「運輸安全委員会による「航空重大インシデント調査報告書(平成21年5月29日付、日本航空インターナショナル所属JA8986)」に関する見解(プレスリリース)」

   

 2009年5月29 日本航空機長組合

機長組合は、本報告書の第3項の「分析」、およびそれにより導かれた第4項「原因」には、以下の観点で疑問があります。

したがって、本報告書は同種事故の再発防止には不十分であり、内容の再検討が行われるべきと考えます。

 このプレスリリースは、報告書の発表直後に策定したものであり、現在これら以外の疑問点があり、分析中です。機長組合はさらに詳細な分析を進め、今後ホームページを通じて追加リリースする考えです。

1.「分析」には、「操縦桿は接地直前から前方への操作が始まり、その操作量が一時的に減少したが機首は更に下がり続け、(以下省略)」と記述され、「原因」の「再び主脚に機体の重量が完全にかかる前に前脚が接地したことについては、操縦桿の前方への大きな操作によるものと推定される」に結びつき、乗員の操作を原因と推定している。報告書によれば、主脚はこのころ一貫してグラウンドモードであったが、その場合スラストレバーがアイドルになった時点でスピードブレーキが展開し、機首上げモーメントが発生する。「分析」に記述された操作は、接地操作中に機首上げモーメントが発生した場合に、それを制御し、しかる後にスムーズに前輪を接地させるための標準的な操作と推定することが可能であり、乗員も同様の証言をしている。従ってその一連の操作手順を「再び主脚に機体の重量が完全にかかる前に前脚が接地したことの原因」と断定することには疑問がある。
  

 2.前項から見れば報告書が分析した「接地直前から前方への操作が始まり、その操作量が一時的に減少したが機首は更に下がり続け、前輪破壊に結び付いた」との因果関係は、前方への操作量が一時的に減少したことの説明がないために、前項で機長組合が推定した乗員の操作の流れと比して客観性に乏しい。報告書に取り上げられ、あるいは意見書で述べられた乗員の証言は「通常よりやや速く前輪が接地した。その時強い衝撃を感じた。その時に反動を抑えるために操縦桿を前方(機首下げ方向)に操作した」であり、この操作の流れは記録との齟齬はなく、この流れと前輪の破壊との因果関係が詳細に分析されるべきである。従って、本報告書の「原因」における推定は、再発防止対策に結び付かないと考える。

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