長時間乗務手当裁判について

   

 2007年7月30日、日本航空と日航内三乗組(機長組合・先任航空機関士組合・乗員組合)は、長時間乗務手当に関わる協定書に調印し、問題発生以来9年振りの労使合意が成立し長時間乗務手当の一方的切り下げ問題は完全に解決しました。


  そもそもの問題の発端は、1993年に労務担当に就任した兼子 勲役員(その後社長に就任し、現在は退任)の強引な労務政策にありました。日長時間乗務手当裁判本航空はこの93年に赤字脱却と高収益体質を目指し「構造改革施策」と名づけた大リストラ策を発表しました。労務担当であった兼子役員は、この施策に唯一賛同したJALFIO(現JAL労働組合)との合意を唯一の拠りどころに、他の労働組合と十分に話し合わない中で、93年より98年にかけて様々な分野で施策を次々と強行したのです。

この強行の内乗員組合は「乗員組合との勤務協定破棄による運航乗務員の勤務基準改悪」に対して、機長組合は「長時間乗務手当の切り下げ」に対して、それぞれ「就業規則の一方的な不利益変更は無効」と訴える裁判を起こしました。そして「一方的な構造改革・強引なリストラ策」を押し返すために、三乗長時間乗務手当裁判組が連携し合いながら闘い続けて来ました。

12年間の闘いを経て、勤務裁判は2005年に東京高裁の判決が確定し、乗員の全面勝利となりました。また、長時間乗務手当裁判も2003年に東京地裁が組合側全面勝訴の判決が下され、会社側の控訴はあったものの、7年間の闘いを経て、2005年には組合側勝利の和解が成立しました。その後、この両者について労使合意を目指した協議が開始され、今般、長時間乗務手当問題の完全合意、最終解決に至ったものです。

私たちは1993年以来14年に亘る長い闘いにより今日の勝利を得たわけですが、この日本航空の「構造改革施策」により失ったものも少なくありません。一つは過酷な勤務条件による健康破壊です。93年には70名程度であった疾病のために乗務できない乗員の数が、今では2倍以上、150名にも達しており、疲労やストレスにより発症するとされている疾病が、その中で大きな割合を占めています。

もう一つはお客様の信頼です。あらゆる分野にわたる「構造改革」は職場のやる気やモティベーションを大きく低下させ、安全上のトラブルが多発する状況となり、国土交通大臣から異例の「事業改善命令」を受ける事態まで至りました。さらには、こうした状況はお客様離れを引き起こし今日の経営状況の悪化にまでつながりました。社員の声や労働組合との話し合いを大事にしない経営者が、政府の規制緩和方針に悪乗りして目先の利益のみに狂奔した結果は、極めて重大であったと言わざるを得ません。

2005年に「事業改善命令」を受けた後、経営陣は2年間をかけてほぼ一新されました。今回の勤務問題の進展と長時間乗務手当問題の解決も、新経営陣がこれまでの経緯を謝罪して、組合との話し合いを進めた結果実現したものです。また安全運航の再構築に向けても組合との協議が進んでいます。労使関係の面でも日航再建が進みつつある、ということが出来るでしょう。しかし日本航空には、例えば行き過ぎた外部への委託化による整備品質低下の問題や、社員の人権を無視して管理だけが強化されている客室の職場で発生した、法律違反の個人情報収集問題、等々、お客様に心から安心してご搭乗いただくために、私たちが早急に改善しなければならない問題も数多く残されています。私たち機長組合はこれからも社員の先頭に立って、これらの問題の解決に全力を尽くします。

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