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日本航空機長組合 – Japan Airlines Captain Association日本航空機長組合 – Japan Airlines Captain Association


「706便事故裁判」

   
 
事故調査委員会の実態(問題点と改善方法)
~はじめからICAO条約に添った調査を出来ない?~

警察との覚書
約30年前、常設の航空事故調査委員会が発足する際、警察庁と運輸省(現在の国土交通省)が交わした覚書で、事故調は実質的に「警察の鑑定機関」の役目を果たすことが取り決められている。実際に現地調査を担当し、報告書原案を作成する調査官が「ICAO条約に添った調査を行う」という意欲と見識を持っていたとしても、このような覚書が存在しては困惑せざるを得ない。
そのうえ、刑事裁判で事故報告書が証拠採用され、その報告書に署名した委員が報告書の内容を補足する意味で、検察官申請の証人として公判で証言することを求められては、本来の任務(真の原因究明と再発防止)を果たすのに決定的な障害になる。
 
自らも調査の対象を制限し、一部項目を除外
現在の航空事故調査は、初めから「現場(乗員)のミスに焦点を絞った調査」を志向し、踏み込んでも「社内規定や訓練の不備の調査」まで、という前提で行なわれていることが現状であるように思われる。実際に現地調査や報告書案の作成を担当する調査官の責任者は、われわれの質問に対して以下のような考えを示している。
《機長組合ニュースNo.17-267より、(2003年6月12日、OCCCメンバーとの話し合い)》

OCCC:我々は、NTSBに新事実を提出したいと思っている。事故調が柔軟に対応してくれなければ、事故報告書が裁判に使われている以上、事故原因等についてコメントせざるを得ないし、NTSB(米国国家運輸安全委員会)と協議したいと考えている。
ている。
S次席航空事故調査官:
ている。
S次席航空事故調査官:
S次席航空事故調査官:デザイン上の問題は、メーカーとFAA(連邦航空省)が、SBとADで明らかにする。メーカーは世界中にサービスブリテン(SB)を出して改善策が取られるのがルールだ。それを事故調に持ち込むのは筋道が違う。  (注:下線は筆者)

S次席調査官の説明を要約すると以下の通りである。
日本は、事故機を設計も製造もしていないので、勝手に(改善策等を)判断すると外交問題になるので事故調は手を出さない。
設計上の問題は、ボーイング社とFAAが改善策をとるのがルールで、それを事故調に持ち込むのは筋違いだ。

 
事故調査委員会の実態(問題点と改善方法)
~はじめからICAO条約に添った調査を出来ない?~

警察との覚書
約30年前、常設の航空事故調査委員会が発足する際、警察庁と運輸省(現在の国土交通省)が交わした覚書で、事故調は実質的に「警察の鑑定機関」の役目を果たすことが取り決められている。実際に現地調査を担当し、報告書原案を作成する調査官が「ICAO条約に添った調査を行う」という意欲と見識を持っていたとしても、このような覚書が存在しては困惑せざるを得ない。
そのうえ、刑事裁判で事故報告書が証拠採用され、その報告書に署名した委員が報告書の内容を補足する意味で、検察官申請の証人として公判で証言することを求められては、本来の任務(真の原因究明と再発防止)を果たすのに決定的な障害になる。
 
自らも調査の対象を制限し、一部項目を除外
現在の航空事故調査は、初めから「現場(乗員)のミスに焦点を絞った調査」を志向し、踏み込んでも「社内規定や訓練の不備の調査」まで、という前提で行なわれていることが現状であるように思われる。実際に現地調査や報告書案の作成を担当する調査官の責任者は、われわれの質問に対して以下のような考えを示している。
《機長組合ニュースNo.17-267より、(2003年6月12日、OCCCメンバーとの話し合い)》

