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事故調意見聴取

出席者:渡木主席調査官

          宮沢調査官

          成松調査官

          宮崎調査官



          高本孝一

・事故調査委員会設置法に基づき、再発防止のために行うもので、話したくないことは強制しないし、言いたい事は何でも言ってほしい。

******私のほうから、意見書に沿って説明を行う******

・非常に詳しく説明頂いた。内容は委員会に図るので、反映できるかどうかについては、ここでは言うことが出来ない。

・まとめの作業は、法やICAO ANN13に基づいて行う。いろいろな要因を調査した結果、原因と関係ないと認められた場合、報告書には出ないことになる。

→こちらの質問や指摘に関して、どのように検討されたのかを知りたい。

・どのように検討したのかと聞かれても、開示するわけには行かない。

・事故報告書は、事故が起きたという結果論で論じられるものだ。その中には、直接原因とまでは言えなくても、ベター論を含める必要がある。

→後からああすれば良かったこうすれば良かったと言う事は、何の役にも立たないので、入れてほしくない。例えば350ktと言う速度の選択にしても、ライトタービュランスでは制限を受ける状況ではないし、ライトタービュランスでも速度制限を適用すると言うことになれば、会社にAOMの改訂を勧告する必要が出てくるが、もし、そのような勧告が出されても、現場の乗員には受け入れられない。

宮沢調査官はパイロットの出身と聞くが、この点に関してどう思うか?

・(宮沢):個人的には、ライトタービュランスは、特別な注意は要らないと思う。

→マンチェスターで発生したブリティッシュエアツアーズのB737の事故報告書では、機体が停止する際に誘導路に入り緩やかに停止したことに関し、委員会内で「滑走路上で迅速に停止すれば、約10秒ほど緊急脱出の開始が早められた可能性がある」との意見が出されたことに触れ、「その意見は、論理的には可能であるが、今回の状況下でパイロットにそこまで求めるのには無理がある」と、はっきり否定している。机上の空論にならないよう、十分注意する必要がある。

・クルーコーディネーションに関して、報告書に書かれているが、何か言いたい事はあるか。

→副操縦士は、適切なモニターとタイムリーなアドバイスをしてくれ、良いコーディネーションであったと思う。

・操縦室内で、機長の操作を良く見ておくべきであったと言うような意味の記述があるが、この点は委員会の中でも「厳しすぎないか」との意見もあった。

→2マン機は、責任範囲がはっきりと決められていて、自分の範囲の作業は自分で責任を持って行うことが原則となっている。ただ、相手がスイッチ操作や操縦操作を行う際は、体の動きが見えるので、モニターすることになっている。

今回、機長の操作に関してアドバイスがなかったことは、機長が操作を行わなかったので、アドバイスの必要がなかったと言うことだ。

・ベルトサインの点灯は、約3分の余裕を考えたと述べているが、3分というのはどうなのか。

→事故後に会社から出された資料によれば、サービス中にベルトサインが点灯した場合は、必要な作業を終えるのに約5分必要と書かれているが、706便の場合はサービスが終了しており、片付けもほぼ終わっているとの報告を受けていたので、1~2分で座れるものと思った。一般的にはサービス終了後であれば約3分ぐらいで座れると考える機長が多いと思う。

・今回意見を述べられた点については、勉強させていただく。今後何か聞きたいことが出てきた場合は、再び意見を聞かせていただくかどうか考える。

・報告書をまとめるに当たり、あくまで真実を追及する姿勢も良いが、5年も10年もかかったのでは現実的でないので、どこかで区切りをつけることになる。それをどのあたりに置くかが悩ましいところだ。

・真理に到達できなくても、外堀が埋まれば役に立つと言う考えもある。

→真実に迫ることや見極め方が難しいことは分かるが、データから見出せない結論は避けていただきたい。

・データはDFDRを基本にしているが、不足部分はADASで補う必要もある。2つの異なるソースの時間合わせも難しいし、DFDRであってもデータの種類によって1秒を64ビットに分けて記してあるので、正しい時間に補正する必要もある。この点に最も苦労した。

→「結論は決まったので、データをどのようにするか」と言うような考え方をとられないよう望む。

→アメリカン107便の事例では、データ解析上特別な補正をしたとは聞いていないし、事故後まもなく出されたファクチュアルレポートのデータでも、自動操縦装置が切れた直後に4枚のエレベーターが機首上げ方向に揃い、その時にピッチも上がっている。補正を行わなくても良く事実と記録が一致している。

・(一瞬固まってしまい)たまたま良く一致することもあるだろう。

→いくら頭を悩ませても、データを進めるべきか遅らせるべきかは誰にも断言することは出来ず、結局は予断の方向へのつじつま合わせとなる。

→RAW DATAが通常では考えられない記録をしているところこそ、何かの要因が作用した部分と見るべきで、そこに原因究明の糸口をつかむのが科学的なアプローチであると思う。

以上