Month: May 2002

事故調による低酸素症の実験事故調による低酸素症の実験

事故調による低酸素症の実験 123便より短時間で切り上げたのは なぜ?? 123便事故の再調査を求める?G 事故調は、低酸素症と急減圧の影響を調べる2つの実験を行っています。果たしてこの実験で事故の状況を裏付けられたか、検証してみましょう。 試験1.被験者2名、立会い医官、操作員計4名が酸素マスクを着用して、チャンバに入り、地上から24,000ftの気圧まで8分かけて減圧。24,000ftの気圧で被験者1名が12分間酸素マスクを外し、課題作業(引き算と短文朗読)を繰り返し実施した。その後当該被験者はマスクを着用し、他の被験者がマスクを外し12分間同じ課題作業を実施し、低酸素症による知的作業遂行能力の低下を調べた。 この実験では、以下の点で事故調が推定する123便事故とは状況設定が異なっています。 ゆっくりとした減圧ほど、酸素が減っても耐えられる「試験1」での減圧率は約3,000ft/minで、事故調が推定する123便事故での減圧率の1/100に過ぎません。 しかも、123便の乗員は異常発生から墜落までのおよそ30分間操縦桿を動かし続けています。操縦桿に取り付けられたバネに抗し操縦桿を動かすには、およそ15~20kgの力が必要です。一方、実験では身体運動の負荷がない点でも事故機とは状況が異なります。 緩やかな減圧よりも急減圧の方が有効意識時間は短くなり、また身体的作業(力仕事)をすることによって酸素消費量が増加し、有効意識時間が短くなることは事故調査報告書でも述べられています。 操作能力が失われる限界とされる12分で実験終了!更に事故調の推定通りならば、123便の乗員は20,000ft以上の空気に曝されていた時間は18分以上ですが、実験は12分間で終わらせています。 このシリーズ?Fで紹介したように、日本航空発行の「EMERGENCY HANDBOOK」によれば「有効意識時間は高度2万ftで5~10分」とされています。また、運輸省航空局が監修しているAIM-JAPANには「20,000ftでは5~12分間で修正操作と回避操作を行う能力が失われてしまい、間もなく失神する」(952.【高高度の影響】)と記載されています。 事故調はなぜ、12分間で実験を打ち切ったのでしょう。 これでは「それ以上の時間をかけると顕著な意識障害が起きかねない」と恣意的な実験を行った、との疑念も生じてきます。 この実験結果を事故調は次のように分析しています。 「被験者Aは約5分後に引算課題への反応時間の増大、発話行動の異常、高調波成分の減少が生じている」 「被験者Bでは、4分頃に引算課題への誤答が目立っていること、高調波成分が一時的に減少していること、9分を過ぎて反応時間が漸増していることが見て取れる。(中略)総じて、低酸素による影響と見られる変化は、被験者Aに比べて少なかった」 そして、これらの結果から「123便に生じたとみられる程度の減圧は人間に対して直ちに嫌悪感や苦痛を与えるものではない」と結論付けています。 しかし、航空関係者が行った低酸素症の実験では、この実験とは様相が大きく異なり、短時間で顕著な低酸素症が診られました。なぜこのような違いが出たのか‥‥これについては?I号以下で紹介します。 (機長組合ニュース15-63)

