航空界の常識を覆す 事故調の見解

30万ft/min程度の減圧は、

人間に嫌悪感や苦痛を与えない」???

123便事故の再調査を求めるE

「急減圧説」を採ると「なぜ乗員は酸素マスクを着用しなかったのか」「なぜ酸素なしで2万ft以上の高度に18分間もいたのに、意識障害を起こさなかったのか」といった大きな矛盾が残ります。

事故調査報告書の115頁に、この点に関する記載があります。

 

CVR記録にない「酸素マスク着用」の会話を捏造!?

「運航乗務員の酸素マスクの着用については、CVRに18時26分30秒(注:異常発生から約2分後)以降数回にわたり、酸素マスクの着用についての声が記録されているが、(中略)(3名の乗務員の)何れも酸素マスクを着用しなかったものと推定される」(注:下線は組合による)

 

しかし報告書のCVRの記録でも、この時刻に酸素マスクに関する会話は一切ありません。酸素マスク着用についての会話は、異常発生の9分以上後の18時33分46秒が初めてです。

なぜこれほど明らかな誤りを犯しているのでしょう。

9分間、酸素マスク着用が乗員の念頭になかった事実は重要なポイントのはずです。


 

「急減圧はなかった」と解釈すれば、矛盾は全て無くなるが…

更に報告書では、次のように記述しています。

「従来からその着用について教育訓練を受けている運航乗務員が、減圧状態に直面しながらも酸素マスクを着用しなかったことについては、その理由を明らかにすることはできなかった。」

急減圧が発生した場合、まず酸素マスクを着用し、直ちに緊急降下を実施することは、緊急操作の基本中の基本です。

異常発生後、「急減圧」とのCALLは無く、酸素マスクも付けず、管制機関にFL240からFL220へ2,000ftしか降下を要求していないことは、乗員が急減圧と捉えていないからに他なりません。

「試験結果にもみられるように個人差はあるものの、同機に生じたとみられる程度の減圧は人間に対して直ちに嫌悪感や苦痛を与えるものではないので、乗務員は酸素マスクの着用について心に留めつつも飛行の継続のために操縦操作を優先させていたものと考えられる。」

繰り返し訓練される「酸素マスク着用」の手順を、あえて無視するなど、乗員の常識では考えられません。

また「あえて意図的に酸素マスクを付けなかった」とする客観的根拠は、どこにも見当たりません。冒頭に紹介したCVRの記録にない会話をもって「酸素マスクの着用について心に留めていた」とするならば、「急減圧説」に固執するがあまり事故調が恣意的に捏造したと受け取られても仕方がないでしょう。

事故調が推定している30万ft/minという減圧率は、「約6秒間で地上からエベレストの山頂近くに押し上げられた」ほどの急激なものです。

30万ft/minの減圧は、人間に嫌悪感や苦痛を与えない」ことが事実なら、航空界の常識・定説を覆す新発見と言えます。

(機長組合ニュース15-36)

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