事故調査委員会にJL706事故再調査を要請

   
 
議事録1
 

706便事故調査報告書に関する質問に対する
                   事故調査委員会からの回答(口頭)

2007年10月11日 09:30〜11:00 於事故調査委員会会議室
航空・鉄道事故調査委員会 企画調整課 Y課長、O専門官
F弁護士、T、I
 
質問1:事故調査報告書を鑑定書として愛知県警に送付した件について
質問ア 事故調査報告書が鑑定書であるという意識のもとに愛知県警に送付されたのか?
Y課長: 捜査当局から事故調査委員会に鑑定嘱託がなされた場合、事故調査報告書をもって鑑定書に代える対応をしている。事故調査は原因を究明し再発防止を目的に行われるもので、報告書は事故調査委員会設置法第20条で一般に公表されている。司法当局がどのように扱うかは司法当局の判断であり、事故調がどうこう言うものではない。
弁護士側:

20条により公表したものと同列の考えか、それとも嘱託に対する回答なのか?

Y課長: 20条と同じものと考える。
弁護士側: 形式的に20条と同じなら、一般の人が報告書を事故調から送ってもらうのと同じか?
Y課長: 同じだ。
弁護士側: それを利用する側の勝手だということか?
Y課長: そういう認識だ。
弁護士側: 法廷でK委員が尋問を受けたが、鑑定証人ではなく、単なる事故調査委員として答えたのか?
Y課長: 法廷を見ていないので良く分からない。
弁護士側: 鑑定証人として出廷したのではないという捉え方か?
Y課長: よく分からない。
弁護士側: 今後も鑑定人ではなく、事故調査報告書の発行人として証言するのか?
Y課長: 今までと変わることはない。
弁護士側: 裁判にはどういう立場で出るのか?
Y課長: よく分からない。K氏は鑑定証人として出たのか?
弁護士側: 刑訴法321条4項による書面について、K委員は私が作ったと証言するだけで証拠になる。K委員は鑑定人として出廷した。普通の証人とは違う。(報告書を)出す方がどう認識するかによる。「これは鑑定書ではない」と言えば鑑定人質問はできない。事故調査報告書が一般の公表物、政府刊行物なら違う形になる。政府刊行物なら司法当局は鑑定書として法廷に出せない。利用する側ではなく、出す側の認識の問題だ。
O専門官: 報告書は鑑定のためにではなく、事故調査のために出した。
弁護士側: この話はある研究者のある研究結果がたまたま裁判の証拠として使われるというケースと似ている。研究者がこの研究結果を鑑定嘱託に応えて提出すれば鑑定書になる。事故調査報告書を鑑定書として提出すれば、国際条約違反となる。
O専門官: 鑑定依頼を受けて一般に広く公表している報告書を鑑定書に代えて出しただけだ。
弁護士側: 一般的な刊行物として警察に出したのなら、出す際に鑑定書として使うのはいかがなものか、と言ってもらわなければならない。使う側の勝手だというが、事故調としては鑑定書として裁判の証拠になると事故調査に悪影響があると言わなければならないのではないか。
Y課長: 事故調としては捜査に使うなとは言えない。我々が判断できる立場にはない。
O専門官: 調査に影響がないとは言えないが、それぞれ法律が違うのでそういうことは言えない。
弁護士側: 事故調としては、事故調査報告書が裁判の証拠となるのは本来の目的の範疇と考えるのか?
Y課長: 刑事捜査は我々の手から全く離れている。事故調査は再発防止が目的だ。
弁護士側: 裁判では、事故調査報告書が本来の目的で使われているか?
Y課長: 事故調としては判断できない。裁判でどう使われているかは評価できない。
弁護士側: 事故調査報告書は設置法20条により公表されていると言われたが、鑑定嘱託を受けたときに「設置法20条に基づいて送付する」と改めれば、随分違ってくる。20条の文字が入るか入らないかで違う。
Y課長: 20条に基づいて公表しているが、それを書けと言われても・・・。
弁護士側: 706便事故調査報告書と907便では表紙の表現が違っている。907便では「他の目的には使用しない」と記されている。
Y課長: ある時点から入れるようになった。責任追及のために調査をやるのではなく、再発防止のためだけだということを明記した。
弁護士側: そこまで書いているのなら、警察が誤解しないように20条に基づくものだということも明記すべきだ。
Y課長: 20条に沿ったものしか送付していない。司法当局にはそれ以外は送っていない。
弁護士側: 事故調査報告書を捜査に安直に使うのは、ICAO ANNEX13 5.12条に反するということは言えるのではないか。
Y課長: 捜査は我々の範疇にはない。事故調がそういうことを言っていくと返って混乱する。
弁護士側:事故調が鑑定嘱託の答えとして出しておいて、それは鑑定書ではないと言うから混乱するのではないか。
Y課長: 事故調は鑑定書としては出していない。公表されたものとして出しているのであって、鑑定書だかどうかは考えていない。
 