航空界の常識を覆す事故調の見解航空界の常識を覆す事故調の見解

航空界の常識を覆す 事故調の見解 「30万ft/min程度の減圧は、 人間に嫌悪感や苦痛を与えない」??? 123便事故の再調査を求める?E 「急減圧説」を採ると「なぜ乗員は酸素マスクを着用しなかったのか」「なぜ酸素なしで2万ft以上の高度に18分間もいたのに、意識障害を起こさなかったのか」といった大きな矛盾が残ります。 事故調査報告書の115頁に、この点に関する記載があります。  CVR記録にない「酸素マスク着用」の会話を捏造!?「運航乗務員の酸素マスクの着用については、CVRに18時26分30秒(注:異常発生から約2分後)以降数回にわたり、酸素マスクの着用についての声が記録されているが、(中略)(3名の乗務員の)何れも酸素マスクを着用しなかったものと推定される」(注:下線は組合による) しかし報告書のCVRの記録でも、この時刻に酸素マスクに関する会話は一切ありません。酸素マスク着用についての会話は、異常発生の9分以上後の18時33分46秒が初めてです。 なぜこれほど明らかな誤りを犯しているのでしょう。 9分間、酸素マスク着用が乗員の念頭になかった事実は重要なポイントのはずです。 「急減圧はなかった」と解釈すれば、矛盾は全て無くなるが…更に報告書では、次のように記述しています。 「従来からその着用について教育訓練を受けている運航乗務員が、減圧状態に直面しながらも酸素マスクを着用しなかったことについては、その理由を明らかにすることはできなかった。」 急減圧が発生した場合、まず酸素マスクを着用し、直ちに緊急降下を実施することは、緊急操作の基本中の基本です。 異常発生後、「急減圧」とのCALLは無く、酸素マスクも付けず、管制機関にFL240からFL220へ2,000ftしか降下を要求していないことは、乗員が急減圧と捉えていないからに他なりません。 「試験結果にもみられるように個人差はあるものの、同機に生じたとみられる程度の減圧は人間に対して直ちに嫌悪感や苦痛を与えるものではないので、乗務員は酸素マスクの着用について心に留めつつも飛行の継続のために操縦操作を優先させていたものと考えられる。」 繰り返し訓練される「酸素マスク着用」の手順を、あえて無視するなど、乗員の常識では考えられません。 また「あえて意図的に酸素マスクを付けなかった」とする客観的根拠は、どこにも見当たりません。冒頭に紹介したCVRの記録にない会話をもって「酸素マスクの着用について心に留めていた」とするならば、「急減圧説」に固執するがあまり事故調が恣意的に捏造したと受け取られても仕方がないでしょう。 事故調が推定している30万ft/minという減圧率は、「約6秒間で地上からエベレストの山頂近くに押し上げられた」ほどの急激なものです。 「30万ft/minの減圧は、人間に嫌悪感や苦痛を与えない」ことが事実なら、航空界の常識・定説を覆す新発見と言えます。 (機長組合ニュース15-36)

急減圧が人体に及ぼす影響の公開実験を急減圧が人体に及ぼす影響の公開実験を

急減圧が人体に及ぼす影響の公開実験を! 123便事故の再調査を求める?L 事故調と航空関係者による実験を、もう一度対比してみましょう。 【低酸素症の実験】(約3,000ft/minの減圧後、気圧高度2万ftで実験) 事故調の実験 事故調の実験 被験者の状況分析 「被験者1名は、約5分後から明らかな反応時間の増大、誤答の頻発、同一文章を何度も読み上げようとする等の異常がみられた」「他の被験者は、約4分後に誤答が頻発、約9分経過ごろから反応時間のわずかな増大がみられた」 ・5~6分で正確に朗読出来なくなり、手の痙攣が止まらなくなった・約5分で直線が引けなくなった・約3分でカードが掴めなくなった「3~6分で正常な作業が出来なくなる」との定説が裏付けられた 酸素マスクの着用 酸素マスクの着用 顕著な低酸素症により3~7分で酸素マスクを着用 航空関係者による実験では、短時間でマスクを着用せずにはいられなくなったのに対し、事故調の被験者は比較的軽微な症状に留まり、12分間酸素マスクなしでも耐えられています。 同じ条件で実験されたはずが、なぜ顕著な違いが出たのでしょう? 事故調の実験 航空関係者の実験 減圧室の規模 約20立方メートル 約70立方メートル 航空関係者の実験に比べ、事故調の実験では減圧室の容積ははるかに小さく、かつ試験用の機材が相当の容積を占めたと考えられ、その中に4人の搭乗者が入っています。この状態では同乗者が純酸素を吸って室内に吐き出す排気に含まれる残留酸素は無視できず、減圧室内の酸素濃度が上がっていた可能性は否定できません。 【急減圧実験】 事故調の実験 事故調の実験 被験者の状況分析 「マスクを外して4分経過した頃から明らかに反応時間が増大した」「他の1名はマスクを外して約3分後にやや反応時間が増大している時期があるが、その後は復元している」 手の震えやカードの読み違い、計算が著しく遅くなるなどがみられた。作業を正確に行えたのは5分程度と判定された。 減圧時のショック 「急減圧による格別の症状は認められなかった」(しかし被験者は「思わず酸素を吸った」との体験談を語っており、この結論には疑惑あり) 被験者のコメント「減圧時ショックを感じた」「急に寒くなった」「湿度が高くなり皮膚が濡れるように感じた」他の急減圧を伴った事故に遭遇した乗客・乗員の証言とも合致 この実験でも、事故調の実験での症状は極端に軽く判定されています。

