年金基金解散は現役にとって有利でしょうか

   

2010年01月17日

機長組合に組合員から下記の内容の投稿(質問)が届きました。投稿全文は紹介しませんが、質問は以下の四角で囲んだ部分です。これに対する組合としての考え方をお知らせします。


年金改定について色々な情報がありますが、現在同意書をとっている減額提案よりも解散をして「企業年金連合会」に加わったほうが現役にとって有利である、という話を聞きました。本当であればそうしたほうが良いと思います。どうなのでしょうか

企業年金連合会(以下連合会と表記)のホームページによれば、その設立目的は「退職などの理由により加入していた企業年金の加入資格を短期間で喪失した方で脱退一時金を受け取る事ができる人について、その一時金を 原資として将来、企業年金連合会から終身にわたって年金として受け取る事ができる」とされています。

また、制度終了した確定給付企業年金の加入者についても残余財産分配金を連合会へ移換する事で同様に年金が受け取れるとされています。

仮にJAL企業年金基金が解散となった場合、受給者(OB)・加入者(現役)はそれぞれ規約に定められた一時金を受ける事になります。この場合の一時金については、会社説明資料にあるように、全員が100%に相当する一時金を受け取る為の資金はないとされています。

具体的な額を比較して見ます。

退職時の基準給与は会社の説明資料である55万円(職員TS-185号俸)を使用します。また、第1年金だけの比較とします。

仮に2010年4月退職の人が3月末で年金基金解散となった場合、手に出来る脱退一時金は約1250万円となります。但し積立不足を補填せずに解散となればその額は約54%まで減額される場合もありえますので、その際には約680万円となります。

これらの額を連合会に移換し65歳から年金を受け取る場合は次のようになります。
 

*連合会からの支給開始年齢は厚生年金の報酬比例部分と同様です。従ってS36.4.2以降生まれの方の支給開始は65歳となります)

これを見ると年金額だけでは連合会に移換した方が有利になると見られますが、支給開始が65歳からである事から80歳までの受給総額は改定案のほうが多い事が分かります。また、脱退一時金が仮に54%しか手にできなかった場合、連合会の年金額の方が改定案を下回ります。

次に45歳の例を考えて見ます。45歳の基準給与について会社資料がありませんので、ここでは仮に45万円と置いて試算してみます。また加入20年を満たし、受給資格有とします。

基準給与45万円での脱退一時金は約580万円となります。また、54%の場合は約320万円となります。

この例では基準給与が退職まで全く上がらない場合と基準給与が退職時50万円、55万円となる場合を見てみます。

45歳から基準給与が上がらない場合、支給月額は連合会に移換した方が多くなります(但し脱退一時金が100%支払われた場合)

連合会へ移管した場合はその時点で年金額が確定します。その後の掛け金負担は発生しませんが、基準給与の上昇に伴って年金額が増える事もありません。(設定利率が上がることにより年金額が増加する事はあります)

一方年金基金が存続する場合は掛け金負担が発生します。標準給与45万円に対する月額掛け金の個人負担は6750円となります。基準給与の上昇に伴って掛け金も上がります(標準給与55万円で掛け金は8250円)ので、仮に7500円の掛け金とすると15年間では総額135万円となります。 

次に45歳で受給資格取得直前の方で、受給資格のない場合を考えて見ます。

受給資格取得の前・後では解散時における脱退一時金の額が変ってきます。具体的に基準給与45万円で受給資格のない場合の脱退一時金は約514万円となります。同様に54%では約278万円となります。

この額を連合会に移管した場合の年金額を比較してみます。

ここでは仮に基準給与が45歳から全く上がらない場合でも、支給月額は連合会よりも多くなります。もっと若年の方については、企業年金基金解散時の基準給与が更に低くなりますので(例えば35歳で基準給与35万円とすると脱退一時金は116万円、54%では62万円)、基準給与が年齢と共に上がっていくと仮定すると年金額の差は更に拡大していくと考えられます。

退職金を年金に入れ 1.5%で運用するより、税法上退職金で受け取り、自分で定期預金(0.5%)などで運用した方が利回りは良いのではないでしょうか。

退職一時金に対する税金は、控除額が大きい(例えば勤続20年以上の場合の控除は『70万円×(勤続年数−20年)+800万円』)ので、通常の一時所得などに比べると有利です。

また、年金受給に対しても当然税金がかかります(但し給与所得よりは税負担は軽い)。また、自分で運用する場合、リスクはあるにせよ高利回りで運用する事も可能です。そう言った事を考慮するとどちらが有利なのか一概には言えないと考えます。

一方で、企業年金基金に運用を任せておくことで、定期的に(2ヶ月毎)年金が振り込まれ、自分で運用を行う手間から解放される、と言う事もあります。

今後、リストラで現役社員が減ると受給者と現役加入者のバランスが逆転し、企業年金制度を維持できるか不透明ではないのか。

会社の再生計画が明らかになっていない中で、はっきりした事はいえません。現在のJAL企業年金基金は年間の掛け金収入が年金支給総額を上回っていると言われています。仮に現役社員が減っていくと掛け金収入も減っていきます。一方で支給額もOB約30パーセント、現役約50パーセントと、大幅に減ります。



まとめ


仮にJAL企業年金基金が解散し企業年金連合会に移換すると、

・年金受給開始が厚生年金の支給同様65歳になっていく。

・年金額は解散時の移換額(脱退一時金額)で決まる。但し100%の脱退一時金が支払われるかは不明。また、その後の掛け金拠出は発生しないが、定期昇給等基準給与の増額に伴う年金増額はない。(利率の変動で上がる場合はある)

・解散時の年齢が若いほど(その後基準給与が上がるとすると)、年金額の差が大きくなる。


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