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日本航空機長組合 – Japan Airlines Captain Association日本航空機長組合 – Japan Airlines Captain Association

「安全に関する協議について」

現場の意見を一切聞かない兼子労務体制は、2005年に連続した安全上の不具合事例により崩壊した。安全の立て直しが至上命題であった新町体制は、それでも有効な対策を打ち出すことができず、社内から「経営が現場の声を聞かない」との強い意見が

出て失脚し、西松社長以下の体制が成立した。従って現経営体制は「安全を立て直すには、現場に立ち返り、現場の意見を吸い上げることから始める以外に方法はない」との共通認識が前提となっている、と言うことができる。

こうして西松体制で開始された機長組合第21期には、経営は安全に関する協議会やLOSA等の場において4乗組との協議を開始した。これは本部が上記の認識に立った結果であり、現場の声を集約している組合と話し合いの場を持つことは必然であった。機長組合22期になって、安全に関する組合と会社の協議の場はさらに増えており、どうすればもっと効果的に現場の声を反映させられるかを考察すべき時期にさしかかっているといえる。

これを考えるには、「安全を最優先とすべき航空会社の経営が、なぜ2006年以前は現場の意見を聞かずに存続・台頭し得たのか」について振り返っておく必要がある。兼子労務が台頭を始めた当時の安全問題として、ORD線のマルティプル編成を例にあげる。編成の切り下げによる安全上の問題を指摘したORD線のマルティプル編成は、勤務の総合見直しを踏まえて、休日増、配車、暫定手当の支払いなどにより、機長のみによる運航から開始された。編成の切り下げは安全上の切り下げを含んでいるが、機長組合が先行して乗務に就いた理由には、現場の機長のとらえ方には「絶対に許容できない」から、「状況的にはやむを得ない」まで、幅があったことも否定できない。現場の意見に幅がある場合、労務が現場に介入してくるおそれも強く、機長組合のとらえ方のポイントは、現場に支配・介入を許さない、との視点があった。

こうした編成の切り下げは、まず運航本部役員が「HNL→OSAの実績を考えると可能だと考える」と主張し、現場の乗員の意見を聞く耳を持たない立場に立ったこと、及び役員会が運航本部の意見を持って「本部が大丈夫と言っている」と判断することにより確定してしまった。さらには切り下げ開始後は、現場の乗員の懸命な努力によって安全運航が維持されてきたものを、労務部がその実績を基に、「実際は安全上の問題はないのに、組合は安全を盾に労働条件の切り下げに反対している」と嘯き、役員会の意志決定において組合を無視する風潮を形成させる要因となった。

こうした過去の経緯から組合が学ぶべきことは、第一に乗員の意識に幅がある場合、労務部が必ずこれを利用しようとすることであり、第二には運航本部に「安全上の問題には現場の声を反映しなければならない」と常に認識させることが重要、ということである。

ICAOのSafety Management Manualには、「事故(及び重大インシデント)は完全になくすことが望ましいが、100パーセントの安全率は達成不可能である。故障やエラーは、回避しようと最善の努力をはらっても起こるものである。人間が行うことや人間がつくるシステムで絶対安全、すなわちリスクが無いと保証できるものはない。安全とは相対的な概念であり、その考えに立てば固有のリスクは「安全」システムにおいては受容され得る。」とある。この考えに立ち、安全を次のように定義している。

「安全とは、ハザードの特定及びリスク管理を継続して行うことによって、人への危害あるいは財産への損害のリスクが受容レベルまで低減され、かつ受容レベル以下に維持されている状態を言う。」

機長組合では21期に引き続き、安全対話や機材品質説明会等の場で安全に関する協議を行い、また、LOSA STCにも参加してきた。加えて2008年春闘要求では「プロアクティブな安全対策を押し進める為、職場の代表である組合と共に、ICAOが提唱するSafety Management Systemを構築すること。」を挙げ、プロアクティブな安全対策への組合の参画を求めてきた。折しも、08年2月の502便、3月の1280便の相次ぐ不具合事例が発生したことから、機長組合は安全対策の策定にあたり、職場の代表である組合の意見を取り入れることを求めた。会社もこれに応え、運航安全ワーキンググループが設置され、緊急的、及び中・長期的対策が運航本部長に答申された。