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「急減圧はなかった」となれば、崩壊する 事故調査報告書のストーリー 123便事故の再調査を求める?@ 123便事故調査報告書(87年6月19日発表)では、その推定原因を「修理ミスが原因で、飛行中に後部圧力隔壁が客室与圧に耐えられなくなって破壊し、客室内与圧空気の圧力によって尾部胴体、垂直尾翼が破壊され、油圧系統も破壊され操縦不能となり墜落した」としています。 この「垂直尾翼の破壊エネルギーは、圧力隔壁から流出した機内からの空気流である」とのストーリーは、機内の急減圧の発生なしには成り立ちません。 しかし、コックピットでの会話、機内の写真、生存者の証言など、急減圧の存在を否定する事実が次々と明らかになっています。これは事故調査報告書の推定原因を根底から覆すものに他なりません。 このシリーズで、事故調査報告書における疑問・矛盾を振り返り、真の事故原因究明のために、再調査の必要性を考えていきます。 検察官も否定した事故調の推定原因 この事故の刑事責任を調査していた検事が、8.12連絡会の遺族に対し次のように語っています。 事故調査委員会の報告書もあいまいと思う。皆さんは我々が本当に大切な資料を持っているように思っているが、資料は、事故原因については事故調査委員会の報告書しかわからない。それを見ても真の原因はわからない。 修理ミスが事故の原因かどうか相当疑わしいということだ。タイ航空機の時には、乗客の耳がキーンとしたという声があったが、この事故ではない。圧力隔壁破壊がいっぺんに起こったかも疑問である。 まずボーイング社が修理ミスを認めたがこの方が簡単だからだ。落ちた飛行機の原因ならいいが、他の飛行機までに及ぶ他の原因となると、全世界のシェアを占めている飛行機の売れ行きも悪くなり、ボーイング社としては打撃を受けるからだ。 犯罪捜査の立場から綿密な調査活動を進めてきた担当検事からも、事故調の報告書が信頼されていないことは、注目されるところです。 事故調が隠ぺい工作?! 担当検事の弁にもあるように、原因調査には事故調査報告書だけでは全く不十分であり、残骸・CVR・DFDRなど関連資料の関係者への公開は、欠かせません。 私たちは事故調査委員会に対し、こうしたローデータの公開と再調査を求め、度重なる要請を行ってきました。また123便事故の遺族も、昨年1月、運輸省宛てに事故原因の再調査を求める要請を行っています。 こうした中で、事故調査委員会は、昨年11月に1.6トンもの事故調査関連資料を破棄したとも報道されています。 報道が事実ならば、再調査を求める声が高まる中、事故調はなぜ処分しなければならなかったのでしょうか? 「来年の情報公開法施行を意識して」(関係者間の連絡文書)の処分ならば、その資料公開をなぜ恐れたのでしょうか? またこれが妥当な取り扱いであるならば、なぜ事故調は今年5月の安全会議との交渉の席上、「処分していない」と虚偽の説明をしなければならなかったのでしょうか? (機長組合ニュース 15-17) 目次に戻る