OCCC: 我々は、NTSBに新事実を提出したいと思っている。事故調が柔軟に対応してくれなければ、事故報告書が裁判に使われている以上、事故原因等についてコメントせざるを得ないし、NTSB(米国国家運輸安全委員会)と協議したいと考えている。
S次席航空事故調査官: 是非やって頂きたい。国と国とのお付き合いがあり、(自分達だけの判断で、再)調整は出来ない。一部の団体の意見だけで動けない。NTSBとFAAと協議の上、新事実と確認されなければ再調査はできない。PILOTのヒューマンファクター的な事は、日本で(調査)出来るが、航空機のデザイン、マニファクチャーに関して、製造していない国が勝手に判断すると国と国の問題になるのでやれない。CASE BY CASEである。組織、運航管理、PILOT個人の問題であれば対応できる。
S次席航空事故調査官: デザイン上の問題は、メーカーとFAA(連邦航空省)が、SBとADで明らかにする。メーカーは世界中にサービスブリテン(SB)を出して改善策が取られるのがルールだ。それを事故調に持ち込むのは筋道が違う。  (注:下線は筆者)
 
S次席調査官の説明を要約すると以下の通りである。
日本は、事故機を設計も製造もしていないので、勝手に(改善策等を)判断すると外交問題になるので事故調は手を出さない。
設計上の問題は、ボーイング社とFAAが改善策をとるのがルールで、それを事故調に持ち込むのは筋違いだ。

これらの説明の意味するところは、国内で発生した事故であっても、日本の事故調は「事故機の設計や製造上の問題に関わる調査・解析はしない」との前提で調査している、ということである。更に、再調査については事故調査委員会設置法に明確に規定されているにもかかわらず「NTSBとFAAと協議の上、(米国で)新事実と確認されなければ(日本の事故調は)再調査はできない」との見解で、自らは再調査の判断をしないことも示した。
国際民間航空条約 第13付属書
5.14 各国は、事故、またはインシデントの調査実施国からの要求に応じて、調査に利用できる全ての関連情報をその国に提供しなければならない。
上記のような条約があるにも拘らず事故調は、航空機製造国に対し必要な関連情報の提供を十分に受けず、自ら調査対象を制限している。こうした姿勢は、機材の問題にも踏み込んで真の事故原因を調査し、再発防止に役立たせることを目的としたICAO条約や、それに準拠する事故調査委員会設置法に明白に抵触しており、大きな問題である。また事故調査がこのような前提であれば、事故機に関わる設計や製造の問題提起は、事故の原因関係者ともなりうる航空機メーカー(ボーイング社)や型式証明などを認可する行政(FAA)に全面的に委ねるということになる。そのような状況では公平な調査は期待できず、事故調に求められる真の事故原因究明と再発防止という重要な役割を、最初から放棄していると言わざるを得ない。
 
事故調の事情聴取(機長の証言は事故調査に不要とでも言うのか)
《事故調による機長の事情聴取経緯》

1997年06月09日気象について、(同日、会社も事情聴取)
997年06月16日APについて(各スイッチ類の名称と操作方法等)
1998年03月17日救急体制について、(このとき機長から「揺れた状況についての聴取」を正式に要請)
1999年04月20日最終報告書に対する意見聴取(「機長の操作についての聴取を文書で要請」)

《事故調による機長の事情聴取経緯》

1997年06月09日 気象について、(同日、会社も事情聴取)
1997年06月16日 APについて(各スイッチ類の名称と操作方法等)
1998年03月17日 救急体制について、(このとき機長から「揺れた状況についての聴取」を正式に要請)
1999年04月20日 最終報告書に対する意見聴取(「機長の操作についての聴取を文書で要請」)
 
事故調は、「揺れた(衝撃)時の状況を説明したい」と機長から繰り返し要請があったにも拘らず、後に高裁の裁判長から「傾聴に値する」「軽々に否定しきれないものを含んでいる」と判断された、機長の事故状況に関わる説明を聞こうとしなかった。これは最初にJALと一体となって立てた自らのストーリーに固執し、そのストーリーと矛盾する事実を無視し、情報収集さえ拒否する姿勢であり、以下の答弁にもその姿勢が現れているといえる。
2003年6月12日、外国の乗員と共に「事故報告書を刑事裁判の証拠に提供しないように」と要請した席上で、次席調査官は以下のような答弁をした。

乗員:乗員の証言がICAO条約に反して刑事責任追及に利用され続けるなら、今後乗員の証言入手に支障をきたすことになる。
S次席調査官:もしそのような事(乗員が証言を行なわない)になれば、乗員の証言を聞かずにCVRやDFDRの調査で報告書を作ることになる。
(筆者注:乗員の証言がなくても事故調査に支障はないと言わんばかりだった

