「朝日新聞への質問」

   

 2009年9月27 日本航空機長組合

 

朝日新聞社 代表取締役社長
秋山 耿太郎 殿
 

日本航空機長組合
執行委員長 清田 均
 

貴社9月26日付朝刊「ニュースがわからん!」
「日航の経営、そんなに大変なの?」に関しての質問

表記記事にあるJALの組合に関しての記述内容について、貴社の真意をお伺いしたく、以下の質問に文書にてお答えをいただきますよう要請いたします。 

1.記事では「仕事の違いで、以前からパイロット、客室乗務員、地上職員と職種ごとに労組が分かれていた」とJALの組合の実態について事実関係のみを書かれています。しかし、仕事の違いで労組が分かれていることの是非に関する論評が無いため、それ以降の記事内容「労組が多いから、折衝に手間取り、リストラの実行が遅れたとの指摘もある」の導入的な役割を果たす結果になっており、「仕事の違いで職種ごとに労組が分かれていた」ことが、あたかも、現在のJALの状況の布石になったとも受け取れる記事となっています。貴社は「仕事の違いで、職種ごとに労組が分かれている」事実を好ましいと思われるのか、それとも好ましくないと思われるのか、お考えをお聞かせいただきたい。 

2.「旧JASの各労組も残り、ますます複雑になった」との記述がありますが、具体的に何がどう複雑になったとお考えなのか、現在のJALの状況との関連でお示しいただきたい。 

3.「経営陣に対する姿勢の違いで分裂した労組もある」との記述があります。この表現によると労組が自主的に分裂したと読み取れますが、貴社が「分裂した」と記述される私達自身は、この記述を全く事実に反していると考えております。私達は「JALが民主的に活動する労組を敵視し、経営自ら労組を分裂させる手法を取ってきた」と考えており、それを論証できる材料があります。なぜ貴社が「(自ら)分裂した」と考える私達組合に直接の取材なくして、このような断定的な報道が出来るのか、極めて疑問です。是非、この件に関して機長組合に取材していただき、JALの労務政策に関して史実に基づき正確に認識していただきたい。 

4.「労組が多いから、折衝に手間取り、リストラの実行が遅れたとの指摘もある」とあります。表現は第三者の意見を引用した形になっていますが、記事に掲載された限り、購読者は、記者が第三者の意見に同意している、と受け取るのは極めて自然な反応です。従って、貴社がこの部分の引用と大差ない認識をしているとの前提でお伺いしますが、「折衝に手間取り」とは具体的にどのような事実を指しておられるのでしょうか?また、「リストラの実行が遅れた」とは具体的にどのような事実に基づくものなのでしょうか?

もし貴社が、労使折衝の当事者たる組合や日航労務に事実関係の裏付けも取らないまま、第三者の意見を単に感覚的に引用し、この記事を掲載するに至ったとすれば、「当事者の裏づけを取らず、観測記事を掲載した」ことになり、ジャーナリズム精神に悖るものと考えますが、ご見識を伺いたい。

5.記事では労働組合が8つあることについて、それがいかにも問題であるように言及されていますが、貴社は企業内組合の数は少なければ少ないほど良いというお考えなのでしょうか?または、組合など無ければ経営効率上もっとも都合がよいというお考えなのでしょうか?組合についての基本的なご認識をお答えください。

なお、記事の最後に書かれています「航空行政」の問題点については、機長組合もその通りだと考えております。しかし、国内地方路線だけではなく、国際線での「国策路線」のJALへの押しつけ、日米航空協定における「不平等」や世界一高いといわれる着陸料・航空燃油税などの公租公課の負担が日本航空の競争力を弱めていないかなど『日航の経営の大変さ』については、幅広いより大きな視点での考察が必要だと考えております。

世論形成に大きな影響力を持つ貴社におかれましては、事実を客観的に把握した上で、どうすればJALは真に再建するのか、また、利用者・国民にとって航空行政はどうあるべきか、などの観点で報道されることが社会的な責務だと拝察いたします。私達は、貴社が拙速なリーク情報を無批判に記事にしていないか、「記者クラブ」制度の中で結果的に政治・行政の意向を代弁する「御用達マスコミ」になっていないか、等々について、衷心より危惧いたしております。どうか、貴社の真摯なジャーナリズム精神に則り、私達の上記質問に対して、誠意あるご回答を要請いたします。

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