人件費施策について

   
2007年度上期決算と10月仮決算を踏まえ

人件費関連施策に関する機長組合見解

2007年12月18日

決算の現状について
1.現時点で「当期利益の見通しは変わらない」との経営の主張を、社員は理解し得ない。
中間決算では566億円の営業利益を上げながら、通期の見通しは480億円の利益しか見通していない。
下期だけでは差し引き▲86億円の赤字となるとの予測であるが、当初の下期予算は275億円の黒字であったから、下期だけの見通しと予算の差は、▲361億円の落ち込みとなる。
10月次決算では、JALI+JALJのベースで、営業利益は予算対比▲10億円であった。従って経営の見通しが当たるためには、▲361億円から▲10億円を差し引き、残り5カ月で▲350億円余りの予算対比の落ち込み、と言う事になる。
職場は現在の繁忙状況からもにわかに信じがたい。
経営は11月から3月の単月予算と燃油費を含めた現時点でJAL
の見通しを社員に詳しく説明すべきである。さらに言えば、今後の収支の動向により「さらなる人件費関連施策」を実施しなくても、当期利益70億円が確保できる状況になった場合に、実行中の人件費削減施策を停止し、あるいは新たな施策の実施を見送ることが、明言されなくてはならない。
 

2.社員の懸命な努力に引き換え、経営戦略が当を得ているかは疑問である。

収益性を上げるための経営の戦略は「ダウンサイジング(供給減)による座席利用率の改善」であるが、下記の上期旅客収益のまとめを見ると、国際線、国内線ともに供給減よりも需要の減が大きく、結果として座席利用率(Load Factor)は低下しており、経営の戦略が功を奏していると言うことは出来ない。経営は社員に自ら「厳しい切り下げであり、大変申し訳ない」と認める労働条件の切り下げを、安易に社員に押し付ける前に、経営の責任を果たすべきである。

  国際旅客収入:供給減▲5.6%、需要減▲5.7%とほぼ平衡状態だが、単価上昇が寄与して前年比+134億円増加となっている。

  国内旅客収入:供給減▲2.3%に比べ 需要減▲3.5%と落ち込みが大きく、単価増により前年比+69億円増加を確保している。

 

 

3.最終決算に大きな影響を与えている特別損益の説明が不十分である。

  下期決算に大きな影響を与えるファクターに客室乗務員の特別退職金がある。経営は今年度200人の客乗職の特早退を前だしで計画しているが、一人平均の特別退職金を2,000万円としても40億円もの特別退職金が必要となる。
一方、この該当者の退社予定日は年度末の3月31日であり、3月31日に退職する客室乗務員の月例賃金等の人件費は今年度は1円も減らない。すでに上期決算でも、地上職K2、K3の特別早期退職者が180人予定を上回り60億円の特別退職金を特別損益として計上した。これに客乗職の40億円を加えると100億円となる。
これは本来今年度の特別損失に入れる必要のない金額であり、来年度以降の赤字の前出し、との疑いを禁じえない。経営の行き過ぎた人減らし施策により生じる損失を除けば、それだけでも今年度の税引き前利益は100億円押しあがる。このような状況でさらに退職金を切り下げ、社員に負担を強いることは許されない。
さらにはJALカードの売却の問題がある。JALカードは報道されているように49%の株式を売却しても、500億円もの利益をもたらすと言われているが、経営はこのJALカードというとてつもない莫大な黒字要因(特別利益)について一切説明していない。現在の決算内容は、営業収支が好調な中でも予定にない赤字(カルテル関連罰金引当金、上記特別退職金の増加分)が発生して、通年の当期利益見通し70億円を修正していない状況であり、経営、特に経営企画室が、秘密主義を貫きながら社員に痛みを強いることは決して認められない。
 
 

<再生中期プラン(中期計画)と人件費関連施策について>

1.経営が社員に痛みを強いる人件費関連施策の提示するやり方は極めて身勝手である。
労務・経営は社員に“厳しい切り下げであり、大変申し訳ない”と言いながら、下記の例のごとき具体的な点で08年度以降の「06年対比500億円の人件費削減」の詳細について社員の納得行く説明を行っていない。