EMI防止の緊急要求EMI防止の緊急要求

《50通を超えた報告》 日本航空の3乗組では、1999年9月に発生したJL69便関西事例をきっかけとして、電磁干渉(EMI)が疑われる事例を収集してきましたが、皆様方のご協力により、現場から寄せられた事例や意見が50通を超えました。 また、その中にはいくつかの貴重なご意見も寄せられていますが、報告やご意見を集計してみると、「機内での携帯電話などの電子機器の使用中止を求める」声が非常に多く、実際に異常が生じた際には機内で何らかの電子機器が使用されていたケースが大半を占めています。 《“携帯電話の使用禁止策”を緊急要求》 携帯用電子機器の中にはOMで使用が認められたものもあるため、影響が考えられる全ての電子機器を禁止するには、もう少し検証を進める必要がありますが、機長組合はとりあえずの対策として“携帯電話の使用禁止”を乗客に促すために、「使用禁止の掲示をゲートに表示すること」と「使用禁止を呼びかけるため、より具体的な機内アナウンスを行う」という2点を要求しました。                《更なる取り組みには、より多くの事例を》 最近は世界中でEMIに関する研究が行われつつあり、携帯電話のような本来電波を発する機器に限らず、携帯用電子機器全般についても“安全とは言いきれない”状況が明らかになってきていますが、3乗組としても“より多くの事例”をもって、取り組みを強めていきたいと思いますので、今後も異常を感じられたら、組合まで報告して下さるようお願いします。 2000年11月30日 JCA 15-30 日本航空株式会社 代表取締役社長 兼子 勲 殿  日本航空機長組合 執行委員長 岡崎 憲雄 安全に関する緊急要求

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強い風の吹き抜け、激しい騒音、乗員は減圧を直ちに認識、航空性中耳炎・低酸素症の症状、凍えるような寒さ =これが本当の急減圧だ!= 123便事故の再調査を求める?A これまでに起きた、急減圧を伴った大型機の事故の特徴を見てみましょう。 (下線は、123便事故との比較においてポイントとなる項目) 【72年6月12日 アメリカン航空DC-10型機】 11,750ftを上昇中、後部貨物室のドアが開き、急減圧が発生。高度は低かったが、爆発音と霧が発生し、機内を風が吹きぬけた。 【75年1月15日 ナショナル航空DC-10型機】 39,000ftを飛行中、No.3エンジンが分解し、その破片が客室の窓を破壊した。1名の乗客が窓から吸い出され、行方不明となった。減圧発生から約10秒以内に、操縦室の酸素マスクから酸素が流出し、その音がCVRに記録されている。これは減圧を示す一つの証拠として注目された。 【86年10月26日 タイ国際航空A300-600型機】 33,000ftで土佐湾上空を飛行中、機内で手投げ弾が爆発し、後部圧力隔壁を破壊、急減圧発生。9秒間で5,600ftから20,000ftまで減圧、減圧率は96,000ft/minであった。機内では、操縦士は直ぐに急減圧の発生を認識し、緊急降下を試みている。与圧空気は機内を強い風となって通り抜け、最後部洗面所の化粧台を倒壊させ、圧力隔壁後方へ抜けた。搭乗者247名中89名が航空性中耳炎になった。 【89年2月24日 ユナイテッド航空 B747-122型機】 ホノルル離陸後、22,000~23,000ftを上昇中、異常音とともに爆発的な急減圧が発生。運航乗務員らは直ちに酸素マスクを着用したが、酸素は出てこなかった。直ちに緊急降下を実施し、ホノルルに引き返した。原因は前方貨物ドアが吹き飛び、約14?uの穴が開き、それと同時に機内の酸素供給システムが破壊された。 客室内では、減圧とともに強い風が客室内を吹き抜け、客室乗務員らは物に掴まって吹き飛ばされるのを防いだ。風が収まった後も機内の騒音が激しく、乗客への着水準備の指示に困難をきたした。PAは騒音のために全く役に立たなかった。減圧に伴って気温が急激に低下し、凍えるように寒く感じた。客室の酸素マスクは作動しなかったため、客室乗務員らは携帯用酸素ボトルを使用したが、その数が十分でなく、一部の乗員は、酸素不足によるめまいを経験している。 【90年12月11日 エア・カナダ L1011型機】 マンチェスター上空で37,000ftを飛行中、後部隔壁が破損し、急減圧が発生した。乗員らは直ちに酸素マスクを着用し、緊急降下を開始するとともに、急減圧に関するチェックリストを行っている。 客室後部にいた客室乗務員は、鈍い「どーん」という音と同時に、左後部のトイレ付近から空気が流れる音を聞いている。30~40秒後に乗客用マスクが落下した。FDRの記録では、客室内の気圧は6,300ftから20,500ftまで減圧し、緊急降下によって再び気圧は上昇し、10,000ftになっている。 結果的に、20,000ft以上に56秒間、18,000ft以上に2分20秒間あったことが記録されていた。この減圧で、3名の乗客が激しい頭痛と耳痛を訴え、数人がめまいを訴えた。 後部トイレのパネルが後部圧力隔壁に押し付けられ、パネルの縁が裂けていた。グラスファイバーの断熱材が尾翼の点検孔から垂れ下がっているのが見られ、後部圧力隔壁の後方の胴体内部にも多量の断熱材が見られた。圧力隔壁は、その外周の8~9時の位置の三角パネルの外周部に2ftと1ft程度の長方形の部分が後方にめくれていた。 (機長組合ニュース 15-18)

