降雪下の新千歳空港
離陸許可なしに離陸滑走を開始後、管制指示により離陸を中止した事例について
機長組合が把握している事実関係は以下のとおりです。
今年1月、JALジャパン運航のB777が、新千歳空港において離陸許可を受ける前に離陸滑走を開始し、管制からの指示により離陸を中止した。
《状況》
・ 除雪によるRunway閉鎖により、定刻より35分遅れてブロックアウトした。
・ Ruway01R/19Lは除雪中、Runway01L/19Rだけで離発着が行われていた。
・ 当時の天候は
2130Z 340/4 2000 -SNSH FEW005 BKN010 M07/M09 A3019(風340°から4kt、視程2000m、ライトスノーシャワー、略、気温ー7°/露点温度ー9° 気圧3019インチヘクトパスカル
《運航概況》
・ 先行着陸が目前を通過し、接地・着陸滑走することを視認した。
・ 管制から“TAXI INTO POSITION AND HOLD”の指示を受け、Runwayに進入し、BEFORE TAKEOFF CHECKLISTを実施した。
・ 管制から視程に関するインフォメーションを交信
・ 翼面上の確認の必要性を含めて、Hold Over Timeについて確認
・ Runwayに正対した頃に、滑走路左側に着陸機と思われるストロボライトが見えたこと、及び上にRunway上の機影がないことを確認し、離陸滑走を開始
・ 管制から“STOP IMMEDIATELY”を指示され、約60ktで離陸滑走を中止
・ 乗員は、このとき管制から離陸許可を得ていないことに気付いた。
・ スポットに引き返すことなく、乗客・乗員・機体に異常がないことを確認して、離陸した。
《運航後の経過》
・ 当該機長は、運航終了後、機長報告書を提出した。
・ JALジャパンから国交省航空局への報告はなされなかった。
・ 2月25日に国交省航空局技術部から日本航空ジャパン運航本部長に対し「日本航空ジャパン1036便に係わる管制指示違反について(厳重注意)」が発信された。
平成17年1月22日、新千歳空港において、貴社の運航する1036便(新千歳空港発東京国際空港行き)B777型機が離陸の許可を受領しないで離陸滑走を開始したため、管制機関より停止の指示を受けるという事態が発生した。
本事業は1月22日に発生したにもかかわらず、社内における本事業の調査が十分でなく、一月以上にも亘り航空局に対して報告が行われなかったこと、再発防止策を含む安全措置が適切に講じられていない等、社内の安全推進組織が十分に機能していないと認められたことは問題であり、厳重に注意する。
ついては、貴社においては、上記問題点を踏まえ、早急に具体的な改善措置を講じ、当局あて速やかに報告されたい。
・ 3月1日、報道各社によって報道された。
《機長組合として・・・・・》
機長組合は、管制の適格な指示により重大な事故に至らなかったとは言え、降雪状況下でワークロードが高くなる中、エラーが発生した事例を真摯に捉え、総力をあげて解析を行うとともに再発防止の為の有効な手段、改善を行うべきと捉えます。その上で同じグループの乗員として、二度と同様の事例が発生することがないよう運航の安全確保に全力を尽くしていきます。
また機長報告書が提出されているにもかかわらず、航空局への報告が行われなかったことについては、機長が状況を客観的に報告したにもかかわらず、会社組織が誤った取り扱いを行ったのであり、航空局からも厳重な注意を受けているとおりですが、これをJALグループ全体の問題と捉え、社内体制の問題点について日本航空ジャパン乗員組合とともに取り組んでいきます。