類似事例の調査に全く関心を示さない
機長組合が航空安全会議と共に、報告書を取りまとめ中の事故調に面談し、「事故機と同じ機体で発生した706事故と類似の事例2件(注1)を調査するよう」要請したが、事故調は「そのような事例は知らない。調査する予定は無い」と返答し、データの収集さえ拒否した。その結果、類似事例の調査・解析をすることなく、入手済みの資料だけで報告書を作成した。
※ 注1(事故機JA8580が9ヶ月後、98年3月7日の724便、同3月18日の708便において、操縦桿に力を加えていないにも拘らず自動操縦(AP)が外れECRMの記録が残った。これらのケースでも整備で取り卸したFCCやPCUには706事故後と同様に異常が確認されなかった。
そのときのOEZ(運航技術部)担当の回答:「当該機体には当時、CRM(Command Response Monitor)を作動させるに至るようなピッチ・コントロールに関する不具合が潜在的にあったのではないか、と推察されます。」との結論)

 
自らのストーリーに不都合な資料を隠蔽(2事例)
事例1
社内では「問題になるのは覚悟のうえ」としてMD11型機において自動操縦を解除する際に力を加えてはならないとの内容のFOIを出した直後(1997年6月23日)、JALでは「経営トップの意向」として翌日の朝までに至急の回答を依頼する緊急の問い合わせをダグラス社にしている。ダグラス社からの回答の中には、最終報告書のストーリーを否定する内容、すなわち「オーバーライドとは、操縦桿に一定以上の力を加えることにより、APが手動操作の影響を受け始めて以降の状態を言う」「手動の操縦入力が20ポンド以下の場合、自動操縦には影響せず、機体も反応しない」という趣旨の説明があった。運航本部の技術担当責任者の話によると、「この情報の宛先は事故調であり、そのコピーがJALの技術部門にも届いた」とのことである。
この情報の存在は、地裁で初めて弁護側証人から明らかにされたものであり、判決では検察官の主張――機長が速度増加を抑えるために操縦桿を意識的に引いた――を否定する重要な根拠となったものである。
 
706便事故調査の原点は「操縦桿にかかった力が記録されていた」点にあり、事故調はダグラス社からのオーバーライドに関する情報を無視して「オーバーライドとは操縦桿に力が加わることをいう」と定義を変更し、この力を「速度増加を抑えるための意図的な力」と解釈して報告書のストーリーを描いていった。しかし、気流の悪い中を飛行する際に操縦桿に一時的な力が加わることは飛行の実態を知るものなら常識といえるし、20ポンド以内の力に対して自動操縦が機体姿勢を変化させないよう対応可能というダグラスの設計思想もそこから生じていると考えられる。事故調も飛行の実態を理解しダグラスのこの情報を理解していれば「操縦桿にかかる力を、直ちに意図的な操縦操作」という短絡的な発想は生まれなかったはずである。しかし、事故調はこの情報を知りながら、「自動操縦が外れる10秒ほど前から、速度の増加を押さえようと機長が操縦桿を引いたため、結果的にオーバーライドされた」(事故報告書の3.2.2、3.3.2の項)と解析し、「このオーバーライドが継続された結果、ECRMが働き自動操縦が外れた」とする間違った結論(4原因の項参照)の報告書を公表した。
 
このように見てくれば、操縦操作に関する機長からの説明を全く聞こうとしなかったことは、事故調が初めから「操縦ミス」と決めてかかった事故のシナリオを、機長の証言によって崩されたくなかったという筋書きが垣間見えてくる。
残念ながら機長の刑事責任を追及する裁判という機会がなければ、事故調のストーリーに不都合だった重要な当該資料は隠蔽され、機長や組合の指摘が無視され続け、事故報告書の「機長のオーバーライドが原因」とのストーリー/結論の間違いは、明らかにならなかったであろう。
当該資料と機長の証言から「意識的に操縦桿を引いた」という事故調の解析は、MD11の設計思想と大きな矛盾があり明らかに否定されるのである。しかし、JALの関係部門も裁判が始まるまで当該資料の存在を明らかにせず、報告書の誤った推定に賛同してきたことは大きな問題である。

