事故調査委員会にJL706事故再調査を要請

   
 
議事録2
 

事故調査委員会との懇談
 

2007年11月8日 09:30〜11:35 於事故調査委員会会議室
航空・鉄道事故調査委員会 企画調整課 Y課長、O専門官
F弁護士、T
 
事故調と裁判所における事実認定の違い
事故調: 結論として、再調査はしない。裁判の結果を踏まえて再調査しろとのことだが、事故調と司法では、目的も法律も手法も異なる、事故調は再発の防止、司法は責任の所在を明らかにすること、再発防止は尽くされており、対策も採られている。
日乗連: 706事故に関する事故調の見方は、検察と同じかそれとも裁判所と同じか。
事故調: そのことに言及する立場にない。事故調は再発防止、司法は責任追及である。裁くに値するかどうかと言うことで、司法のほうが事実の見方は厳しいのだろう。
日乗連: 発生した事実に関しては、事故調も司法も同じではないか。
事故調: 導き出す目的が違う。
日乗連: 通常の司法判断では「予見性の有無」で決着することが多いが、706事件では「事実そのものがない」と事故調の認定した事実が完全に否定されているが。
事故調: あくまで、目的が違うとしか言えない。

ベルト非着用について
日乗連: 再発防止策は尽くされているというが、ベルトサイン点灯中の客室乗務員の負傷は後を絶たない。
事故調: 最近は減ってきている。建議でも触れた。
日乗連: 建議は乗客の「常時ベルト着用の徹底を」という局の指導にしかなっておらず、乗務員については未対策だ。
事故調: 建議には「搭乗者の安全を図れるよう・・」と、乗務員と乗客を区別していない。
日乗連: 激減しているとは言いがたい。裁判の中でも客室乗務員は「ベルトサインは機長の命令であるが、座るかどうかは自分で判断する」と言っているが、これはここまでしなければならない会社施策上の問題点があるはずだ。ベルト問題に関する背景要因はまったく触れられていない。
 
重傷の原因と思われるカートの飛び出しについて
日乗連: 数日前にもスカイマーク機が着陸の際カートが飛び出し、乗客が骨折する事例があったが、706と同じことが再発している。706調査では、脳挫傷を負った原因がまったく調査されていない。706でもカートのロックが掛けられていなかったが、ロックの掛け忘れなどに対して対策すべきだ。
事故調: そこは調査したと思うが、重要ではないということで報告書に書かなかったのだろう。
日乗連: 負傷の直接原因が重要ではないとの見解か。
事故調: そうではないが、そのことは報告書に触れられていないので言及できない。
日乗連: 報告書に触れられていないから調査の不十分な点として指摘している。不十分さの指摘に対して、報告書にないから意見も聞かないし検討もしないというのでは、報告書は出しっぱなしの無責任なものとなるではないか。
 
自動操縦が切れたタイミング
日乗連: 自動操縦が切れたタイミングだが、「26秒に自動操縦が切れた記録があった。26秒に急激に大きな機首上げとなった。」と書かれているが、急激な機首上げは23.5秒から始まっている。
事故調: 機首上げは26秒がピークなので、「26秒に大きな機首上げがあった」と書いてある。
日乗連: 26秒以前のピッチ変化についてはまったく記載せず、唐突に「26秒に自動操縦が切れた。26秒に大きな機首上げがあった」と書けば、読む人は機首上げは26秒に始まったと誤解する。自動操縦が切れたから機首上げがあったとの事故調のストーリーを信じさせるためのトリックではないか。
事故調: いや、26秒には急に機首が上がっている。大きな流れで見るとここに書いてあるとおりだ。これを書いたのは専門家だ。
日乗連: Yさんはこのグラフを見て、どこから急激な機首上げが始まったと見えるか。
事故調: それは分からない。どこからどうとは言えない。書いてあることがすべてだ。
日乗連: 客室乗務員がなぜベルトを着用しなかったのかも検討されておらず、カートが飛び出した理由も調査していない。機首が上がり終わったことと自動操縦が切れたことが書いてあるが、急な機首上げが始まって上がり終わるまでのことも何も書いてない。事故調のストーリーに都合が悪いことは書かないと見えるが、そこをさらに調査してはいかがかと言っている。

スピードブレーキの効果について
日乗連: スピードブレーキの効果について、報告書では「レベルチェンジモード(速度を維持して降下する自動操縦モード)でスピードブレーキを使用しても、自動操縦は速度を維持しようとして機首下げをするので、減速の効果はない」と書いてあるが、我々の実験では設定速度を超えていた場合は確実な効果が見られた。調査の誤りではないか。
事故調: 報告書には「風の変化がある中で・・・・スピードブレーキによる減速効果はなかったものと推定される」と書いてあり、風の影響があったのでスピードブレーキの減速効果がなかったと書いてある。
日乗連: この報告書からそんな読み方ができるのは、報告書を作った事故調ぐらいのものだ。その趣旨なら「風の変化がスピードブレーキの効果を上回っていた」と書くべきであろう。この記載からは、機長は効果のないスピードブレーキ操作を行ったとしか読めず、操縦ミスをさらに強く示唆する記載と感じる。
事故調: そんなことはない。