PIOとはPIOとは

米国の航空専門誌(Aviation Week and Space Technology) 1997,3,24より引用 National Research Councilの最近の発表によれば、新しいFly-by-WireやFly-by-Light航空機では、Flight Controlに関する予想外の問題が発生している。 本来、不安定な飛行機に対して、安定性及び操縦性を与えるために開発されたFly-by-Wire等の新技術は、意図せざる方向への効果と予期せぬ問題を引き起こす可能性を、潜在的に持っている。 このような航空機の取り扱いに対する弊害を探し出すには、設計段階でのより慎重な検討や、より多くの試験飛行・Simulatorによる検証が必要となる。 最近起こった軍や民間のFly-by-wireの航空機が巻き込まれた事故・インシデントに鑑み、NASAはNational Research Council(NRC)に対して、飛行の安全にかかわるAircraft-Pilot Coupling(APC)の研究をするよう依頼した。 その目的は、Pilot・航空機・操縦装置間の力学的な相互作用が、不安定な飛行状態を引き起こす状況を研究する事である。 NRC委員会はAPC(Aircraft-Pilot Coupling)という言葉を次の二つの理由から採用した。つまり、“PIO(パイロットが引き起こす振動)”という言葉から連想される、非難めいた印象を払拭する事と、単に振動だけでなく、Pilotと航空機の間で起こる、意図せざる相互作用にまで適用範囲を広げるためである。 Fly-by-wireの航空機が出現する以前は、意図せざる航空機の振動は“ヘボパイロット”のオーバーコントロールによるものだと非難され、そこからPIOという言葉が使われるようになった。しかし最新のComputer化されたFlight Control Systemにおいては、パイロットは操縦系統の一部を占めるに過ぎなくなっているという事から、委員会ではPIOの定義を“Pilot-Involved Oscillation(パイロットが巻き込まれた振動)”と変更した。PIOには軽度で簡単に押さえる事の出来る動きから、激烈で危険性を伴う振動まである。 報告によれば、パイロットのせいにされる多くのAPCは、実際の所は設計の不適切さの結果といえる。このような意図せざる振動が発生した場合、パイロットの操作はその激しい振動を押さえる方向にではなく、むしろ拡大させる方向に陥らされる可能性がある。このPIOは、命の安全が保障された安全なSimulatorでは、検証されにくいものである。 Fly-by-wireの航空機では、パイロットの操作が、操舵面には直接つながっていない。操作信号は、作動装置に電気信号として伝えられるため、パイロットは舵面の動く早さや、舵面が限度一杯に動いたなどという感覚を感じ取る事はできない。そこからパイロットの考えと実際の機体の動きに不一致が生じ、APCへとつながるのである。 Fly-by-wire機の利点は、設計者が操縦装置を非常に精密なものへと発展させる事が出来る点である。航空機の性能や安全性を高める目的で、そのSystemは飛行状態や飛行様態に応じて操縦装置の応答性を変化させる事が出来る。 適正な設計がなされていれば、操縦様態の変更はスムーズでパイロットの意に添うものであり、その操作に何の障害ももたらさない。 報告によれば、新しいFly-by-wire機のほとんどすべてが、その開発過程においてAPCを経験している。APCは通常パイロットが精密に飛行機を操縦する必要のある、最も忙しい状態において発生している。しかもそれらはちょっとした出来事が、忙しい仕事やより正確な操縦を阻害した際に起こっている。 ある特有な出来事は、パイロットと機体との力学的な関連を変化させる。 これらの中にはパイロットの操舵力の変化や、操縦装置の切り替え、ちょっとした機械的故障、それに大気の激しい擾乱などが含まれる。