中部空港の強い横風時、他社が運航しているのにJALが運航できない状況があることから他本部の要請で始まった横風制限値の見直し問題や、J-OPSを使用したSystem Briefingの問題など、十分な対策なしには安全性の切り下げとなりかねない項目についても積極的に議論に応じ、リスクが受容レベルと判断できるよう安全の担保を求めてきた。機長組合が、「安全性の切り下げにつながりかねない問題についても常に論議を尽くすべきだ」と考える理由は、いずれの問題においても、こうした提案がなされる場合、職場の機長の意見が含まれており、その中には、条件が整えばこれらは許容できるという意見も少なからずある、ということだ。

乗員の組合が持つ使命は、安全運航の確立と労働条件の維持向上の2つである。機長組合は安全に関する協議を行うにあたり、労働条件の問題とは明確な線引きをして臨んできた。これは安全問題に労務施策を入り込ませない上で重要なスタンスである。現場の声に立脚した真に有効なSafety Management Systemを確立させるために、安全対策の策定に組合がどのように関与していくかについて、4乗組間の意思統一が図れるよう働きかけていく必要がある。

以下に、今期行われた安全に関する協議の概要を記す。

■安全対話 ■運航安全ワーキンググループ ■LOSA(LOSA NewsNo.13~16)

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意図せざる動きアンケート報告46意図せざる動きアンケート報告46

EICAS MESSAGEの異常 巡航中に、EICASのFUEL TOTALIZER INDICATIONが“0”の表示になった。 客室室内のチェックを行ってもらったところ、ファーストクラスの乗客がノートパソコンを使用中であり、電源を切ってもらったところNORMAL表示に戻った。 747-400 COPILOT (組合注) 皆様から寄せられたアンケートの分析の結果、電子機器の種類と使用場所(座席位置)が重要なファクターとなっている可能性が考えられます。 異常を経験されたときは、出来うる限り使用場所と機種をチェックしていただくようお願いいたします。 機長組合では、EMIが疑われるケースを、出来るだけ多く集めたいと努力しております。PWR LEVERに限らず、異常な経験及びEMIに関する情報も含めて、機長組合までお知らせください。E-Mailでも結構です。

706便事故裁判第12回公判速報706便事故裁判第12回公判速報

6月9日 706便事故 第12回公判 速報 酒井 証人(羽田整備事業部品質管理部長) に対する検察側・弁護側尋問と証言から(要旨抜粋) 6月9日、706便事故 第12回公判では、表記証人尋問が行われました。以下は、機長組合による要約録取の概要です。詳細は別途お知らせします。 <検察側尋問> Ø 電磁波干渉(EMI)について 検察:証人は、97年から整備本部技術部システム技術室電装グループに在籍していたが、どのような業務を行うのか? 証人:航空機の電子システムに対して、仕様の決定・不具合解析・改善の必要があればその改善策の検討だ。(AUTOPILOTのLOGIC、例えばどの様な時にAPがDisconnectするのか等については)担当していないので詳しくない。 検察:電磁波干渉(EMI)に関わってきたか? 証人:はい。 検察:電磁波干渉とは何か? 証人:携帯電子機器等の発している電波が、航空機に何らかの形で影響を及ぼす事だ。 検察:電磁波干渉についての研究はどうか? 証人:96年に電気学会誌に「航空機客室内における電磁波干渉」について論文を寄稿した。又、航空振興財団の委員として「航空機内で使用する電子機器の電磁干渉波」の研究をやった。 検察:電磁波干渉が知られるようになったのは何時か? 証人:1950年から60年頃だ。米国で、「携帯FMラジオが航法システムの一つであるVOR(超短波全方向無線標識)に影響を与える」との報告がされたのが始まりだ。容易に再現でき、因果関係は明確になった。 *VOR:地上施設から放射した電波を受信した航空機が、自己の飛行位置がどの方向なのかを知る航法装置。 検察:再現性が得られたという事の意味は? 証人:地上で確認が出来るという事だ。再現出来たらかなり因果関係が深いと言える。 検察:米国の事例以降で、再現性が得られた事例は? 証人:知らない。 検察:米国での電磁波干渉の研究機関は? 証人:アメリカ連邦航空局(FAA)とアメリカ航空無線技術委員会(RTCA)だ。RTCAの報告書に航空会社からの(電磁波干渉事例の)報告が紹介されている。航法システムへの影響が多いとある。 検察:(その中で)地上再現できたものは?

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意図せざる動きアンケート報告 =電波干渉の可能性も含めて= No.1 No.2 No.3 No.4 No.5 No.6 No.7 No.8 No.9 No.10 No.11 No. 12 No. 13 No.14 No.15 No.16 No.17 No.18 No.19 No.20 No.21 No.22 No.23 No.24 No.25 No.26