航空関係者による急減圧実験

まともに作業出来たのは5分程度

123便の再調査を求めるJ

ノースダコタ大学の減圧室で、次に急減圧に関する実験も行われています。

実験2.(急減圧実験)

実験開始前に被験者は15分間100%酸素を吸入し、脱窒素した。被験者2名と医師1名が小型減圧室(18〜20立方メートル程度)に入り、4,000ftで被験者・医師とも酸素マスクを外し、息を吐ききった状態で急減圧を発生させた。(約5秒で24,000ftの気圧に減圧=約240,000ft/minの上昇率)

その状態で、被験者Aがカード作業(実験1と同様)、被験者Bがシェイプボックス作業を実施。

実験の結果は以下のようになっています。(時間は減圧後の経過時間)

被験者A

@     5分から手が震え始め、顔色が白くなり、続いてカードの読み違いが発生。

A     6分20秒、手の震えが大きくなる。

B     医師が手を伸ばすよう指示。軽い痙攣が見られる。

C     7分30秒、カードの読み違い、投入場所の誤り続く。

D     8分17秒、カード作業を終了し、計算、迷路を含む筆記作業を指示。

しかし、あまり正確な字が書けていない。筆記が遅い。

E     10分頃から手の震えが減少したように見える。

F     10分50秒、医師が「大丈夫か?」と質問、手を振るように「まあまあ」と回答。

G     13分頃から字がほとんど読めなくなる。

H     14分、医師が手を広げ指を伸ばすように指示。手に震えが見られた。

I     15分20秒、医師が軽い手の運動を指示。手に震えが見られた。

J     15分40秒、手にかなり強いチアノーゼ。 

K     16分20秒、酸素マスク着用。

 

被験者B 

@シェイクボックス作業が苦手のようで、最初から積み木を落としたり、不用意に箱を開けてしまったりした。

A     5分30秒、作業を筆記テストに変更。  B8分15秒頃から手の震えが発生。

C     10分頃から計算が著しく遅くなる。間違いの増加、しかし自ら消しゴムで修正。

D     12分、手に震えが発生。

E     13分、手は筆記の作業をしているが、字が読めないほど震えた状態になる。

F     13分40秒、手の震えが大きくなる。運動が緩慢になる。

G     14分50秒、手に痙攣が見られ、手が思うように動いていない状態になる。(後に本人が手の先が冷たかったと口述)

H     15分40秒、自ら酸素マスクを着用。10秒程度で顔に赤味が戻る。

実験終了後、被験者は「減圧時にショックを感じた」「急に寒くなった」「湿度が高くなり皮膚が濡れるように感じた」と語っています。

実験の結果、作業を正確に行えた時間は5〜6分と判定されました。しかし、それ以降は「実験1」(緩やかな減圧)に比べ、急減圧の方が低酸素に長く耐えられるかのような印象を与えます。一般的には減圧速度が急激である程耐えられなくなるはずですが、これに反する結果を招いたのは、

(1)減圧室の容積が小さく、同乗医師の吐きした空気中の残留酸素の影響

(2)急減圧時、酸素マスクを外していたため、ディマンドレギュレーター機能により減圧に伴ってマスクから酸素が噴出し、減圧室内の酸素分圧が高まり、低高度に相当するまで酸素濃度が高まった可能性

などが原因と考えられると、航空安全会議では分析しています。

 

小部屋に機材・5人も占拠では 急減圧実験にならない

事故調の急減圧実験は、狭い減圧室(高さ2.5mならば4畳半余の容積に相当)に5人もの搭乗員が入り、かつ持ち込んだ試験機材がかなりの容積を占めたはずで、室内の酸素濃度は相当高かった可能性があります。

報告書によれば「急減圧実験と同人数が搭乗し、試験と同様の飛行を実施する中で室内の空気を採取した結果、23,000ftに相当する酸素分圧であった」と報告しています。しかし、それが果たして急減圧実験時の空気を忠実に再現していたか、航空界の常識を覆す事故調の実験結果からして大いに疑問の持たれるところです。

(機長組合ニュース15-66)

目次に戻る

 

トップページへ >>