします。今回の事故でも当該機が羽田空港に到着した直後、乗客や負傷者の降機も終了しないうちに警察官3名が操縦室まで入り込み、まだ業務中であった機長らに対し、事情聴取を始めました。 そのため、機長としての業務の遂行が妨げられただけでなく、最も大切な、事故調査委員会や会社による事実の確認が大幅に遅れることになりました。 今回のニアミスに関しては「乗員が警察の事情聴取に応じなかったから、原因調査が出来なかった」と報道されましたが、はっきり言えることは「警察は原因調査は行なわない」ということです。 警察が行なうのは「犯人の特定」のみで、警察の事情聴取に時間を取られている間、事故調査委員会による原因調査が遅れることになり、それだけ安全が阻害されることになります。安全のためには一刻も早く不安全要素を取り除くことが最も重要であり、事故調査の先進国であるイギリスでは、事故発生後36時間で安全勧告が出されたことさえあります。 今回、扇国土交通大臣も「責任の所在も必要だが、原因究明が先決」と語っています。

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経営問題に関する取り組みについて(中期計画と人件費関連施策)経営問題について機長組合第22期では、以下の年間方針を基に取り組んだ。(1) 活動の基調(抜粋) ・ 06年度決算での突然の大幅赤字以降、後決算状況は好業績を示しており、これ以上の人件費削減はまったく必要がない。経営が人件費削減だのみの中期再生プランをこのまま推進すれば、「JAL再生」の原動力となるべき社員のモラルとモチベーションを損ね、安全とサービス品質の低下を招き、「JAL再生」に向けてまったくの逆効果となりかねない。 ・ 事業運営については、公共運送事業としての責務を大前提に、経営の状況を正確に分析して適正な事業計画を策定させる。 (2) 基本方針と課題(抜粋)    健全な事業計画策定・健全な事業運営の実現 ・ 真の赤字の原因を正しく分析させ、人減らし・人件費削減ではなく、適正な需要予測の元、収益性を重視した事業計画・路便計画を策定させ、健全な事業運営を行わせる。 ・ 事業計画・資金計画・予算・決算等の情報を十分に公開させ、分析・交渉および学習活動を行うとともに、広く社会に組合の考えを広める活動を行う。  <経営の対応と組合の取組みの概要>06年度の決算は、本業の回復が著しい中でも税調整会計により大幅な当期赤字を計上したが、経営は06-10年度中期計画で「年間06年度対比で500億円の人件費削減」方針を打ち出し、07年7月には具体策(退職金の切り下げ・夏期休暇のカット)を発表した。機長組合第22期の取り組みはこうした状況を引き継いで開始された。 この時点での経営の「人件費切り下げが必要な理由」は、もっぱら「金融機関がリストラ(人件費切り下げ)が融資の条件と言っている」であった 07年度上期決算では、予定されていなかった独禁法関連引当金(米国分)を計上しても年間の営業利益見通し(480億円)を大幅に上回り、職場には社員の頑張りに報いる経営の判断を求めたが、経営企画室は「下期は燃油費等の動向が不透明」と主張し、通年の見通しを変更しなかった。 JALFIO執行部は上期の好調な決算を受けて「年間一時金協定の再協議」を求めたが、結局通期収支に関する上記の経営の見通しに同調し、「最終決算時に再度交渉する」ことを確認したのみで、当初見通しを前提とした冬期一時金を受け入れた。 機長組合は、12月18日の執行委員会で「2007年度上期決算と10月仮決算を踏まえた人件費関連施策に関する機長組合見解」を確認した。[ 1218見解の骨子 (詳細は機長組合ニュースNo.22-091参照)] (1) 決算の現状について 現時点で「当期利益の見通しは変わらない」との経営の主張を社員は理解し得ない社員の懸命な努力に引き換え、経営戦略が当を得ているかは疑問である最終決算に大きな影響を与えている特別損益の説明が不十分である (2) 再生中期プラン(中期計画)と人件費関連施策について 経営が社員に痛みを強いる人件費関連施策を提示するやり方は極めて身勝手である金融機関が「人件費切り下げが融資の条件」と言っているとの情報を安易に一人歩きさせてはならない経営が現状を本当に「JAL存続の危機」と認識しているなら、従来の「JALFIOのみとの合意で強行する」手法を、明確に放棄しなければならない。