航空関係者による低酸素症の実験

3〜6分で小学1年の国語の教科書も読めなくなった!

 

123便の再調査を求めるI

1999年2月、航空関係者(日航乗員OB)が米国ノースダコタ大学の減圧室で低酸素症と急減圧に関する実験を行っています。尚この模様は昨年4月にテレビでも放映され、注目を浴びました。

実験1.(低酸素症に関する実験)

70立方メートル程の大型の減圧室に、被験者3名、技師1名、観察者1名の計5名が入り、酸素マスクを着用し、耳管に詰りがないか気圧を変動させ確認した後、3,000ft/minの上昇率で地上から24,000ftまで減圧。その気圧で被験者が酸素マスクを外して各々の課題作業を実施した。

被験者A(日本人):小学1年生用の国語の教科書を繰り返し音読。

被験者B:シェイプボックス(様々な形の穴が開いた箱の中に、穴に合うブロックを入れる幼児用のゲーム)の後、簡単な筆記計算と短い文章を5回繰り返し書く課題、迷路を鉛筆でたどる作業を実施。

被験者C:トランプを伏せて置き、カードを1枚ずつめくって見て、観察者にカードを向けて記憶により「ハートの4」のように声に出し、ハート、スペードなど種類に分けて箱に入れる作業を実施。

 

実験の結果は次のとおりでした。(時間はマスクを外した後の経過時間)

被験者A @3分後、時々途切れるようになり読む速度が遅くなり始めた。

A    4分後頃から指先が白くなり始め、チアノーゼが見られた。読む速度は更に遅くなる。

B    5分後、読む速度は急激に遅くなり、読み落としが多くなり、語尾がはっきりしなくなり始めた。指先が青くなり始め、唇も青くなった。

C    6分30秒、マイクボタンを操作する手に痙攣が見られた。指先が紫に近いほどチアノーゼがひどくなる。

D    6分55秒、医師が酸素マスク着用を命じたが、自分で着用しようとするが、手が正確に動いていない。医師と介護者の手伝いで、7分2秒にマスクを着用。15秒程度で指先に血の気が戻った。

被験者B  @2分4秒でシェイプボックス終了。ペーパーワークに移る。

A 5分頃から文字がはっきりしなくなり、直線が引けず波線状態になる。

B 5分59秒、手が止まり医師がマスク着用を指示。自分でマスクを着用した。

被験者C  @2分55秒、突然手が震え始める。顔色が急激に蒼白になる。すぐに手が震え始める。

A 3分12秒、カードを掴めず、カードを落とす。

B 直ぐにマスクの着用を指示し、自分からマスクを着用。

 

<事故調の実験> 狭い減圧室なら酸素濃度は高かったはず

この実験は、緩やかな減圧でも、24,000ftで酸素マスクを外した場合、3〜6分で正常な作業が出来なくなる定説を裏付けています。実験での課題は幼児用のゲームや小学1年生の国語の教科書といった極めて単純な作業に過ぎず、その難易度は飛行機の操縦とは比較になりません。123便の機内が当時24,000ftであったとすれば、事故機の乗員は「会話が少ない」(事故調の分析)等では済まず、短時間で意識も失っていたことでしょう。

一方、事故調による実験では、狭い減圧室(20立方メートルあまり)に4名入り、なおかつ試験用の機材を持ち込んだことで、室内の酸素濃度はかなりの低高度に相当していたと考えられます。

事故調の実験で後半の被験者の方が低酸素症の症状は軽かったのは、事故調の言うように「個人差」によるものではなく、「同乗者が純酸素を吸って室内に吐き出す呼気にかなりの濃度の酸素が残留し、時間経過とともに酸素濃度が上がったことが原因ではないか」(航空安全会議など航空関係者の分析)の方が、論理的にも整合性がとれていると言えます。

(機長組合ニュース15-65

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