II 世界の情勢

「これからは2名編成機が世界の趨勢だ」というようなことが良く聞かれます。しかし世界の乗員は,喜々として2名編成を受け入れている訳ではありませんし.3名編成獲得の為に闘っている組合が沢山あります。
  私達は.日本をはじめ世界の乗員や航空労働者とともに編成問題で国際的な闘いに取り組んでいます。

〔1〕3名編成獲得への世界の闘い

(a)3名編成の協定を持ち,果敢に闘うフランスの航空機関士組合

  フランスには,エールフランス航空,UTAフランス航空.エアインター航空などの航空会社があり,そこに働くパイロットはSNPL(パイロット組合),航空機関士はSNOMAC(航空機関士組合)にそれぞれ組織されています。

エールフランス航空

エールフランス航空がB737を導入するに当って,SNOMACはB737の3名編成獲得の闘いを行いました。この時の闘いにより,SNOMACは以下の協定をエールフランス航空との間で結ぶに至りました。
 「1992年までは.エールフランス航空に就航する機材(A300,A310,SST B747ファミリー)は3名編成とする」
  この時B737の3名編成は残念ながら獲得できませんでしたが,これ以後導入されたA310に3名編成を勝ち取り.ヨーロッパにおいて2名編成で導入した他の航空会社に比べ高い定時出発率を誇っています。

 

OPERATIONAL RESULT A-310
PERIOD JUNE 84 - MAY 85 / FIGURES PER AIRCRAFT

 しかしエールフランス航空はこの協定があるにもかかわらず,
  「B747−400は2名編成で導入する」
 と一方的にマスコミに流し,不当な姿勢を表わしました。
 SNOMACはエールフランス航空に対し質問状を出しましたが、エールフランス航空は
 これに全く答えず.編成問題に関する会議も一度も開かれていない状況です。
 これに対しSNOMACは記者会見を行い
  エールフランス航空の行為は協定上大きな問題がある。又,今後とも編成問適について協議が行われない状態が続くと.ストライキを含む重大な事態になるであろう」と警告しました。現在もSNOMACはこの問超に対しての闘いを続けています。

UTAフランス航空

SNOMACはUTAフランス航空との間に,
 「UTAフランス航空に就航する機材に対しては3名編成とする」
 という協定を無期限で結んでいます。
  しかしUTAフランス航空がこの協定を無視し,一方的にB747−400の2名編成を
 発注した事から,SNOMACはUTAフランス航空に対し、B747−400の3名編成獲得の闘いを展開しました。
  その結果B747−400に対し航空機関士を乗務させるという協定を'87年5月28目勝ち取ったのです。その協定の内容にはふたっのポイントがあり,ひとつはB747−400に対する航空機関士業務の保障であり,もうひとつは航空機関士としての停年までのPAYの保障です。
  この協定を受けて.UTAフランス航空は,ボーイング社に対し正式にB747−400 の3名編成仕様を発注しました。

 エアインター航空

エアインター航空が導入するA320に対して,SNOMACは3名編成を獲得する為に
1986年11月以来5風 合計10日間のストライキを行い粘り強い闘いを行っています。
  このストライキのスト権は,エアインターに働く航空機関士の90%以上の賛成という高率により確立したものです。又数多くの激励の手紙が出されるなど,フランスの全ての航空機関士から力強い支援も受けています。

(b)アンセット航空は3名編成のA320を導入

オーストラリアのアンセット航空では,

  「120名以上の乗客が塔乗する航空機の乗員編成は航空機関士を含む3名編成とする」 という協定が労使の間で結ばれています。
 アンセット航空ではこの協定を無視することなく,次期導入を計るA320についても3名編成で運航されることが無条件で決まりました。

(c)国際的横断組織の闘い--IFALPA,FEIA,lTF,TUI

IFALPA(国際定期航空操縦士組合)は3名編成の方針を待っています。しかしIFALPAのなかで最大の単組であるUS−ALPAが,大統領特別委員会の結論に従い3名編成の方針を取らなくなった事が,IFALPAの活動を大きく制限している状況です。

FEIAも3名編成の方針を持っています。しかしデレグ法による影響と,US−ALPAの方針変更などから,米国内の航空機関士が苦しい聞いを続けていることから,FEIAとしても3名編成獲得に向けての有効な聞いが組織されていません。
 FEIA第10回総会('86年11月)に,日航乗員組合はオブザーブ参加し,日航の乗員編成会議会議の状況報告や,世界の乗員が協力し乗員編成問題に取り組む必要があることなどを主張しました。
 FEIAは本部を米国ワシントンにおいていましたが,今後.乗員編成問題に強い取り組みを行う為に本部をヨーロッパ内の便利な場所に移すことが今回の総会で決まりました。

運輸関係の国際労働団体であるITF(国際運輸労連)やTUI(運輸インター)も航空機に対する3名編成の方針を持っています。TUIはB747−400について,ICAOへ安全技術に関する見解を求め.これに対しICAOは研究項目のひとつとしている旨の見解が出されました。又ILOに対しては.B747−400が2名編成であることから.
 安全と雇用に関しての問題点を指摘しています。

(d)航空機メーカーの情勢

  オイルショックやデレグ法の影響で,ユーザーであるエアラインその他の業績の悪化が影響し,航空機メーカーは各社とも業績を悪化させています。そのために販売合戦も熾烈であり,経済性を追求するエアラインの要求を満足させるべく,安全性より経済性を優先させた2名編成機の開発にやっきとなっています。
  しかし,B767,A−310,A−320等2名編成機を3名編成でメーカーに作らせ運航している航空会社もあることを見れば,航空機メーカーもユーザーであるエアラインが発注すれば商売上ユーザーの希望通り作ることがわかります。