ザ・ノンフィクション 日本航空123墜落事故 15年目の検証ザ・ノンフィクション 日本航空123墜落事故 15年目の検証

ザ・ノンフィクション 日本航空123便墜落事故・15年目の検証 2000年11月19日、フジテレビで標記の番組の放映がありました。番組独自の減圧実験や最新技術による音声解読、関係者への聴き取り調査などによって、123便の事故調査報告書に関する数々の疑問点を浮き彫りにし、真の原因究明の糸口を掴もうというものです。その中では、 * 事故調査委員会の減圧実験被験者から「マスクを付けた」と日航の元乗員が聞いており、報告書の記載と食い違いが浮かび上がった。しかし、当時の実験担当者は事情説明を拒んだため、謎として残った。 * 事故調査委員会が「オールエンジン」と解読した音声は、分析の結果「ボディギア」である可能性が出てきた。このキーワードは、当時の状況を推察する上で、重要な別の意味を持ってくることにもなりえる。 など、再調査の観点で重要なテーマとも考えられるものです。 この度、許可を頂きましたので、この番組を紙上再現してみました。  【ザ・ノンフィクション】 123便CVR音声「・・なんか爆発したぞ」 昨年12月、我々は日航123便墜落事故のボイスレコーダーの録音テープを入手した。 1985年8月、乗客・乗員524名を乗せた旅客機が群馬県御巣鷹山に墜落。墜落後およそ16時間を経て救出された生存者はわずか4名、単独事故として航空史上最大の犠牲者を出した。 運輸省事故調査委員会は、ボーイング社が事故機の後部圧力隔壁の修理ミスを認めたのを受け、これを事故原因と推定した。 運輸省事故調査委員会 武田 峻委員長(当時) 「昭和53年大阪国際空港における事故による損傷の修理の際に行われた後部圧力隔壁の不適切な修理に起因しており、また亀裂が隔壁の損傷に至るまで進展したことは点検整備で発見されなかったことも関与していると推定いたしました」 これをもって、調査は事実上終了した。 しかし、‥‥ 15年経った今なお、航空関係者の間に事故調査報告書の曖昧さを指摘する声は根強い。本当に事故原因は究明されたのか、遺族の無念は晴れることなく、心に傷を残したままだ。 一方報道各社は、今年になって123便のボイスレコーダーの音声を入手、ニュースやワイドショー等でも広く取り上げられた。 コックピットの息詰まる音声は、様々な人に事故の記憶を呼び覚ました。 同じ頃、我々は、カナダに入手したボイスレコーダーの音声を持ち込んでいた。航空機の事故分析のエキスパートに、最新のデジタル解析による音声分析を依頼していた。事故当時には判読不確実とされた個所、それを明らかにすることによって新たな事実が浮かび上がる可能性があった。 事故調査報告書に記された一つのキーワード「オールエンジン」と判別された言葉は、なぜそう読まれたのか? 2万4千フィートの上空で、突然異常事態に見舞われた123便、機内には急減圧があったと報告書は記している。コックピットの状況を調べるために、航空自衛隊で行われた実験を記録したテープがある。この実験にも、一部で疑念が持たれていた。 520名もの尊い命を奪った忌まわしい事故、懸命に機体の立て直しを図っていた乗員たちのやり取りを   いま、改めて検証する。 日本航空123便墜落事故 15年目の検証 あの夏、123便はお盆の帰省客を大勢乗せて、羽田から大阪へ向け飛び立った。偶然にも、その時に撮影されたホームビデオが残っている。いつも通りのフライトと誰もが思った。 ところが・・・・