事例2
最終報告書案ができあがり、「原因関係者に意見を述べる機会を与えなければならない」との法律に基づき機長の意見を聞く際にも、当該機長に最も関係の深い部分を隠蔽しようとした。このように重要な部分が隠された報告書(案)をもとに意見を述べさせたとして、果たして法律の要請する「意見を述べる機会を与えた」と言えるのか甚だ疑問である。

機長:「最終報告書案は、送付されたもので全部ですか?」
事故調:「あなたに関係ある部分を送りました。」
機長:「操縦操作に関する記述はなくなったのですか?」
事故調:「それは『この後に機首上げと機首振動が発生した原因につき記述する』と書いてある通り、これから書き加える予定です」
機長:「私に送付しなかった部分は、今後出てきても私には関係ないということですか?」
事故調:「・・・・。」
機長:私に関係があるのでしたら送ってください。」
事故調:「委員会で相談します。」

上記のような機長からの申し入れにより、後日送られてきた数ページは「急激な機首上げは機長の操作による」とのまさに機長の操縦操作に関する推定原因が記載されたページだった。もとよりこの記述は後日の裁判により否定されるわけだが、機長の意見を求めるにあたり機長の操作に当たり障りのない記述のみを示して意見を求め、機長の職責上極めて重要な操縦操作に問題があったとする記述を、機長から追求され強く求められるまでは示さない、このような事故調の対応は、法律の定めに忠実であるべき国家公務員として許されるのだろうか?
《航空・鉄道事故調査委員会設置法 第19条》
委員会は、事故調査等を終える前に、当該事故等の原因に関係がると認められる者に対し、意見を述べる機会を与えなければならない。

 
 
機長の説明を聴取しようとしなかったもう一つの理由は?
事故の3ヶ月後(1997年9月)に公表された「建議と経過報告」は最終報告書の原案となったものであるが、これを取りまとめるなど当初の事故調査を中心的に担当した次席調査官(主管)だった S氏(元航空自衛官でF86Dに乗務した経験があるといわれる)は、当該事故の機長や副操縦士への事情聴取も直接行っていた。しかし、数回行われた S氏の事情聴取では「事故発生時に、機長がどのような考えでどのような行動を取ったか」について一切質問をしなかった。この点の説明が事故原因の解明と再発防止の上で非常に重要であると考えた機長は、機会あるごとに説明を申し出たが、事故調は最終報告書案が示されるまで約2年間、聴取を先延ばしにした。普通の事故調査の方法から考えれば、本来真っ先に聴取すべき項目であるが、このような対応はいかにも不自然である。事故調の調査担当者が事故当事者の状況説明を聞かない、或いは説明に対して「無視」「無関心」という対応をした時期にが、奇しくもJALの担当者も同じような不自然な対応を行い、しかもその両者が同時進行したのは、単なる偶然だったのだろうか?

ちなみに、事故調の次席調査官だった前記のS氏は、「建議と経過報告」をまとめた後、朝日ヘリコプター社に天下りしている。
(この天下りの件について、当時、組合に「JALの口利きだった」という情報が入り、団交で天下り斡旋の事実確認を求めたが、Y本部長は「S氏のことは知らない」と回答している。2007年5月現在も S氏は朝日ヘリコプター社に籍を置いている。)※ 注:2003年6月12日の説明に出ている、後任の次席調査管は別のS氏である。
 
公開性と真摯さは事例により大きなバラツキ
~使命感に欠ける調査は責任が追及されるべき~
常設になる前の鉄道事故調査委員会は、日比谷線脱線・衝突事故の調査では「検討概要をオープン」にし、「鉄道の更なる安全に貢献したいとの使命感に関係者全員が燃えていた」ことから、「検討会の解明努力を評価したい」「期待に十分応えてくれた。」と受け止められた。
一方、2005年4月に発生した「JR西日本尼崎脱線事故」の調査は、常設になった航空鉄道事故調査委員会が進めているが、未だ(2007年5月)最終報告書は発表されていない。07年2月、報告書案に対する意見聴取会が開催され、公述人の一人である関西大教授の A氏は、「鉄道関係者が曲線区間における脱線の可能性を認識していたにもかかわらず、国土交通省は福知山線の事故が発生するまで、鉄道事業者に曲線区間の安全対策を指示していなかった。監督者の安全管理体制にも問題がある。」と問題提起しているが、これまでに提示されている報告書案の内容等から「国土交通省の対応の問題にまで踏み込む」ことは期待できないといわれている。
常設委員会になった現在、討議がオープンにされず、事故調本来の使命感に欠けているのではないかとの疑問が各方面から出されている。
《常設になる前のある鉄道事故調査委員の報告》

