「客室乗務員監視ファイル事件」

   

2007年3月2日

「JALFIO執行部による客室乗務員個人情報無断保有事件」に関する機長組合見解

週刊朝日およびマスコミ各紙・各局は、2月27日、「“JAL労働組合(JALFIO)”が、客室乗務員少なくとも7000人分の個人情報を、本人の同意がないまま保有していることがわかった。」と報道した。同報道によると「個人情報」の内容は、思想、信条、支持政党、容姿、性格などの主観的評価や交遊関係など精神的自由権の根幹をなすものやプライバシーに関わる内容であるとのことで、JALFIOがこれを認めたことも併せて報道された。
 JALFIOは、このマスコミ公表に先立つ形で、2月26日、羽田、成田両客室乗員部のメールボックスに、石川茂一JALFIO本部執行委員長名で「客室乗務員の皆様へ」と題する文書を配布し、個人データを持っていたこと及びそれがマスコミに漏洩してしまったことを認め、謝罪している。しかし、これは、それで免責されるような問題ではない。JALFIOが、なぜ報道にあるような個人データを作成し、長期にわたり保有管理していたのかについて明らかにしないまま、形式的な内容の詫び状を出したところで、組合員が納得するはずがない。個人情報の入手経路および使途等について一切言及することなく、ひたすら情報の漏洩問題、管理問題にすり替えようとするならば、疑惑はますます深まっていく。
 
本事件の問題点の第一は、個人情報保護法に明らかに違反する手法で情報を収集していたという点である。
個人情報保護法は、「本来の目的をこえる情報収集には本人の同意が必要」と定めている。従って本人の同意を得ることなく、これらの情報を収集することは法律を犯していることになる。JALFIOは、報道によれば、「情報を集めた目的について『組合員の相談に乗ったり、勧誘をしたりするためだった』と話し、『目的に必要のない情報も含まれていた』と認めた」とされた。そもそも組合に加入する時に必要なことは、その活動を評価することであって、プライバシーに関わる個人情報は何ら関係が無い。それにもかかわらず個人情報を違法に収集することは、JALFIO執行部の組織管理方針に重大な疑念を持たざるを得ない。本来、経営に対するチェック機能を果たすべき労働組合が、自らの組織拡大のために法を犯したことになり、さらには現在の日航内の状況を考えれば、同じ職種の他組合の勢力を弱めるためにこれらの情報を蓄積してきたということに他ならない。労働者を保護すべき労働組合が、逆に日航内の労働者の団結を阻害する行為をしてきたことを自ら認めたものである。もとより、そのような行為は、労働基本権を認めた憲法に違反しているのであって、同じ労働組合活動をするものにとって、決して見過ごせる問題ではない。 JALFIO執行部には真摯な反省とともに、日航内の全ての労働者に対して、二度と過ちを起こさないという姿勢を明確に示すことを求める。
 
第二の問題は、JALFIOが問題となった個人情報を隠滅しようと意図していることである。
本件のような情報を収集・保管することは明らかに違法行為であり、当該組合員からは損害賠償あるいは刑事告発等の責任追及が予想される。そういった場合には、どういう情報を集めていたかが、まず問題となるが、JALFIOは、そういう事態を予想してか、早々と個人データを破棄するといっているのである。JALFIOの「組合内の調査が終了した後、全てのデータを削除する」、「マスコミに対して取材終了後データ破棄することに関して了承を得ている」旨の表明には、そのような意図が隠されていることが容易に想像できる。
個人が自らの知らないところで管理されていた情報については、当該者は、収集していた者に対し、その内容の提示を求める権利があることが個人情報保護法に定められている。すなわち、 JALFIOは個人データを破棄することによって証拠隠滅をすることなく、法律の要請に沿って、本人の求めに応じて正しく情報を開示しなければならない。
 
以上の点をふまえ、私たち機長組合は、 JALFIOに対し、社会から疑惑が持たれているところの下記の点を明らかにすることを強く要求する。
  1. 「憲法に定められた基本的人権のひとつと考えられているプライバシー権」に反した行為はなかったのか?また個人に対する名誉棄損罪等にあたる法違反はなかったのか?不当労働行為への加担はなかったのか?
  2. 情報の入手にあたり会社組織の関与はなかったのか?
  3. 反コンプライアンス的な行為はなかったのか?

私たち機長組合は、日本航空内の労働組合として、日本航空内の自由と民主主義を踏みにじる行動を許すことはできない。ましてコンプライアンスが企業の生命線となりつつある現在、労働組合の組織的な、「憲法に定められた基本的人権のひとつと考えられているプライバシー権」に反した行為や違法行為は、JALの信頼をまたしても失墜させ、社員のみならず利用者・国民にまで不信と不安を植え付けるものといわざるを得ない。
 
機長組合は、今回の事態を招いたJALFIOに対し断固抗議し、JALFIO執行部が会社との癒着を断ち切り、人心を一新するなど自浄作用を発揮し、労働組合としての本来の姿に生まれ変わることを求める。
そして組合の枠を越えたJALのすべての労働者の良心を結集し、安全運航を支える基盤となる自由にものの言える職場を構築するために、一刻も早い本事件の解明と関連する問題の解決に向け、全力を挙げて取り組む所存である。

3月2日 日本航空機長組合
 

 

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