深田祐介氏も参戦深田祐介氏も参戦

「沈まぬ太陽」への攻撃・・・黒幕は・・・?ある機長の投書より深田祐介氏はかつて日本航空に在籍し、広報部次長を務められました。その深田氏が「週刊現代」誌上で『沈まぬ太陽』への批判を展開されていますが、それに対しある機長から次のような投書が届きました。 週刊現代 6月10日に “深田祐介が初めて書いた「山崎豊子『沈まぬ太陽』徹底批判!」” という記事が掲載されました。記事の内容は、見出しの通り「沈まぬ太陽への徹底批判」です。曰く 「企業小説は、テーマとした企業の人間が読むに耐えると評価して初めて本物である。しかし、『沈まぬ太陽』は航空産業界に在籍した人間のほとんどが現実性をきわめて欠く作品と感じるのだから、失敗作と断じざるを得ない」 のだそうです。 しかし、週刊朝日で小倉氏自身がこう語っています。「組合分裂工作、不当配転、昇格差別、いじめなどは、私および私の仲間たちが実際に体験させられた事実です。」そして、組合の歴史がそれを裏付けています。また、社内には 「事実を知っているから、『沈まぬ太陽』は読まなくてよい」 という人もいるくらいです。現実性をきわめて欠くと感じているのは、日本航空の経営に携わり、組合を分裂させる、いわゆる分裂労務政策を遂行した人と、その片棒を担いだ人と言う方が正確だと思うのですが・・・ 更に深田氏は、山崎氏の 「取材や資料の解釈において著しい偏向があり・・・」 と語っています。「著しい偏向」とは一体どういう意味なのでしょう。まさか、直木賞作家の深田氏が組合活動をする人間はアカであるというようなおかしな偏見を持っているとは思えませんが・・・また深田氏は 「特にモデルの選択において、決定的な誤りを犯した・・・」とし、「企業小説ならば、企業のなか、業界のなかで、志をもって働いている人物をモデルの対象にしなければならない」と語っています。「志」というのは司馬遼太郎さんの 「人間の志を描くのが小説である」 という言葉を引用しての発言なのですが、組合員の労働条件向上のために働いた人に「志」はないとでもおっしゃるのでしょうか。まさか、まさか、直木賞作家の深田氏が憲法で保障された組合活動を「偏向している」とお考えになっているとは思えませんが・・・山崎氏は日本航空を題材とした企業小説を書きたかったのではなく、小倉氏を主人公とした小説を書きたかったのでしょう。たまたま小倉氏が所属していた会社が日本航空だったというだけの話で、取材の過程で 「小倉氏の話しか聞かなかった」 というのも、当然といえば当然だと思えるのですが・・・ 一部の人には失敗作と評されましたが、『沈まぬ太陽』はベストセラーとなりました。これがすべてを物語っているのではないでしょうか。おもしろい、いい小説だからベストセラーになったのであって、失敗作がベストセラーになるなんて話、あまり聞いたことがないのですが・・・ 『沈まぬ太陽』の文学的評価はさておき、週刊現代の記事で驚かされるのはモデルとなった小倉氏への誹謗中傷です。小倉氏が自身をモデルにこの小説を書いたわけでもないのに、こんなこと書いて名誉毀損にならないのかと、他人事ながら心配してしまいます。それこそ 「開いた口がふさがらない」・・・曰く 「航空業界に生死を託すような志をもった人物ではない」、ある日航OBの言葉として 「俺が航空貨物の開発におもい悩んでいた頃は、組合のなかで成り上がることばかり考えていた。俺がマグロを空輸しようと血眼になっていた頃、彼はアフリカの駐在員になって、象を殺しては象牙を売って儲けていた。」 「俺が山で霊と暮らしていたころに、小倉は新会長にスリ寄って出世を狙っていた。」後味が悪くなったのは私だけでしょうか。 週刊朝日にしろ、この週刊現代にしろ、『沈まぬ太陽』を批判しているのは、日本航空の経営サイドにいた人ばかり・・・というのは、気のせいでしょうか。 「この記事、会社が書かせたんじゃないの」 なんて声もちらほら聞こえてきます。 『沈まぬ太陽』は、5巻で終わっていますが、日本航空では現在でも『沈まぬ太陽』が続いており、完結するのはいつの日になるのでしょう。機長組合では5月24日の組合大会で、安全に関する問題についてスト権を背景に、経営に問題の解決をせまる方針を決議しました。裁判で安全性の根拠がないことを指摘されながら、全く改めようとしないまま、今日もたくさんのお客様を乗せて日本航空の飛行機は飛んでいます。この決議は『沈まぬ太陽』の一日も早い完結を願う日本航空の機長の総意であると信じます。『御巣鷹山編』はもうたくさんです。 一機長より