    退職金削減での初年度効果は▲200億円だが、次年度以降の効果は▲10億円でしかないこと

    08年度から基本賃金カット(人件費減60億円)を中止するが、その分の施策はどうするのか

    中期途上で収支状況が好転した場合の考え方、 等々

経営は「500億円」を強調するが、項目は07年度と全く違うはずである。しかも社員は今回の上期決算の状況を見て「利益を上げても新たなマイナス要因が出てくるだけだ」「頑張っても報われない。経営は切り下げ施策だけは変えようとしない」と、経営不信を強めている。経営は「収支が改善されれば現在のまま進めなくても良い(11月28日団交安中取締役)」と発言するが、その具体的な提示は行われていない。

 

2.金融機関が「人件費切り下げが融資の条件」と言っているとの情報を安易に一人歩きさせてはならない。

社員は再生プランの目的が果たして「収支改善なのか」それとも「人件費500億円削減の闇雲な実施なのか」全く見えていない。上期決算では収支改善が見え始めているが、経営企画室はそれでもなお「人件費関連施策は必要だ」「社会への約束だ」と繰り返すのみである。また、あらゆる機会に「人件費関連施策実行が金融機関の融資の条件」との情報を流し、その本当の内容を社員に説明しようとしない。経営は直ちに姿勢を改め、以下の項目について社員に明らかにすべきである。

    経営企画室は金融機関に、今年度当期利益70億円を含み10年度までの中期利益計画を約束して融資を受けたのか?それとも

    それを達成するために挙げた人件費削減計画そのものの実行を約束したのか?

    どんな利益を上げても、また業界水準とは全く関係なく10年度まで@一時金は年間2ヶ月、A退職金は約10パーセント削減、B人員削減と早期退職勧奨(費用増加)、C06・07年度に切り下げた基本賃金を還元しない、といった施策を続けるのか?

    なぜ経営はそれを社員に説明しないのか?

 

3.経営が現状を本当に「JAL存続の危機」と認識しているなら、従来の「JALFIOのみとの合意で強行する」手法を、明確に放棄しなければならない。

  JALFIOはすでに、経営の説明を受け止め人件費関連施策に協力する、旨表明している。経営がこの状況を利用して、他の組合との協議を尽くさず、退職金の切り下げ等の施策を強行すれば、そこから真の「JALの危機」が始まることを肝に銘じなければならない。JALFLO
監視ファイル事件以来、JALFIO幹部が組合員の信頼を失っている中で、機長組合が上記に挙げたような疑問さえも呈することなく、経営の施策を鵜呑みにしたことは、労働組合としての役割を放棄していることに等しい。
経営もまた、このJALFIO幹部との合意を盾に全ての職場に施策を強行すれば、社員の経営不信は、最早止め処も無いほどに高まるであろう。今後のJAL再建に必要なのは社員のモティベーション・活力である。それにもかかわらず、経営が強行に走れば、それは経営自らが社員の不信を煽り、社員の活力に水をかける道に踏み込むことに他ならない。
 
 

<機長組合の提言>

日本航空機長組合労務・経営は社員に「厳しい切り下げであり、大変申し訳ない」と発言している。その気持ちが事実なら、社員の努力が実りつつある現在、当初の人件費関連施策にこだわることなく、下記の変更を行うべきである。現在のような経営姿勢を続ければ、職場のモティベーションは最早回復不能なところまで低下し、日本航空は経営が外向きの対応に狂奔している中で職場から崩壊して行くであろう。

1.今年度の収支が見通せた時点で、決算内容に応じた期末一時金の支給を確約すること。

2.収支状況が好転していることを踏まえ、退職金の見直しについては今年度中の実施を行なわず、08年度以降も継続協議して行くこと。

3.08年度以降の新中期計画策定にあたり早急に組合と十分協議すること。

 
 
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