3組合の中でJCAとSECは経営側から一方的に管理職として位置付けられ、長い間、実質的に労働組合としての活動が出来ない状況下に置かれてきました。機長は、機長発令が行なわれると同時に、機長全員管理職制度に則って一人の例外も無く管理職乗員として位置付けられてきました。管理職として位置付けられた彼らは、民主的な交渉と活動によって自らの労働条件を決定すると言う道を絶たれ、その結果、勤務に関して言うと自分たちが交渉で決めることの出来る勤務協定が存在しておらず、在るのは経営側がすべて決定する就業規則だけとなっています。
日本航空乗員組合については、20年間労使間で守る努力が払われてきた勤務協定が1993年に経営側から一方的に破棄され、それに対し乗員組合は協定の回復を求めて東京地方裁判所に提訴し、現在係争中となっています。日本に「余後効」(協定の更新が労使間で合意に達しなかった場合は、協議を続けている間は従前の協定を適用する)と言う考えが無い中、乗員組合員
1400名も現在は無協定状態に置かれています。つまり、現在の日本航空の全乗員は勤務協定の無い労働・乗務を余儀なくされているのです。その結果、日本航空の乗員はサンフランシスコー成田間の12時間にも及ぶ太平洋路線を世界にも例の無い交代要員なしのシングル運航を強いられ、安全運航にも影響を与えています。更には、日本航空の経営は賃金協定を始め、結ばれていた殆どの協定を乗員組合の合意の無いまま一方的に破棄しつづけ、その数は
40にも及んでいます。裁判についてはこの
7月29日に行なわれた公判の中で、来年の7月に結審することが決定され、結審に向け残り1年間の最終審議に入る状況となっています。何故この様な現状を強いられているかと言う理由は色々在るのですが、ひとつは労働の最低限を定めている日本の労働基準法の例外規定が大変に多い内容になっていると言う点、また、労働組合の活動を保護している労働組合法に多くの抜け穴が存在しその点を日本の経営者たちが大いに悪用している状況である点、更には、日本の労使の関係が「日本的労使関係」と呼ばれる中で、大きな企業の殆どの労働組合が経営の立場に立った活動しか出来ない状況が作り上げられ日本全体の労働者が自らの労働条件を運動で勝ち取ると言う土壌が希薄になっている点が上げられ労働裁判の判例などに影響を与えています。日本人がエコノミック・アニマルと呼ばれ、また働きすぎで死亡する過労死と言う言葉が
KAOUSHIとして世界的に認知されていると言う根本の原因はこの様な所にあると言って良いでしょう。何より、日本航空の経営が労務部を中心として、このような日本の状況を極めて巧みに悪用しつづけている結果が、現在の異常な状況を生み出しているのです。
大変に残念なことですが、日本航空は数多くの事故を起こし731名もの犠牲者を出していると言う苦い歴史を持っています。この背景には、営利最優先に走るあまり先ほど述べた様な組合を分裂させる様な小手先の労務手法に走り、安全性を無視すると言う経営姿勢があった事は言うまでも在りません。
この6月に日本航空の社長が交代しました。実は今回新しく社長になった兼子氏と言う人は、日本航空の中で25年に渡り労務部と言う部署一筋にきた人です。そして、私たち乗員の組合の分裂施策を長年にわたり中心的に行ってきた人物であり、先ほど述べた乗員組合の40にも渡る協定の破棄を画策し、実行に移していった労務部の責任担当重役であったことは見逃すことが出来ません。
しかし、この
1年間で様々な活動の中から3乗組の結集は急速に高まり、数多く似問題で一致した運動が出来るようになってきています。これは今までの歴史から見ると特筆すべきことであり、今回のアライアンスの活動を通じても3乗組の結集は高まっています。このような民主的な運動がひとつひとつ確実に積み上げられ日本航空の全乗員が一致して行動する中で、最終的にひとつの組合に統一する日もそう遠くないと考えています。