自動操縦が切れた理由
日乗連: 自動操縦が切れた理由は、社内のマニュアルの記述に沿って4項目を調査し、CRM(自動操縦の作動モニター)が作動しているのでオーバーライドがあったとし、消去法によって決定したと言っている。しかし、マニュアルの記載は乗員が知っておくべきことだけで、CRMが作動する条件は整備上、他にもたくさんある。自動操縦コンピューターの一時的な不具合や外気温や風のデータの不具合そのほか、オーバーライド以外でCRMが働く条件については、まったく調査されていない。それでは消去法にはならない。
事故調: 専門知識を持つ調査官が、すべての可能性を調査したと思う。
日乗連: 昇降舵の駆動装置の調査でも、調査官は外観だけを見ていったとの報告がある。すべての可能性は調査されていない。我々の調査では、事故調が調べ切れていない条件の中から、きわめて可能性が高いと思われる原因を特定している。必要とあれば我々の調査結果をお知らせすることもできる。調べ直されてはいかがか。

"オーバーライド"の定義
日乗連: 報告書では「オーバーライド」を「操縦桿に力がかかった状態」と定義しているが、ダグラスの定義では「操縦桿にかかる力により自動操縦が影響を受け始めた状態」となっている。ダグラスの定義によれば、20ポンド(約9kg)以上の力がかからなければオーバーライドにはならないとされている。
事故調: それは、事故調がきちんと事故調なりの定義を定めて調査を行っているのだから、何の問題もないのではないか。
日乗連: メーカーと違う定義を使っての調査は、技術的に意味がない。報告書では事故調の定義でオーバーライドがあったとしている一方、メーカーの規定でオーバーライドしてはいけない事になっているとも書いており、論理のすり替えを行っている。しかも、定義の違いについては何も書いてない。これは読む人を誤解に導くやり方であり、何らかの意図を感じざるを得ない。
事故調: そんなことはない・・・・と思いますよ。事故調なりに定義を明らかにしているから、問題ない。
 
ダグラスの技術資料
日乗連: ダグラスからの20ポンドに関する資料は、事故調に届いているのか。
事故調: それはノーコメントだ。報告書に書いてないことなので言えない。
日乗連: 検察は「オーバーライド」を事故調の定義で捉え、規定違反があるとして起訴したのだが、事故調はその誤解を解く努力をしたのか。
事故調: 報告書はオーバーライドしたから自動操縦が切れたとは書いてない。我々は報告書を出すまでが仕事なので、検察のことは知らない。
日乗連: そのような言い逃れをするから、事故調が信用されなくなる。検察はオーバーライドによって自動操縦が切れ、急激な機首上げが起きて負傷者が生じたと理解して私を起訴している。今頃そのような言い訳をするとは信じられない。5年間の裁判はなんだったのかということになる。報告書は、16秒からの力をすべてオーバーライドと言いたいから「オーバーライドとは操縦桿に力が加わった状態を言う」と定義したのか。
事故調: そうだ。しかし20ポンドの力で自動操縦が切れるとは書いてないが・・・・16秒ころから機首は上がっている・・・・(意味不明)。機首上げ方向に力が加えられていると書いてある・・・。
日乗連: では20ポンド以下の力で機首が上がったことになるが、ダグラスの資料からはその程度の力(7ポンド程度)では機首は上がらない。
事故調: 事実として機首は上がっているのだから・・・。
日乗連: だから、ダグラスの資料からは16秒ころからの機首上げは起きないが、事故調の定義によって操縦桿にかかる力で機首が上がったことになっている。Yさんは、16秒からの機首上げがあるので操縦桿にかかる力すべてをオーバーライドと定義したとおっしゃった。事故調の定義と推定が間違っているということになる。
事故調: いや、そこは何も変える必要はないと思う。明確に書いておけば、どう定義してもいいのではないか。どうして事故調独自の定義をしてはいけないのか分からない。調査官の裁量の範囲だ。
日乗連: それでは読む人が誤解するではないか。なぜわざわざメーカーの定義と異なる定義をしなければならなかったのか。
事故調: メーカーと定義が異なっても、ちゃんと書いてあるから問題ない。
日乗連: 最近の新聞記事に「再調査拒否。再発防止に暗雲」との報道があるのでお見せする。
事故調: 暗雲ですか。まいったなあ。
日乗連: 我々は事故調が信用される機関になるよう応援しているつもりだ。今後も真摯な対応をお願いしたい。
 
日乗連: 最近の新聞記事に「再調査拒否。再発防止に暗雲」との報道があるのでお見せする。
事故調: 暗雲ですか。まいったなあ。
日乗連: 我々は事故調が信用される機関になるよう応援しているつもりだ。今後も真摯な対応をお願いしたい。
 

再調査要請の経緯 ↑

 

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