質問イ 事故調査報告書を鑑定書として提出するのは
                       ICAO条約違反ではないか
Y課長: 事故調査報告書は設置法20条で公表されている。この取り扱いはICAO条約でも刑事手続きに使うかどうかは規定されていない。
弁護士側: ICAO条約5.12条は、第8版までの「事故調査報告書は・・・目的以外に使用してはならない」から、第9版では「事故調査実施国は・・・他の目的に使用できるようにしてはならない」と改定された。もし再発防止以外の目的に使用されようとしたら、事故調実施国はそれを止めなければならない。第9版は読まれたか?
O専門官: 読んだと思うが今は記憶にない。5.12の規定は情報の開示の判断基準だ。報告書で開示されたものは5.12に該当しない。
弁護士側: この改定は706便事故の書類送検以降になされた。ICAOは706便事故の推移を気にしていた。
O専門官: 公表されているものは5.12に該当しない。公表されたものはどう使われようと判断どうこうではない。
 
質問ウ 事故調査委員会が、事故調査報告書を愛知県警に
                       送付した法律上の根拠は?
Y課長: 刑訴法223条で鑑定嘱託を受け、事故調としては設置法20条で広く一般に公表されている事故調査報告書を鑑定書に代えて送付した。
 
質問エ 今後も捜査機関から事故調査報告書を鑑定書として
            送付するよう要請されたら、送付するつもりか?
Y課長: 今までと同様に公表されている事故調査報告書を送付する。

