I 編成問題の流れ
現在に至るまで編成問題はどのように流れてきたのでしょうか

〔1〕8万ポンドルール

1919年に世界で初めてロンドン〜パリ問で飛行機による定期旅客輸送が始まりました。これは1903年にライト兄弟が「FLYER」で最初の動力付飛行機で飛行に成功して以来わずか16年後のことです。
 当時の運航はパイロット1名によるものでしたが,1931年に乗員編成にかかわる最初の規定が米国において制定されました。
 「乗客15人以上,又は総重量15000LBS以上の輸送機には,コーパイロットの搭乗を義務付ける」というものです。
  やがてB−247やDC−2の導入により2名編成が一般になり出した頃,1933年には
 空中修理やへんぴな空港での運航の為に搭乗整備士が乗務するようになりました。1945年に,米国CABは「定期国際線用に設計された航空機又は設計上必要と認められる航空機にはフライト・エンジニアの乗務を必要とする」
 という,一部の航空機に対する航空機関士の乗務を義務付けました。
 2名編成機と3名編成機が混在するなか,1947年に2名編成で運航を開始したDC−6
 が連続事故を起こしたことから,機材の大きさ,複雑さ,増加する航空交通の量,洋上飛行などを理由に,航空機関士の搭乗が重要であると考えられるようになりました。
 そして,1947年,米国CABにより制定されたものが,
 「最大離陸重量が8万ポンドを越える航空機には航空機関士の乗務を義務づける」という,いわゆる8万ポンドルールです。これによりDC−6は設計を変更し3名編成 となり,これ以降登場したB707,DC−8等3名編成となったのです。

しかし,1960年代になると市場の拡大をねらったダグラス社はDC−9を2名編成で開 発することに決め,その開発のネックとなっている8万ポンドルールに対し,FAAに 苦情を申し入れました。FAAはこの主張を取り入れ,

「乗員編成はその航空機のワークロードを評価することによりこれを決定する」と規定を変更し.1965年,8万ポンドルールは廃止されてしまいました。この規定の変更によりDC−9,BAC111,それに続さB737もこの規定のもとに2名編成で耐空証明を.取得しました。


「航空機のワークロード(仕事量)を評価」とはどういうことでしょうか 

 これは離陸から着陸までの問,予想される機体の故障に対し,パイロットが行う操作を目と手の動きと時間を計測することによりワークロードを定める,というものと飛行後パイロットの印象をアンケート形式で評価するものとがあります。しかしこれには

等の点がが指摘でき,第三者の客観的な目による評価という点については問題があります。実際現在においてもワークロードを客覿的に評価する方はの研究が続けられていますが,まだ確立されていません。



 耐空証明取得検査における問題も

 また耐空証明の収得に対しては,航空機のあらゆる分野の検査において.FAAはDERという技師者に検査業務を代行させています。これは証明を受けようとするメーカーの社員白身がその検査に携わるというもので,真に客観的に安全性を保証できるのかどうか,という点で大きな問題を含んでいます。
 注)DER(DESIGNED ENGINEERING REPRESENTATIVE)
   メーカーに所属しながらFAAの代行として,検査業務を行う人

例えばB747-400のELEC SMOKE OR FIRE CHECKLIST との例で従来機のB747のC'K LISTと比較してみましょう。

747 EMERGENCY/ABNORMAL CHECKLIST
(在来機のCHECK LIST)

在来機のCHECK LIST

Procedure:FIREORSMOKE−ELECTRICAL

Rev.Date:04−01−87

Condition:A concentration of smoke is identifiable.

If smoke source can be determined:
 ELECTRICALPOWER(affectede quipment)...REMOVE
If smoke source cannot be determined:
 UTILITY POWER SWITCHES..................OFF

If Flight deck smoke removal required:
 LDG ALT ............................. MANUALLY SET lO,000FEET

If smoke persists or is severe and smoke source determined to be in cockpit:
 SMOKE EVACUATION HANDLE ...............PULL

 

 ELECSMOKEORFIREでは,SMOKE源を探るプロセジャーはありません。
過去多くのSMOKEは,TR UNITやBATTERY CHARGERなどからでしたが,
それらは−400ではMAIN EQUIPMENT CENTERに移されています。SMOKE源を発見するのは,余計困難ではないでしょうか。
 BUSを一つ一つOFFにすることは物理的にできますが,従来のESSENTIAL BUSは無く各BUSに分散されており,どんな影響がでるかわかりません。
 このように2名編成でも操作できると証明するために,安全の為必要とされてきた
操作手順まで変更し,簡略化できたと主張する航空機メーカーの姿勢は安全運航に逆行するものです。見掛け上操作項目を減らせても,その裏付けとなる機体システムははとんど変わっていないのです。


B747在来機と-400のチェックリストを比較したもの

B747従来機と-400のチェックリストを比較したもの

 


目と手の動きを解析したワークロード分析の一例

目と手の動きを解析したワークロードの分析の一例

 

注)B747-200の数値はほとんど全て航空機関士のワークロードであり、他の機種はパイロットのワークロードを示します。もしそれぞれのアイテムについてパイロット同士の比較をするとなれば、この表のB747-200のところはほとんどゼロに近い値となるでしょう。


テストパイロットの主観をアンケートいまとめたPSE(PILOT SUBJECTIVE EVALUATION)評価法の集計の例

テストパイロットの主観をアンケートいまとめたPSE(PILOT SUBJECTIVE EVALUATION)評価法の集計の例