Day: May 3, 2002

用語解説用語解説

Auto‐pilot :自動操縦装置。 auto-throttle :自動操縦装置の機能の一部で、自動的にエンジンの推力調整レバーを動かす装置。 コントロールコラム : 操縦桿 DFDR:フライトレコーダー ディスコネクト・ディスエンゲージ :disconnect・disengage. はずれる、オフになる。 ECRM :エレベーター・コマンド・レスポンス・モニターのことで、自動操縦装置が出す操縦信号どおりに昇降舵が動いているかどうかを監視する機能。その信号と舵との間に所定の差がある時間以上生じると、自動操縦装置切り離す機能もある。(詳細はこちら) Fly-by-Light :Fly-by-Wireと同様のシステムであるが、電気配線の変わりに光ケーブルにより、信号を伝える方式。 Fly-by-Wire :これまでの飛行機は、操縦桿から舵面を動かす装置(アクチュエーター)まではケーブルでつながれていたが、操縦桿の動きを直接アクチュエーターに伝えず、一度電気信号に変えて自動操縦装置に伝え、必要な電気的処理を行った上で、再び電気信号としてアクチュエーターに伝える操縦系統の呼称。多くの最新鋭軍用機や一部のハイテク旅客機で採用されている。(MD11は、従来のケーブル方式とFly-by-Wireの中間的機材) Flight Control、 Flight Control System:昇降舵(エレベーター)、エルロン、ラダー、スピードブレーキ・スポイラー、フラップ、トリムなど、飛行機の操縦装置全般のシステム。(三面図へ) flight director :飛行指示装置のことで、手動操縦時に、いろいろな飛行状態の下で最適な機首角度と左右の傾きの指示を、姿勢指示器の中に表示する装置。 G :重力のこと。2G とは、重量の2倍の重力。自動車に乗っていて急ブレーキをかけると体が前に投げ出されるが、2G の重力がかかったといえば、体重の2倍の重力が前方にかかったことになる。 glide slope :計器着陸において、決められた進入角度(通常は3度)からの上下のずれを示す装置で、滑走路わきに置かれたアンテナから発射された電波を受けて、操縦室内の計器に表示する。この信号を使うことで、自動操縦装置による自動着陸も可能となる。

機長組合が推定する原因機長組合が推定する原因

=機首上げの原因は何か=事故調の報告書によれば、48分23秒からの異常な機首上げの原因は、速度増加を抑えようと機長が操縦桿を引いたために、自動操縦装置が切れてその反動で機体が急激に機首上げとなったとしています。 しかし706便の飛行記録には、自動操縦装置がオーバーライドされて切れた時の特徴的な昇降舵の動きは記録されていないなど、事故調の推論には無理があります。 それでは機首上げを起こさせた原因は何だったのでしょうか。 [SPOILERと一時的な上昇流が影響か] 事故調の報告書によれば、この時の垂直流は無視できるほどであったとしていますが、水平方向の風の変化は自動操縦装置の対応能力の2.5倍にも達するものであったとしています。このような激しい気流の変化には、かなりの垂直流が伴うと考えられます。 つまり機首が大きく上がった48分23秒頃には、かなりの上昇気流があったものと推定され、上向きの気流によって機首が押し上げられたことが考えられます。 また、SPOILERを開くと同時に機首上げが始まり、SPOILERが閉じられるとともに機首振動が収まっていることも事実です。SPOILERは大きな機首上げモーメントを発生させますので、強い上昇気流とSPOILERとの相乗効果による機首上げモーメントを、自動操縦装置が押さえきれなかった様子がうかがえます。 =自動操縦装置はなぜはずれたか!=事故調は1997年9月の経過報告書以来、「オーバーライドによって自動操縦装置がOFFになった」と推定していますが、事故調が“オーバーライド”の根拠としているのは「CWS(操縦桿が感知する力)に力が掛かった記録がある」事と「CRMという故障記録が残されている」事でした。 このうちの“CWS”については、パイロットがスイッチ類の操作をした時にも同様の記録が残る事、自動操縦装置により操縦桿が動かされた時に、操縦桿に添えられている手の動きが追従できなかった場合にも記録が残る事をこれまでに説明しました。 [CRMの故障記録は何を意味するか] 706便ではCRM(Command Response Monitor)という故障記録が残されていましたが、CRMとは、自動操縦装置の信号と実際の昇降舵の位置に誤差が出たことを示します。 事故調は、その原因を機長がオーバーライドしたためだと述べています。しかし事故機であるJA8580では、706便事故から9ヵ月後の1998年3月に、自動操縦装置が切れて急激な機首上げが発生するという706便事故と非常によく似た事例が、2件続けて発生しています。 これらのケースではいずれも“CRM”の記録が残っていましたが、自動操縦装置はオーバーライドされておらず、いずれも一時的な故障であろうと判断されています。アクチュエーターの内部のごくわずかな傷によってもCRMは発生するといわれており、実際に分解検査をしても発見できず、2回目の分解検査でようやく傷が発見できた例もあるといわれています。 このようなことから、706便が遭遇したような激しい気流の変化に際して、アクチュエーターがスムーズに作動せず、そのためにコンピューターが一時的な故障と判断して自動操縦装置を解除した可能性があります。 日本航空における飛行中の昇降舵トラブルの事例は、ほとんどのケースが“原因不明”となっており、いくつかの部品を交換しているうちに“異常現象が出なくなった”とされています。 [GによるACOの可能性] 飛行記録によれば、自動操縦装置のACO(Automatic Cut Off)機能が働いて自動操縦装置が外れた可能性も考えられます。 MD11では以下の条件下で、ACOにより自動操縦装置が自動的にOFFになります。 ?@ Vertical Gが1±0.6~1±1.4を超過 ?A Roll Rate(Rollの速さ)が10 deg/sec (毎秒10°)を超過 ?B Bank Angle(傾きの角度)が60°を超過