質問2:20ポンド以下の力ではPITCHには影響しない
質問3:PIOについて
質問4:本件負傷の原因をT機長の操縦操作と判断したことについて  
Y課長: 報告書の内容については報告書をご覧いただいて理解して頂きたい。そこに書いていないことは事故原因として考えていない。報告書以外のことはノーコメント、答えられない。書いていないことについては答えられない。
弁護士側: 20ポンドについては我々も最初は分からなかった。JALの技術部にあった資料から分かった。事故調が持っていたもののカーボンコピーがあった。裁判所の判断はこの20ポンドが決め手になった。これは新しい事実だと考えている。事故調としての認識はどうか?
Y課長: 報告書にないことを聞かれてもノーコメントだ。
弁護士側: 報告書の結論が全く変わるとしてもか?
Y課長: それも含めて答えない。
弁護士側: PIOについてはどう考えるのか?
Y課長: 報告書がすべてで、それ以外はノーコメントだ。
弁護士側: 事故調査報告書を読んだ学者が「この内容は全く分からない」と言っている。名古屋高等裁判所でも事故調査報告書が否定された。
Y課長: 否定されたとは思っていない。
弁護士側: ノーコメントの意味が分からない。20ポンドが新事実に当たるのかどうか、事故調内部でどう議論され、どういう結論になったのか説明する義務がある。報告書は20ポンドに関しての事実を踏まえて作成されたものなのか、またはそれを考えずに報告書を作ったのか?
Y課長: それについてもノーコメントだ。再調査するのは例えば行方不明の機体が見つかったとか、ボイスレコーダーを発見したときとか、明らかに原因に関係する物証が出てきた場合などだ。
弁護士側: 裁判でも再審制度があるが、再調査は事故調の職権で行うのか、それとも関係者が申し出た場合に行うのか?
Y課長: 事故調の職権でやる。
弁護士側: 結論が変わるようなときには再調査をやるのか?
Y課長: 行方不明の機体が発見されたような場合、新証拠が出たら再調査は行う。
弁護士側: これまで見過ごしていたような事実が出たら再調査をやるのか?
Y課長: 今回の場合、裁判でいろんな判断が出たが、事故調と司法当局は目的、立場が別で司法当局の判断で再調査する考えはない。
弁護士側: 裁判所という国家の機関から報告書の内容を否定する判断がされた。また国民のだれからも判決に批判がないと言うことは、報告書が信用されていないということだ。これでも再調査を行わないのか?
Y課長: 事故調としては当時最大限の調査をして報告書を作った。
弁護士側: 事故調は20ポンドの事実を認識した上で報告書を作ったのか。認識しないで結論を書いたのなら20ポンドの事実は「新しい事実」となるし、認識した上で結論を書いたのなら何らかの意図が働いたことになる。20ポンドの事実はボイスレコーダーの発見と同じく重要だ。このところの事故調の姿勢が報道されて、国民は事故調は閉鎖的だと思っているし、事故調が権威だとする見解にも疑問が出始めている。質問にも答えない。
Y課長: 国民に質問されて事故調査報告書について答えると、例えば捜査機関から質問されて答えるのと同じことになってしまう。
弁護士側: 例えば誰かがボイスレコーダーを発見して事故調に持って行ったら、再調査は行うのか?
Y課長: 事故調がやると判断すれば再調査を行う。
弁護士側: 設置法にも、ICAO条約にも「新事実が発見されれば再調査を行わなければならない」と規定されている。20ポンド以下の力ではピッチ変化に影響を与えない、という事実は機体やボイスレコーダー、フライトレコーダーに匹敵するか、それ以上の新事実だ。706便の事故調査報告書の事故原因の骨格は「機長が減速しようとして操縦かんを強く引き、その結果自動操縦装置が切れ、急激なピッチ変化をもたらした」というもので、20ポンド以下の力ではピッチは変化しないという事実は、この事故原因の「機長は意図的に操縦桿を引いた」という根幹部分を否定するものだ。この意実は事故調査報告書に反映されているのかどうか、またこれを新事実として認めるのか認めないのか、この質問を受けて事故調でそういう議論をしたのか、その結果結論はどうだったのか、といったことに全く答えないのでは事故調が法律に則って調査しているのかどうか大いに疑問がある。こういうことにきちんと答える義務があるのではないか?
Y課長: 今日お話しを聞いて質問の意味が分かった部分もある。
弁護士側: 20ポンドは極めて重要だ。裁判所はその事実を斟酌した上で「意図的な操縦桿操作とは考えられない」ということで無罪を言い渡した。自動操縦が切れたタイミングについても、報告書は「自動操縦が切れたから反動で機首が上がった」との見解だが、判決では「自動操縦は機首上げの後に切れている」と報告書を否定した。
Y課長: 裁判所の判決は詳しく見ていないので。しかし、裁判所が言ったからといって報告書を見直すつもりはない。
弁護士側: 今日初めて質問の意味が分かった、と言われた。このような話し合いをもう一回やらないか?
Y課長: これ一回で終わるつもりはない。
弁護士側: 再度言うが、質問には文書で回答すべきだ。
Y課長: 文書で答えるようにはなっていない。
弁護士側: 重要だから書面で頂きたいと言っている。裁判所と事故調の判断に矛盾がある。
Y課長: 双方はよって立つ所が違う。裁判所は責任の所在を追及する。
弁護士側: いずれの目的であっても、事実が異なるはずはない。事実の問題だ。再調査に値するものだ。世界中が706便の事故調査報告書に関心を持っている。再調査すべきだと言っている。今日も南米のボコタでIFALPAの事故解析委員会が開かれ、706便に関して報告を行っている。米国からは、706便裁判後に大学でこれに関して講義を行ったという報告があった。日本の事故調査の実態を知ったエアラインの中には、日本で事故が発生したら、何もしゃべらずすぐに日本から脱出するようにしているところさえある。世界の航空界から信用されなくなると、日本の事故調査は大変なことになるし、再発防止にもまったく寄与できない。それは、事故調がきちんとした調査を行って航空の安全を守ってくれると信じている国民に対する背信行為だ。再調査すると世界中から日本の事故調が信頼される。
 


次回は11月8日9時30分に再度質疑を行うことを決定
 

 
国土交通省記者クラブ会見 

11:25〜12:00
記者6〜8名

10時からの約束でしたが、1時間も遅れたにもかかわらず急遽会見をセットしたところを見ると、事故調が何と回答したのか関心が高かったと思われます。こちらから事故調との会見の内容を報告した後、質疑をおこないました。

記者: 11月8日に再度会って何を聞くのか?
弁護士側: 書面で回答すること、事実の捉え方、判決をよく読むように言ったのでそれらについて再度確認する。
記者: 10月3日に提出した再調査要請についての回答はまだか?
弁護士側: まだだ。今日の質疑の中では再調査は行わないとはっきりと言っていた。
記者: 事故調に、1ヶ月ほどの猶予を与えたということだな。
弁護士側: そのとおりだ。
 

再調査要請の経緯 ↑

 

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