(3) 機長組合の提言 07年度の収支が見通せた時点で、決算内容に応じた期末一時金の支給を確約すること収支状況が好転していることを踏まえ、退職金の見直しについては今年度中の実施を行なわず、08年度以降も継続協議して行くこと08年度以降の新中期計画策定にあたり早急に組合と十分協議すること第三四半期までの累積決算(4月~12月)においても収支が好調な状況は変わらなかったが、経営企画室は実態とかけ離れた「予算以上の利益は望めない。退職金の切り下げ等人件費の切り下げは必要」との説明に終始した。 2月6日に社長との面談が行われ、その中で社長は「70億円の当期利益計画は死守したい。それ以上の利益を還元したいので組合の協力をお願いしたい。還元は決算概要が見えてくる4月には示せるだろう。今後も話し合って行きたい」と強調した。 2月29日には新中期計画(08-10再生中期プラン)が示され、3月4日に経営協議会が行なわれたが、新たな中期計画には「1500億円を優先株の発行で増資する。その配当のために利益計画を上方修正し、人件費を100億円削減(08年度は10月実施予定で50億円)して、配当原資に充てる」という内容が含まれていた。新旧中期計画の利益比較(太字斜体は新中期計画) 機長組合は「還元の方法論と、中期人件費関連施策の詳細な論議のため、春闘の交渉とは別に、経営企画の役員の出席する交渉を早急に開催すること」を要求した。 08春闘団交の中で機長組合は「現在の収支状況なら、利益還元分を原資に、当面の退職金切り下げを回避し、話し合いを継続することが可能」と主張したが、安中労務担当は、決算上の知識が希薄な中でも「退職金を切り下げなかったことにより、70億円の当期利益を下回わるわけにはいかない」と強弁した。機長組合は繰り返し、社長の約束に基づき、社長及びBAZ役員が交渉に出席することを求めた。 3月27日には4月から予定された退職金の切り下げを前に、最後の団交が行なわれたが、会社側の出席者は従来の域を超えず、機長組合は「全く納得できない。このまま退職金の切り下げ強行と言うことになれば、第三者機関へ提訴ということにもなる。精緻な議論をしなければならない。3月中に説明がなければ、切り下げ強行などとてもできない。4月の説明であれば、切り下げを実施しないで決算を出すべきだ。今日の段階では議論不十分だ。早急にBAZ出席の交渉を求める」と主張した。 しかし労務・経営はJALFIOとの合意をてこに、4月からの切り下げを強行したため、機長組合は4月1日に見解(骨子)を発表した。 0401見解の骨子 (詳細は機長組合ニュースNo.22-149参照)  経営企画室や労務が執拗に赤字宣伝を行なったが、社員は好調な収支状況を十分に把握しており、JALFIO執行部も社長の「07年度利益から社員に還元する」との姿勢に合わせ、07年度臨時手当上積みに向けた特別協議を要求せざるを得なかった。機長組合は「形だけの再協議」に終わらせることの無いように、JALFIO組合員を含めた職場へ、以下を教宣した。(以下は、機長組合ニュースNo.22-160抜粋)[機長組合は、運航の現場の最終責任者の立場から改めて指摘する] JALFIO執行部が「07年度臨時手当に関する特別協議」を再開した事については大いに評価するが、最も重要なことは、JALFIO執行部が職場を振り返り、職場の声に真摯に耳を傾け、人件費削減一辺倒の経営に安易に迎合せず、職場が納得する協議を行なうことである。 経営は真のJALの再生のために、JALFIO執行部との密室交渉を先行させることなく、全社員に対してきちんと利益を還元する姿勢を示すべきである。 JJ労組の緊急要請は、「期末手当として1.6ヶ月を支払うこと」。春闘で会社が仮に示したような「お茶を濁した程度の期末手当」では許さない。機長組合は、経営に職場の要求に答える「利益還元」を行わせるために、それまでの経営姿勢と決算状況を職場に伝えるシリーズニュースを発行し、社員の認識を誤らせる宣伝を行なう経営企画室と、その宣伝を基に不誠実な交渉を行なう労務部を批判した。