死者5人、負傷者64人を出した営団地下鉄(現・東京メトロ)日比谷線脱線・衝突事故(2000年3月8日)から8ヶ月、文字通り寝食を切り詰めての連日でした。全体で6回の事故調査検討会、22回の事故調査検討会WGが開催され、現地走行試験、計算機シミュレーションなどの結果をもとに議論が重ねられた。これらすべての検討会での検討概要は国土交通省の以下のホームページで見ることが出来る。「鉄道事故調査委員会」としての初仕事を実り多い形で終え、鉄道の更なる安全に貢献したいとの使命感に関係者全員が燃えていました。本職があるので会議は夕方から始まり帰宅が次の日と言うことも度々でした。
検討会では積極的な情報公開を行ってきた。検討会で検討していることがマスコミに比較的正確に伝わったことや、検討会関係者の事故原因解明への熱意が伝わったと思われることも加わり、最終報告書が提出された後の各紙社説では、検討会の仕事を評価していただいた物が多かった。
 28日朝日新聞では「60回以上に及ぶ走行実験やコンピューターによる解析を繰り返し、複雑な原因に迫った検討会の解明努力を評価したい」、同じく28日の毎日新聞では「今回、初めて出動した検討会は昨年6月に発足した鉄道局長の諮問機関である。背景と運輸省の対応まで踏み込み、期待に十分応えてくれた。」
 
《問題点と改善方法》
⇒「Factと討議概要」は、公表を原則に!
⇒「事故調査報告書=警察の鑑定書」の現実が、関係者に受け入れられていないことを忘れるな!
警察との覚書の見直しを!

事故調査委員会の主体的調査の保障を明記せよ
警察は人命救助と現場保存に専念すべし、
⇒ 法律の改正要求:(主旨)航空・鉄道事故調査委員会設置法 を、ICAO条約に沿って「事故調査報告書を刑事責任追及の証拠書類として使用してはならない」と改定すること。

機付き整備士廃止批判機付き整備士廃止批判

機長組合NEWS 18ー086  ~機付き整備士廃止に対し批判2003.11.14 ご存知でしたか? 11月1日から整備体制が変わりました。 その内容は・・・? 機付整備士制度廃止です 機付整備士制度は、1985年8月12日の123便事故後、当時の最高経営会議が日本航空の機材の安全性を高めるための方針として発足した制度です。しかし、その後経営は「絶対安全」の言葉を使わなくなり、それに合わせて次第にこの機付整備士制度の内容も変わってきました。1993年、1998年に見直しが行われ、現在の機付整備士制度は実質骨抜きの状況になっていました。 2003年10月2日付で「機材品質モニタリング体制の強化」と言うタイトルのオペレーションニュースが出ました。このニュースは“フィールドエンジニア”“フリートエンジニア”といった新しい言葉が出てきたり、組織がどのように変わるのか等、分からないことだらけ、と言う感想をもたれた方もいらっしゃると思います。しかし、よくよく読んでみると、実は“機付整備士制度廃止”と言うことが分かります。   今回の整備体制の変更については運航の安全に直結する重大な事柄でありながら、オペレーションニュース1枚だけの説明で、しかも非常に分かりづらいものだけでした。昨今、整備に対する信頼性が揺らいでいる状況にもかかわらず、この会社の対応は決して信頼を回復するためにはプラスにならないことです。 会社は、これまで「機付整備士」が担ってきた「機番毎の継続的なモニター」は、「組織で行う体制に強化する」と説明していますが、これが本当に実体を伴うものであるのか注意してみていく必要があります。機長組合は今後、安全運航確立へ向け、今回の新たな整備体制について会社と論議していきます。 皆様の声を機長組合までお願いします