用語解説用語解説

Auto‐pilot :自動操縦装置。 auto-throttle :自動操縦装置の機能の一部で、自動的にエンジンの推力調整レバーを動かす装置。 コントロールコラム : 操縦桿 DFDR:フライトレコーダー ディスコネクト・ディスエンゲージ :disconnect・disengage. はずれる、オフになる。 ECRM :エレベーター・コマンド・レスポンス・モニターのことで、自動操縦装置が出す操縦信号どおりに昇降舵が動いているかどうかを監視する機能。その信号と舵との間に所定の差がある時間以上生じると、自動操縦装置切り離す機能もある。(詳細はこちら) Fly-by-Light :Fly-by-Wireと同様のシステムであるが、電気配線の変わりに光ケーブルにより、信号を伝える方式。 Fly-by-Wire :これまでの飛行機は、操縦桿から舵面を動かす装置(アクチュエーター)まではケーブルでつながれていたが、操縦桿の動きを直接アクチュエーターに伝えず、一度電気信号に変えて自動操縦装置に伝え、必要な電気的処理を行った上で、再び電気信号としてアクチュエーターに伝える操縦系統の呼称。多くの最新鋭軍用機や一部のハイテク旅客機で採用されている。(MD11は、従来のケーブル方式とFly-by-Wireの中間的機材) Flight Control、 Flight Control System:昇降舵(エレベーター)、エルロン、ラダー、スピードブレーキ・スポイラー、フラップ、トリムなど、飛行機の操縦装置全般のシステム。(三面図へ) flight director :飛行指示装置のことで、手動操縦時に、いろいろな飛行状態の下で最適な機首角度と左右の傾きの指示を、姿勢指示器の中に表示する装置。 G :重力のこと。2G とは、重量の2倍の重力。自動車に乗っていて急ブレーキをかけると体が前に投げ出されるが、2G の重力がかかったといえば、体重の2倍の重力が前方にかかったことになる。 glide slope :計器着陸において、決められた進入角度(通常は3度)からの上下のずれを示す装置で、滑走路わきに置かれたアンテナから発射された電波を受けて、操縦室内の計器に表示する。この信号を使うことで、自動操縦装置による自動着陸も可能となる。