勤務裁判とその後

   
2007年12月5日

組合勝訴となった日本航空乗務員の勤務基準一方的不利益変更事件

日本航空機長組合 1993年2月、会社は運航乗務員の勤務基準について、大改悪提案を行いました。
「バブル景気崩壊後の業績悪化に対応するため」というのが、経営者が乗員組合に行った説明でした。

1993年11月、それまでの40年間に労使の合意で結ばれていた約40以上もの協約類(協定書、覚書、確認書などの形で締結されていた)を一方的に破棄(90日以上前の予告を行った上、解約)し、安全検証すら行わず、経営が一方的に就業規則を改定するという形で勤務基準を改悪しました。

この改定案にもとづく勤務基準は、単に労働条件の大幅な切り下げというだけではなく、航空機の安全性を大きく低下させることは明らかでありましたが、経営者は、変更提案の事前の検証や変更後の検証を行わず、さらに、変更後問題があるという管理職乗員を含めた現場からの訴えにも関心を持ちませんでした。

 勤務基準を変更しても安全上の問題は生じない、と会社が主張してきた根拠は、もっぱら「国(当時運輸省)が認可した運航規程の範囲内での改定」であるというだけでした。この考え方は、「この道路の制限時速は60キロなので、雪が降ろうと、嵐であろうと60キロまでは安全」と言っている無謀なドライバーと同じではないでしょうか。すなわち公共交通輸送機関の経営者でありながら、安全性に全く関心を持たなかったと言うことです。

太平洋横断アメリカ西海岸線を交替要員なしで運航

これらの勤務により、日本航空の乗員は世界一過酷な勤務を強いられ、その過酷さにより体調を悪化させられました。その結果月間60名程度だった乗務離脱者(パイロットが飛行するのに必要な航空身体検査証明書が発給されない者)が約150名(乗員20人に1人の割合)に迫る状況になり、乗員の必要数は基準改悪で減ったものの、配置数がそれ以上に減ってしまいました。

このような状況を踏まえ、日本航空乗員組合は1994年4月22日、「使用者が一方的に変更した安全上問題のある勤務基準は無効であり、そのような基準に基づく勤務指示に従う義務が労働者には存在しないことの確認」を求めて東京地裁に提訴しました。
 提訴は当初、当時の執行委員であった25名を原告として行われましたが、その後の執行委員が次々と原告に加わり、5次にわたる提訴に名を連ねた原告は総勢52名となりました。(第1陣)

当時、世界中の乗員からも、「日本航空のやっていることは犯罪である」(イスラエル航空航空機関士)という声や「私の家族を日本航空の便に乗せるような危険は冒せない」(英国航空機長)といった声が寄せられていました。

また、著名な方々からも、「パイロットのような重責の仕事がこんな重労働とは知りませんでした。ゾッとしました」(著述業:森村誠一さん)、「日本を代表する日航が、神風トラックのような勤務を乗務員に強いてよいものでしょうか。日航は乗客の命を預かるのですよ」(軍事評論家:前田寿夫さん)と言った意見が寄せられました。

乗員組合全面勝利その後、度重なる審議の結果、1999年11月25日東京地裁に於いて、「(過酷すぎる勤務に)就労する義務はない」と、日本航空乗員組合の訴えを全面的に認める判決が下されました。(第1陣)
 しかし、日本航空経営は、地裁判決のわずか27分後に東京高裁に控訴の意志を表明しました。
 日本航空乗員組合は、新たに第2陣として、原告840名を加え、第1陣と同じ内容で東京地裁に提訴しました。
 2003年12月11日、第1陣の東京高裁での裁判で再び乗員組合の全面勝利判決が下されました。
2004年3月15日、第2陣の東京地裁での裁判でも全面勝利の判決が下され、3度にわたる審判を経営は受けています。

ところが、日本航空経営は「日本の裁判は三審制!」と開き直り、最高裁に控訴しました。(第1陣)
 それどころか、裁判で飛行する義務はないと認められた成田から香港やマニラを往復するよりも長い飛行時間の、中国や広州や西安までも日帰りで運航するよう強要しました。

その後、度重なる経営との交渉や運動により、2005年4月20日、日本航空経営は最高裁の控訴を取り下げ、約11年に亘る、勤務裁判勝利判決が確定しました。

 
(まとめ)
今、世間では「賞味期限切れ商品」や「深夜バスの運転手の勤務条件等」が話題になっています。
私たちは日本航空の乗員の勤務基準も、管理職を含めた現場の乗員が問題あるとするものではこれらと同様に、社会的にも許されないと考えています。裁判当時に集まった10万通にもおよぶ署名や、この問題を訴えるためのデモ行進時やビラ配布時の声や、電子メールによる利用者国民の方々の声さらには、勝利判決などの力で、現時点では勤務暫定協定(香港日帰り往復乗務不可など)を結び、本協定締結に向け、経営と交渉を行っています。
日本航空の乗員の勤務労働条件が向上することにより、乗客の皆様がより安心して搭乗できる航空会社になっていくと考えています。
 これからも一層のご理解・ご支援をお願い致します。

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