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 2010年8月27 日本航空機長組合 8月31日の会社更生計画提出を前に、新人事賃金制度に関して現時点での方針を以下のとおり決定いたしましたので、速報でお知らせします。詳細については、後日発行する機長組合ニュースをご覧ください。新人事賃金制度に関する8.27機長組合執行委員会方針現在会社から提案されている新人事賃金制度案については、「JAL再生」に不可欠な更生計画案が認可される条件の一つである。 機長組合は4月21日にその骨子が提示されて以降、管財人団を含めた経営と精力的に交渉してきた。 その「制度」については、機長組合の主張も取り入れられ、概ね到達点に達している。ただし、現時点においても継続して協議されている項目もある。 一方、その「水準」については、「激減」という言葉がふさわしいほど理解の範疇を超えるものである。これについては、今後再生の過程で協議を続け、実年収などの観点で改善を目指すべきものと考える。しかし、私たちが現在置かれている社会的状況を考えるならば、この「背景」と「必要性」について、残念ながら受け入れざるを得ないこともまた事実であると判断する。 以上を鑑み、機長組合執行委員会は新人事賃金制度の内容について「合意の方向性」を確認する。未だ提示されていない項目や残された課題について最終的な合意に向け、今後も精力的に協議していく。 2010年8月27日  日本航空機長組合   読者の皆様のご意見をお寄せ下さい。ご意見・ご感想がありましたら、 下記のリンク先よりメッセージをお願いします。

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ヒューマンエラーは裁けるか ~安全で公正な文化を築くには~原題 “Just Culture : Balancing Safety and Accountability” シドニー・デッカー著(監訳 芳賀 繁氏) Just Cultureという言葉を耳にしたことはありますか?この“Just”という言葉の邦訳としては、「公正な」とか「正義の」といった言葉があてられることが多いようです。 ICAO等の海外の文献では、「積極的な安全文化」として以下の5つの要素があるとされています。(後に紹介しているように4要素とする考え方もあるようです) 「報告する文化」・・・エラーや経験を報告する用意が出来ていること 「情報共有の文化」・・・システムとしての安全性を決定する人間、技術、組織、環境等の要因について、知識が与えられていること 「柔軟な文化」・・・臨機の対応が強く求められたり、危機に直面した場合、通常の上下関係の組織からフラットな組織への変更を受け入れることが出来ること 「学習する文化」・・・安全情報から積極的に対応を検討することが出来る、また、大きな変化を成し遂げようとすること 「正義の文化(Just Culture)」・・・安全に関する重要な情報を提供することが奨励され、さらには報いられること。ただし、許容される行動と許容されない行動との間に明確な線引きがあること。 一方、JALの安全管理規定では次のようなヒューマンエラーへの非懲罰ポリシーが掲げられています。 航空運送の安全に直接係わる不安全事象を引き起こした行為のうち、十分注意していたにも拘わらず、避けられなかったと判断されるヒューマンエラーについては、懲戒の対象としない。これは「エラーを起こした個人を責めるのではなく、なぜエラーが起こったのか、真の原因を究明し再発防止を図る」観点から設けられたもので、安全文化の醸成に寄与するであろう先進的なポリシーと言えます。とは言うものの、これをさらに掘り下げて考えていくと、次のような疑問が湧いてきます。すなわち、 この場合の「十分注意していた」というのはどの程度の注意力を指すのでしょうか? また、どのような事態の場合「避けられなかったと判断される」のでしょうか? そしてこれらの点について、客観的で明確な線引きは果たして出来るのでしょうか? “起きてしまったことから最大限の学習をし、それによって安全性を高めるための対策を行うことと同時に、事故の被害者や社会に対して最大限の説明責任を果たすこと。この二つの目的を実現するための挑戦を続ける組織文化が「ジャスト・カルチャー」なのだ。” 先にあげた疑問を解決するためのヒントとして、「ヒューマンエラーは裁けるか ~安全で公正な文化を築くには~」(原題 “Just Culture : Balancing Safety and Accountability”)と題する本の日本語翻訳版が先般発行されています。(監訳者はJAL安全アドバイザリーグループのメンバーでもある芳賀 繁氏)