19053a_ワイヤーカット申し入れニュース
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No.19-053
日本航空機長組合
職場の実態から目をそむけた
調査・報告では意味がない!
電線切断を「犯罪行為」と認識し、徹底した原因究明を行い、
経営責任を明確にするよう、9月27日に経営に申し入れ
日本航空では、2000年以降3件の電線切断事例が発生しています。そして今年1月にはB767にて4件目となる電線切断事件が発生しました。
この4件目となる事件についての社内調査報告書がまとまったということで、機長組合は8月の機材品質説明会等の場で、報告書の内容について説明を求めました。
それによると、今回の事件の要因・背景には“時代の変化”によって“個人の価値観の変化”したことが関与した可能性が考えられると分析し、その対策として、「整備士として飛行機を大切に扱うことがいかに大事か」との面での教育等に取り組むとしています。
本当にそれが、平然と機材を“故意に痛めつけた”事態を招いた原因なのでしょうか?
会社は“構造改革”の名の下に、これまで様々な「合理化」を職場に押し付けてきました。整備の職場でも管理職の55歳進路選択制度を導入し、整備の現場に残れない、若しくは大幅な賃金切り下げを強いられる状況を作りました。その一方で、JALTAM、JALNAMといった子会社を設立し、委託化をどんどん進めています。しかも当該子会社の労働条件は驚くほど劣悪なもので、モラル低下も指摘されています。
こういった会社施策の影響には全く目を向けず、単に「世間」「個人」にその原因を求めるのであれば、その調査・報告は全く意味をなさないでしょう。さらに「悪質な犯罪行為」との認識を欠き、うやむやに事件を終結させ、社内の監督責任も不問にされるようでは事件の再発を食い止められるとも思えません。
機長組合は、再びこのような事態が発生しないよう、犯罪捜査も視野に入れた徹底した調査と経営責任の明確化、そして抜本的な経営施策の見直しで安心できる整備体制の確立に取り組むよう、申し入れを行いました。(裏面参照)
機長組合発、日本航空兼子CEOおよびJAL-I羽根田社長宛 発信文書
2004年9月27日
JCA 19-6
「電線切断」に関する社内調査について(申し入れ)
貴職もご認識のように、日本航空では、2000年以降、3件(2000年7月JA8913、同年8月JA8075、2001年2月JA812J)の電気配線切断事件が発生しております。また、2002年2月には、計10機の機材で、トイレ内壁に故意に開けたと思われる穴が発見されました。
これらの何れの事件においても、原因の究明が曖昧にされ、かかる事態への根本的な対策が取られないまま、更に2003年3月には、B747型機(JA8180)において、隠蔽工作と思われる機体構造部への不正な措置が行われていたことも発見されました。
そして本年1月には、重整備を行っていたB767型機(JA8234)において、電線が「人為的に切断されていた」ことが再び発見されました。
この4件目となる電線切断事件に関して、先般、社内調査報告書がまとめられ、その内容について口頭での事務的な説明を受けましたが、それによれば、報告書に記載されている「企業環境の変化が影響した可能性」というのは“個人の価値観の変化によって会社・組織の変化を生んでいることを指すもの”であって、“経営施策による働く環境の変化とは捉えていない”との事であります。
このような調査報告では原因追求が真摯に行われたとは到底考えられず、全く不十分と言わざるを得ません。
また、事件の根底にある93年以来強行されている様々な「合理化施策」「リストラ施策」による職場の荒廃という現実から悪戯に目を逸らし、経営自らがこうした職場環境を作り出したのではないかのような責任放棄の姿勢であることから、断じて認められるものではありません。
このような誤った認識の下での調査では本件のような事件の再発防止は図れず、乗客・乗員が危険に晒されるような、より深刻な事態を招きかねないものとして、危機感を抱くものです。
また貴職は、本件について警察への告訴をしない意向であるとしていますが、これは「故意による悪質な犯罪行為」との認識に欠けるものであると言わざるを得ません。また、人為的な電線切断事件が4件も発生し続けている事態に対して、社内での管理監督責任も不問にされていることは、経営が乗客・乗員を危険に陥れる加害者の立場にあるとの認識が欠落したものとして、企業の社会的責任の見地からも容認できないものです。
私たちは、再びこのような事態が発生しないよう、犯罪捜査も視野に入れた徹底した調査と経営責任の明確化、そして現場整備士の日本航空インターナショナルでの採用を行うなど、整備体制の抜本的な見直しを早急に行うよう申し入れるものです。また本件についてJAL CEOならびに日本航空インターナショナル社長との早急な面会を強く申し入れます。
以上