jca Jamaika  

123便事故から18年目

520名の尊い人命を奪った日本航空123便 (JA8119号機)事故から17年の歳月が過ぎようとしています。

今、改めて犠牲になられた方々のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の皆様に心から哀悼の意を表します。

同種事故の再発防止のためには科学的な調査に基づく『真の事故原因』の究明が不可欠であり、そのために私達は以下の5項目の実現を事故直後から航空事故調査委員会に対して強く要請してきました。

  1. 急減圧が人体に及ぼす影響の公開実験
  2. 大規模な実験による破壊過程の検証と公開
  3. 未回収残骸の徹底回収と調査
  4. フライトレコーダー、ボイスレコーダー等『生のデータ』の関係者への公開
  5. 以上を踏まえての再度の聴聞会の開催

事故調査委員会は事故原因を「圧力隔壁の破壊による急減圧」としています。しかし、私達現場の運航乗務員や客室乗務員、整備士等の航空労働者は「急減圧が存在した」とする事故調査報告書の内容には当初から疑問を呈してきました。フライトレコーダーやボイスレコーダーの解析結果、機内の写真、生存者の証言のいずれを見ても、急減圧が明らかな他の事例(1986.10.26 タイ航空機事故、1988.5.28 アロハ航空機事故、1989.2.24 ユナイテッド航空機事故等)と123便事故は際立った違いを示しています。事実、事故調査報告書の内容を検証するために1999年4月に米国で行なわれた急減圧の人体実験の結果は、事故調査報告書の内容を完全に否定するものでした。

また一昨年マスコミ各社で報道された「ボイスレコーダーの音声を録音したとされるテープ」を聞くと、事故調査報告書にあるボイスレコーダーの解析結果とは異なる会話が録音されている事も明らかになりました。しかも、国土交通省(旧運輸省)が情報公開法の施行を前に、膨大な調査資料を破棄するという再調査への動きに逆行する事実も明らかになっています。私達は、国際民間航空条約の規定に準拠して、早急に上記5項目に基づく科学的な再調査が行われるべきであると考えます。

日本航空経営の労務姿勢は123便事故を機に社会から批判を受け、経営陣は一新されました。新経営は旧来の労務姿勢を改め「絶対安全の確立」を基本とする最高経営会議方針を策定し、そのためには「労使関係の安定・融和が不可欠」との認識を内外に明らかにしました。しかし1993年以降経営は、リストラ・構造改革として「絶対安全の確立」「労使関係の安定・融和」に逆行する数々の施策を、職場の理解を得ることなく一方的に強行しています。

安全の要である整備部門では、2000年4月から導入された「整備カンパニー制度=別会社化」のもとで自社整備員の採用は年間10名程度の基幹要員のみとなり、技術の伝承や経験の蓄積も行なえない状況となっています。

更に、自社航空機の重整備を人件費の安い海外(中国、シンガポール)に委託し、自社整備主義も放棄しています。こうした状況の中で、機材トラブルによる地上引き返し、空中引き返し、フライトキャンセルが多発しています。また、昨年問題になった「故意」と思われる航空機の配線の切断事件に続き、今年はやはり「故意」と思われる航空機のラバトリー壁面の穴あけ事件も発生しており、日本航空の安全管理体制はまさに危機的な状況に瀕していると言えます。

あの未曾有の大事故から17年を経た今、私達は経営に対して、改めて事故の反省に立ち帰り「労使関係の安定・融和」を基に「絶対安全の確立」に全力を尽くすことを強く求めていきます。また、航空の職場で働く者の社会的責務として123便事故の真の事故原因を究明し、行政に対して再調査を求めて行くとともに「絶対安全の確立」のために更に活動を強化していくことを決意し、ここに表明します。

2002年8月12日 日本航空内5労組連絡会議