(機長組合ニュースNo.22-153,155,156,157,159 計5部) 5月2日には07年度決算の修正見通しが、5月9日には最終決算が発表されたが、中間決算時の米国分に加え欧州分の独禁法関連引当を行なっても、予算を大きく超える利益となった。また経営企画室は3月末の段階でも「年間利益は予算を大きく超えない」と主張しており、わずか1カ月余りで営業収支が400億円以上も好転する(?)状況であり、経営企画室の極めて欺瞞的な宣伝の実態が明らかになった。[07年度利益見通しの推移と最終決算] 5月8日には、0.3カ月+10,000円の07年度利益への還元(期末一時金)が提示されたが、12日には100億円の賃金切り下げの具体策(ほぼ全ての賃金項目の5%カット、08年10月1日実施予定とし、初年度効果は50億円の恒久策)が提示された 。 5月13日には決算説明会が行われ、組合は概略以下の主張を行なった。(詳細は機長・先任ニュースNo.2007UY‐023参照)経営企画室の3月14日付け文書は意図的な黒字隠しの虚偽説明米国と欧州を合わせ違法なカルテルで170億円の損失を出した経営責任は重大JALカードの売却に関して損金は前出し利益は先送りの会計操作があるとの感が強い増えないと言っていた特損が、255億円も増えるというのは損失の前出し08年度に社員から新たに100億円の賃金をカットを計画しながら予算説明が不十分燃油費のヘッジ単価について説明しないのは交渉経緯にもとる08年度の人件費削減計画額▲270億円の内訳の詳細な説明を求める 5月27日には経営協議会が行なわれ、組合は概略(◇)の主張を行なったが、西松社長は(◆)の答弁を行なうに止まった。(詳細は機長・先任ニュースNo.2007UY‐025参照)◇

706便事故裁判第12回公判速報706便事故裁判第12回公判速報

6月9日 706便事故 第12回公判 速報 酒井 証人(羽田整備事業部品質管理部長) に対する検察側・弁護側尋問と証言から(要旨抜粋) 6月9日、706便事故 第12回公判では、表記証人尋問が行われました。以下は、機長組合による要約録取の概要です。詳細は別途お知らせします。 <検察側尋問> Ø 電磁波干渉(EMI)について 検察:証人は、97年から整備本部技術部システム技術室電装グループに在籍していたが、どのような業務を行うのか? 証人:航空機の電子システムに対して、仕様の決定・不具合解析・改善の必要があればその改善策の検討だ。(AUTOPILOTのLOGIC、例えばどの様な時にAPがDisconnectするのか等については)担当していないので詳しくない。 検察:電磁波干渉(EMI)に関わってきたか? 証人:はい。 検察:電磁波干渉とは何か? 証人:携帯電子機器等の発している電波が、航空機に何らかの形で影響を及ぼす事だ。 検察:電磁波干渉についての研究はどうか? 証人:96年に電気学会誌に「航空機客室内における電磁波干渉」について論文を寄稿した。又、航空振興財団の委員として「航空機内で使用する電子機器の電磁干渉波」の研究をやった。 検察:電磁波干渉が知られるようになったのは何時か? 証人:1950年から60年頃だ。米国で、「携帯FMラジオが航法システムの一つであるVOR(超短波全方向無線標識)に影響を与える」との報告がされたのが始まりだ。容易に再現でき、因果関係は明確になった。 *VOR:地上施設から放射した電波を受信した航空機が、自己の飛行位置がどの方向なのかを知る航法装置。 検察:再現性が得られたという事の意味は? 証人:地上で確認が出来るという事だ。再現出来たらかなり因果関係が深いと言える。 検察:米国の事例以降で、再現性が得られた事例は? 証人:知らない。 検察:米国での電磁波干渉の研究機関は? 証人:アメリカ連邦航空局(FAA)とアメリカ航空無線技術委員会(RTCA)だ。RTCAの報告書に航空会社からの(電磁波干渉事例の)報告が紹介されている。航法システムへの影響が多いとある。 検察:(その中で)地上再現できたものは?